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少年のそれから

一話


 少年は奴隷を買った。幼い少女だ。少年は購入した少女を宿に連れ込んでいた。

 文字通り、年端のゆかない幼い女の子である。少年は人としてクズであるということを自覚していたが、我慢できなかった。

 少年は宿のベッドに引きずり込んだ。勿論同じベッドだ。少年はクズなことに、一緒のベッドで寝ようとしているのだ。しかし少女は抵抗することもなく随分従順であった。

 少年は少女を、己が思うように弄りまわしていた。少女の幼い体に腕を回したり、着せ替え人形にしたりしてしまうのだ。魔法のトランクからは、洋服だけならまだしも、鎧などもつけたりするのだ。


二話


 少女の話である。少女は家族から売られてしまい、少女は奴隷となっていた。少女は教育とかそんな奴隷として非道な目に遭う前にすぐに買い手がついた。奴隷の中には、教育という名の下、悲惨な目に遭うのだそうだ。それを考えると少女はすさまじく運が良かった。

 少女の買い手は、少女とほとんど変わらない年齢の見た目をした少年だった。わずかに年上かもしれないと、少女は思った。少年の服装は随分高価なものを思わせた。少年の見た目と言えば、少年が得意とする極小魔術の工程を挟んだ化学繊維を模倣して作った繊維を利用したワイシャツ姿なのだ。

 少女はとてもではないが少年が直接的な買い手だとは思っていなかった。奴隷商人だって少年とは別に主人がいると思って売ったのだ。でなければ、門前払いだった。


 少女は少年連れられ、もてなしてくれた。最初の一日においしい料理を振る舞ってくれ、湯あみなどもさせてもらい、奴隷になってから着ていた衣服が汚いと衣服も与えてくれたのだ。

 少年はよく少女に笑いかけてくれた。それが少女の警戒心を解いた。

 少女が食事を与えられた時、あまりにおいしい料理に驚いていたが、少年はこう話しかける。

「この料理は僕の故郷の味付けなんだ。口に合わなくても、慣れていかないと」

 少女は「すごくおいしいです! こんな料理、今まで食べたこともない!」と喜んでいた。まずかろうとも美味かろうともどちらにせよ慣れてもらわないと、少年にとっては困るのだ。


 そして少女はあまりに幸せな気分で一日が終わろうとしていた。しかし、不意に不安になった。これ程までに無い幸せである。しかし、これから仕える主人はこの少年のように優しい保証はないのである。宿のベッドにこしかけて、少女は少年に不安な心境を吐露した。「これから行く主人はどういう人なのか。優しい人なのか」と。そこで少年は少女が何か勘違いしているのだと理解した。

 あえて少年は本当のことをまだ伝えずにおこうと考えた。少年は話を誤魔化そうと少女に寝るように伝える。しかし、今日も寒いのだ。そんな夜の中、故郷にいた時のように震えながら寝るのかと思うと少女は嫌になった。

 だが。どういうわけか今、少女は少年と一緒のベッドに寝ていた。しかも少女を抱きしめている状態であるのだ。しかし不快なものではなく、むしろ抱きしめる少年に少女は安心感を覚えた。それに温かく、少女はこのぬくもりのとりこにされるのだ。少女は気がつけば、求めるように少年を抱きしめ返していた。

 少年はこのとき、少女をまるで猫のように感じていた。地球に居た時に祖母の家で飼われていた猫も、この少女のように抱いていたのだ。頭を包むように撫でてやれば、寝ぼけているのか、この少女も猫のように嬉しそうに目を細めるのだ。


三話


「僕はてっきり、君を十四、十五歳くらいだと思っていた。随分大人っぽいな」

 少女は十歳だということを聞いた少年の言葉だ。どうやらこの世界の人は、大人っぽい人が多いらしかった。頭ではわかっていても、うまく認識できないのだ。少年は十五歳の体のままと言っても、元より小柄な体格なのだ。周りが大人のような風貌に見えるのは仕方のない事だった。

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