表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/38

12,念入りな事前準備(18~19)


 早速緑屋根の小屋へやって来たッス。

 ベイスの講習が終わるまであと少しッス、急いで細工しないとッスね。


 落とし穴は基本ッス、ぽちっとすると槍が飛び出してくる壁とかは『おやくそく』ってやつッス、あと座ると壊れる椅子も必要ッス。

 あとは右と左のボードのどちらか選んでダッシュ、飛び込んで不正解だとねばねばに突っ込む、とか言うのもテラッチの文化ファイルにあったッスね。


 はっ、今日は罠は要らないッス。

 あぶないあぶない何だか楽しくなってたッス、罠の罠にはまる所だったッス。今日の講習に必要な物を用意するッス。


 あの失敗クエストの時に何があれば楽だったかを考えたッス。

 優先するのは『空間把握』ッスけど、希望のリストにはなかったッスから、なんとか追加したいッスね。

 それから『気配察知』があれば、魔法の行使も楽になるッス。

 あとはもし相手が魔法を発動しようとしたら、事前に察知できる『魔力感知』を強化したいッスね。魔力の基本はだいたいできているッスから、そんなに苦労しないで覚えてくれそうッス。



  ◇



 ふーむ、部屋の感じはこれでいいッスかねー。

 緑屋根の小屋をもらったッスけど、普段はここに居ないッスから、部屋に置く物は特になかったッス。

 シンプルイズベストッス。

 綺麗なおねいさんはすっぴんも美人ッスからね。


 で、内装の代わりに力を入れたのが床下の地下空間ッス。

 テキトーに広めの空間を用意して、ちょっとやそっとの攻撃ではびくともしない部屋を作ったッス。頑丈ッス。準備万端ッス!



  ◇



 むむっ、ベイスの魔法講習が長引いてるッスね。攻撃魔法を教えてもらってるッス。

 おもしろポイントを見逃していないか気になるッス。

 なんか光の球がその辺にいっぱい転がってるッスけど、攻撃魔法の講習ッスよね? ……なんでその辺転がってるッスかね? 謎ッス。


 おぉー、おもしろ魔法が発動したッスよ! 魔力の糸をぴよーんと相手まで伸ばして、相手に当たった部分を玉状に膨らませ魔法に変換、相手は死ぬッス。

 こ、これは使えるッス、背後からコッソリ狙えるッス、曲がり角の先を狙えるッス、鎧の中まで侵入して爆破できるッス。テラッチ恐ろしい子ッス。

 ベイスは魔力の無駄使いと言ってるッスけど、無駄になってないッスよ。

 あ、気が付いたッスね、なるほど、遠くにある物を操作するという使い方もあるッスね。不器用なテラッチだけど、変な才能はあるッスね。



 攻撃魔法の本講習は次回になったッスね。糸びよーんまでずいぶん時間掛かったッスし、飛ばすほうも十メートル位までだったッスもんね。要練習ッスね。

 デバフ講習は三種類ッスか、『拘束』、『暗闇空間』、『沈黙空間』。この選択は失敗クエストを楽にするための物ッスね。あーしと同じ考えッスね。

 テラッチも気が付いて悔やんでるッスね。でも過去を引き摺りすぎてはダメダメッスよ、前を見て進まないとッス。



  ◇



 ぶふぉっ、ころがった! 


 テラッチが開発した玉子型のデバフ玉。拘束の魔法とか三種混合らしいッスが、ちゃんとうまくできてるかを試そうとしたテラッチが、自分を中に閉じ込めて中で動いただけでコロコロ転がったッス。ププーッ。

 固定を忘れるとか、おマヌケが過ぎるッスよ。プププーッス。

 なんで三種類のデバフをまとめて一つの魔法にするッスかね。大笑いッスよ、おもしろポイント大賞候補ッスよ。

 『また変なことしないように基本を守って練習しよう』キリッ! って言ったのに、言ったのにーッス。キリッ、ププププーおかしいッス。


 ベイスもすぐ割らないでコロンコロン転がしたらおもしろだったッスのに、惜しいことをしたッスねー。




 そういえばあーしの講習に来たテラッチに言う『初登場時の台詞』というのを考えていなかったッスね。

 ベイスは何て言ったッスかね? 『オレがベイスじゃ禿ではないぞ』とか『ベイスだ! がおー』とかそんな所ッスねきっと。

 あーしはスマートに決めるッスよ、シンプルが一番ッス。初対面の挨拶は大事ッスからね、ビシィっと決めるッス。


 発声練習とかしておいたほうがいいッスかね、あえいうえおあう。

 発声してなかったッス、心の声に慣れすぎていたッス。


「あえいうえおあう、かけきくけこかく、さしすせ……ッス」


 完璧ッス、いつも以上の美声ッス。自分でほれぼれしたッス。


 そうだッス!、登場のしかたっていうのも大事ッスよね。

 天井からシュタッっと降りて登場とか、壁だと思ったらペランっと壁紙が剥がれて登場とか。どんでん返し! 壁がくるんと回る仕掛けを今から用意して驚かせるのもいいッスかね。

 あれ? 違うッス違うッス! 何で忍者になじんでるッスか!


《シノービ、楽しそうな所悪いけどそろそろそっちに行くわよ》


 ついにキターッス。準備はばっちりッスよー。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ