つかいっぱしり少年
一話
少年は放浪の旅に出ていた。食事も睡眠も少年には必要がない。ぶらぶらと意味もなく過ごしていたのだ。そこで少年は歌って踊る姉妹にであった。
見世物をしながら旅をする姉妹だ。明るい性格の姉妹に惹かれ、少年は子犬のようについていってしまった。そこで少年は、久しく人の温かさを思い出した。そして己がいかにグズだったのかも認識した。
少年はこの姉妹との旅がずっと続くのではないかと思っていたが、そうでもなかった。姉は稼ぎが無いときは体を売っていた。それが祟って、病気になっていたのだ。
「梅毒だ。ペニシリンが有効だと言われてるけど、セファロスポリンでも効くみたい。良かった」
「貴方、薬師?」
「昔、『極小の魔法使い』と自称してた。得意分野は細菌なんだ。培養とか寄生虫とかね」
少年は姉に、体を売るのが原因で止めるように伝えた。しかし、少年の思いは姉には伝わらなかった。
姉は「遊びたくなるときがあるんだ」と言った。全て金の為だけにやっているのではなかった。薬にだって限りはあり、妹を一人にさせるべきではない。健康でいて、越したことなど無いではないか。どうしてそれがわからないのか。
少年は呆気なく言い返された。「子供には説明してもわからない」と。
話し合う事もできなかった。
「頼む! 説得してくれ! お姉さんを無くしたくないだろ? お父さんもお母さんも流行り病で亡くしてるんだろ?」
「でもその薬があればまた元気になるよ」
「バカいえ! 本来は毒なんだ! 抽出するにしても限りがある」
「お姉ちゃんを馬鹿にしないで! 貴方よりしっかり考えがあってしっかりしているんだから!」
妹は、そんな姉にすがるばかりで、少年の助言に耳をかすことはなかった。
少年はただのお節介で、はた迷惑な存在だった。何が助けになるのかもわからない。少年はどうすればいいのかわからず、わからないまま、二人の姉妹と別れることとなってしまったのだ。
二話
少年の性格は丸くなっていた。いかに自分が卑小でクズ野郎だと言うのが認識させられていた。
そこで少年は、日本人に出会う事になった。神様に転移させられ、封印の使命を与えられたらしい。