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15,シノービ演技する(22)


「お待たせしましたシノービさ~ん、僕参上でsあ~~~~~」


 フフーリ。計画通りッス。テラッチはストーンっと落とし穴に落ちていったッス。

 落っこちているテラッチを追い越して先回りッス。

 メニューがサムズアップして看板をペシペシ叩いて居るッス、あれがカンペッスね。頼りにしてるッスよ。



 落ちてきたテラッチは、何故かあーしの前でビシィっと直立不動の姿勢で立ってるッス。これは計画がすんなり進められそうッス。狙い通りッス。


【ちゃんと真剣にやらないと、君のこと嫌いになっちゃうよ(はあと)】


 『はあと』の意味がわかんないッスけど、このカンペ通りに言えばいいッスね。


「あー、ちゃんと真剣にやらないとテラッチのこと嫌いになっちゃうよ、ござる」


 テラッチの表情が絶望に染まっているッス。この一言でこの変わりよう、カンペすごいッス。


【真面目な態度で講習を受ければ私からご褒美あ・げ・ちゃ・う(はあと)】


 次のカンペが出てきたッスけど、意味がわからないッス。嘘でも何かイヤッス。アドリブを考えないとッス。


「えー、真面目にやれば良いことが有るかもしれない可能性がなきにしもあらず、ござる」


 あ、アドリブに弱いッス……。なきにしもあらずってなんなんッスか。


 あれ? テラッチの表情が明るくなってるッス。

 一応カンペの趣旨に近い感じで言ったのが良かったッスね。

 さすがメニューのカンペッス。なんかテラッチがすり寄ってきたッス、ちょっと動きがキモいッス……。

 あーしはカンペを見ないといけないッスから、仕方なく足でゲシゲシ追い払うッス。蹴っ飛ばしたくなる衝動は抑えたッス。

 テンパりすぎてテラッチが何か言ってたッスけど聞き逃したッス。


【雑念を捨てて、清い心で講習を受けるなら指導してあげちゃうわ(にっこり)】


 にっこりッスか! にっこりッスか? ぐぬぬぅッス。


「んー、雑念を捨て、清らかな心で講習を受けるというのならば、指導してもよいぞ、ござる」


 ちょっと表情筋がヒクヒクしてしまったッス。テラッチをゲシゲシしながらの演技はきつかったッス。

 テラッチはこっちを見ていなかったッスから、にっこりの演技はいらなかったのではないかと思うッスが。……メニューのカンペはここまで完璧ッス、信じるッス。

 テラッチも『わかりましたー』とか言ってた気がするッス、きっと流れは完璧ッス。


【わかったわ|(ここでぱぁーっと目を見開く)、生まれ変わった新しいあなたを信じてあげるわ(ここでにっこり)、じゃあ早速講習を始めるわよ|(ここで知的なほほえみ)】


 な! 演技指示がやたらと多いッス。

 ぱぁーっととか知的なほほえみとかレパートリーにないッス。

 困ったッス、テラッチも今はこっちをしっかり見ているッス。ごまかせないッス。

 カンペ通りにやらないと作戦が失敗したら困るッス。


「うー、わかったぞよ。生まれ変わったニューテラッチを信じよう、講習を始めるぞ、ござる」


 が、がんばったッス、超絶頑張ったッス、表情筋が痙攣するッス。

 メニューがカンペを片付け始めたッス、テラッチがなんか恭しく頭下げてるッス。成功ッスか? これでばっちりッスか? 女優デビューッスか?


《大丈夫よ、講習を初めていいわよ》


 ほっとしたッス。

 あとは準備していた講習を初めていいッスね。

 テラッチに昨日と同じ場所に立たせて指示を出したッス。今日は真面目にふむふむと理解しようという姿勢が見えたッス。

 ちょっとうれしくなったッス、だめだめな生徒を改心させることができたッス。


 準備していたのは、気配玉ッス。気配を泥団子に混ぜて丸くした物ッス。

 最初は他の物を投げないで気配玉だけにするッス。そうすれば気配のみを集中して感知できるようになる計画ッス。


 テラッチもやる気を見せて今日こそとか言ってたッス。

 あーしもそれに答えて慈愛に満ちた表情を作って、視覚と聴覚を遮断してあげたッス。

 やる気を出した生徒にはきちんと答えてあげるのが美人女教師のつとめッス。



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