表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/38

20,謎の美少女レポート その二。【『27,緊急クエストで救われた心』柔らか版】

 テラオ君は悔やんでいるようです。


 きっと今回のクエストで気が付いたのでしょう。

 前回のクエストでは、二日も期間があったのに何もしないで帰ってきたことを。

 看板を引き抜いたら帰れるというおかしいな? と思わせるような演出があったのに、気にもしないで引き抜いてしまったことを。

 テラオ君は涙を流していました。


――♪ピンポロポン。緊急クエストが発生しました。♪ピンポロポン。緊急クエストが発生しました。


 バン!


【緊急クエスト

 ○iフィールドクエスト○

 フィールド:iフィールド(盗賊の洞窟01)

 テラオ:9歳


 盗賊にとらわれている村人を救出しよう。


 レンタルアイテム:鉄製武器、革製防具一式

 クエスト期限:六十分間

 クエスト報酬:貯めてうれしい謎のチケット】


「緊急の依頼です、うけますか?」


 また盗賊絡みのクエストです。

 テラオ君の顔は相手が盗賊と言う文字を見た途端に、怒りの表情が溢れました。メニューさんにすぐに行かせて欲しいとお願いします。


 パチ~~ン。


 いつもより気合いの入った指の音が響きました。



  ◆<場面が飛びます>



 転送され着いた場所は洞窟の中だった、背後には入り口が見える。


 ドン!


【村人を三人救出してこの場所まで連れ出そう】


 看板が上から降って地面に刺さった。



 洞窟は直径三メートルほどのチューブ状、大人でも武器を振り回せる高さがある。十mほど奥に脇道らしき物があり、松明の明かりが漏れている。


「うひゃひゃ、今回の村は食料ため込んでたな。これでしばらく困らないぜ」


「んだな、ついでに三人も連れてこれたしな、ぐへへへ」


 盗賊と思われる男二人の声が響いている、脇道からのようだ。

 テラオは見つからないように、そっと覗いてみる。

 脇道と思われた場所は小部屋になっていた。その奥には扉があり、両脇に見張りの盗賊二人が立っている。

 薄汚れた服、あまり手入れされていない剣、髭も髪も伸び放題で見るからに不潔なおっさん盗賊が二人。


 テラオ君はここであれ? っと思います。

 まるでコピペのように一番最初に受けた緊急クエスト、失敗したあのクエストとそっくりな状況。

 全部見たこと聞いたことがある状況だったのです。


 テラオ君は混乱した様子でしたが、救わなければならない命があると思い出したのか、首をブンブンと振っています。

 気配を探り、扉の前の見張り二人に『沈黙空間』の魔法を掛けて仲間を呼ぶのを阻止すると、『触手拘束』を使って二人まとめて縛ります。

 以前のテラオ君だったら無力化した二人を放置していたでしょう。

 でももう油断しないテラオ君は、ばっさばっさと二人の見張りをやっつけました。


 これで一安心です、ゆっくりと扉の奥を探ります。

 気配は十一人です、空間把握でさらに扉の先を探っています。

 扉の奥は廊下になっていて、突き当たりで左右に分かれます。それぞれに部屋があり、左の部屋に五人、右の部屋には六人居ます。

 左の五人のうち三人の気配は弱々しい物です、きっと捕まった村人三人でしょう。


 テラオ君は扉を開けコッソリ中へ進むと、盗賊だらけの右側の部屋への分かれ道に『暗闇空間』のふたをして見つからないようにしました。

 右側の部屋はがやがや騒がしいので、すぐに気付かれることはないでしょう。

 ささっと村人が捕まっている左の部屋へ進むと、捕まった村人三人に盗賊二人が被さって襲っているのが見えました。

 テラオ君は更なる怒りの表情を見せますが、心は冷静なようです。

 ゆっくりと両手から糸状の魔力を伸ばしています。

 鼻息の荒い盗賊の鼻の中へと糸を伸ばして、糸の先が気管の辺りに到達すると、えいやっと魔法で盗賊二人をいっぺんにやっつけました。


 捕らわれていた村の人達は恥ずかしい格好になっていたので、テラオ君はその辺にあった布を掛けてあげます。

 細かく気を遣うことができるようになったようです。




 あとは右側の部屋、盗賊達がどんちゃん騒ぎをしている部屋にいる六人だけです。

 もう遠慮をすることはありません、テラオ君は一気に部屋に飛び込むと、手前の二人をばさばさっと、さらに二人をばっさーっとやっつけました。

 残りは投げ斧を持った大男と弓を持った盗賊だけです。

 大男は斧を投げてきます、隣のモブは矢を放ちます、でもテラオ君は余裕で剣を使って弾きます。さらに剣で弾きながら氷の矢の魔法をたくさん用意します。

 十本の氷の矢が用意できた所で飛ばし、盗賊を全滅させることができました。



 もう安心です。テラオ君は弱っている捕まっていた村人を、救助ポイントの看板がある所まで運びます。

 ここで弱っている三人に食料とお茶を分けてあげました。メニューさんが用意してくれた鞄の中に残っていたものです。

 いつもうっかりなテラオ君にしては珍しく気が利いたことですね。



 バン!


【クエストクリアー条件達成。帰還しますので待機してくさい】


 目の前に看板が現れました。

 今回のクエストで、テラオ君は何かに気が付いたようです。



  ◆<場面が飛びます>



 テラオ君は雲上の孤島に帰還しています。


 バン!


【緊急クエスト

 ○iフィールドクエスト○

 フィールド:iフィールド(盗賊の洞窟01)


 捕まった村人を無事救出。救出ポイントへ送り届けた。

 クエストクリアー。


 クエスト報酬:貯めてうれしい謎のチケット】


「おめでとう、現在預かっているチケットは合計三枚です」


 優しいメニューさんが迎えてくれます、でもちょっと複雑な表情をしているのが気になります。


 テラオ君はそういう細かいことには気が付きません。メニューさんを責めてしまうような気持ちが顔に出てしまいます。


「メニューを責めるような気持ちは持たないでくれ」黒光り禿筋肉のベイスがテラオ君の後ろから声を掛けました。

 全ての事情を知っているような表情です。

 ベイスは自分が説明するからと、メニューさんを下がらせます。


「察したとおり、緊急クエストというか、『iフィールド』というのは、仮想領域、つまり現実のセカイに存在する、または存在した場所や事件などを元に作られた場所なんだ」


 ベイスの説明はテラオ君が何となく察していた通りだったようです。つまりiフィールドは仮想現実、バーチャルリアリティーのような場所だと言うこと。

 ショッキングなクエストになった理由は、テラオ君の抱えていた『現実感の欠如』と言う問題に、衝撃的な出来事を体験させて直そうというベイスの狙い。

 それがあまりに厳しすぎると、優しいメニューさんが緩和してくれていたことを聞かされます。


「ドサイル村のこと、おまえ気に入ってたよな。だがあそこの住人の名前教えてもらったり自分から聞いたりしたか? 顔をはっきりと思い出せるか?」


 テラオ君は大事なことに気が付いたようです。


「あ? あれ? 村長さん、村長の息子さん、奥さん……あれ、誰の名前も知らない。顔も……、会えばわかる位の記憶しかないような」


「名前を知ってしまうと、相手のことをはっきり覚えてしまうと、仮想だとしても心残る傷が深くなってしまうって言ってな、メニューがそういう制限をあのiフィールドに付けたんだ。

 ドサイル村の最初のクエストの時も、クエスト期間が二日あることに気が付くようにって、鞄に着替えやら詰めて用意してくれただろ。鞄の中身を全く見ないで帰って来ちまったのは……よくねぇな」


 優しい優しいメニューさんの心遣いに気が付きもせず、ましてや責めるような表情を向けてしまったテラオ君は、メニューさんへの謝罪と感謝の気持ちを発します。

 姿は見えませんがきっと届いていることでしょう、ベイスもメニューさんは超越しているから気にしないと言っています。


 さらにメニューさんの優しさエピソードが追加で語られます。

 ベイスが用意したクエストはドサイル村の二回目まで。さっき行ってきた盗掘のクエストはメニューさんが用意した物だと言うこと。


「――あのままだと心のダメージが大きすぎるってんでな。ストレス発散とトラウマ解消、さらに自分で気が付けば納得するってんで、いきなり用意して放り込んだって訳だ」


「本当に効果ありましたよ。盗賊の洞窟に行かなかったら……どうなっていただろう僕」


 どうやらテラオ君は優しいメニューさんのことをちゃんと理解できたようです。



「んじゃ、反省会やるから会場行くぞ」「ふぇ?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ