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少年 ぶっ壊れ行動

一話


 少年は溜まりに溜まった鬱憤が爆発した。少年はこの世界に来て、一切年をとらなくなっていた。勿論身長なんてそのままだ。


 姿はガキそのものであり、受付嬢に馬鹿にされることもあれば、新人にさえも馬鹿にしていた。それがムカついたのだ。ある時、感情に正直になった。ムカつくやつらを、思うままに殴り殺してやったのだ。


 蹴り飛ばせば一瞬で上半身が無くなるのだ。その被害者はたまたま悪人ではあったが、少年にとっては関係が無かった。本当にたまたまなのだ。善良な庶民であっても、その時の少年ならば迷わずに殺していた。


 それから少年は街での扱いが変わってしまった。だが、扱いが変わったところで少年の人々に対する認識が変わることはなかった。少年は、己の感情に忠実になっていたのだ。


少年は街に疫病が流行ったとき、この街に浸透していた治療を否定した。少年は知識しか無いものの、適切な治療を施して街の人々を救ったのだ。


少年は感謝に浸ることはなく、ただ罵倒してやった。「なんて遅れた街なんだ」と。少年はただ街の人々を罵倒したかったのだ。今まで馬鹿にしてきた奴らに、自分にしてきたことを思い知らせてやりたかったのだ。


ワイバーンの群れが街をおそってきた時も、少年の力だけで皆殺しにしたあと、何かにつけて罵倒した。住人は避難が遅い、そんな奴は邪魔になる前に死ね。ギルドの水準が低い。報告も連絡もあったものじゃない。ギルドの上はグズだ。と。


「この薬は素晴らしい」


「それ、セファロスポリンっていうカビから抽出した毒。騙されて毒飲まされてることにも気が付かねえでやんの。人体実験ありがとさん」


少年はやりたい放題だった。街を少年が取り仕切っていた。恐怖で縛りつけていた。


少年の怒りを買えば、毎日一定の時間に現れて、半殺しにする。それがずっとである。そして一定のトラウマを植え付けるか、自害するまで繰り返されるのだ。逃げ出せば、即、晒し首となっていた。


少年は自ら作ったヒトガタゴーレムを追い出した。ゴーレムは、感情を持ち、進化する特異な存在だった。少年の最高傑作だ。それを追い出したのはなんとも身勝手な理由だ。


自己進化するがゆえに、ゴーレムは成長した。最初は三歳児程の身長であったが、気が付けば少年の身長に並ぶところまできていたのだ。見下されるのが嫌で、適当な理由をつけて追い出したのだ。


「ドラゴンなんて、俺には雑魚だ。しかしお前はそういうワケにはいかない。ドラゴンを殺せるようになれとは言わん。せめて足手まといになるな。そこで四十年の修行に行くことを命じる。それまで俺の事は探すな。わかったな」


少年は、修行が終わったとき改めて俺の同行を許すと伝えた。勿論、そんなつもりなどなかった。ヒトガタゴーレムの思考回路は単純なのだ。ゴーレムの思考回路は、統合失調症をモデルにしていた。それは、数え切れない思考ブロックに分岐していて、中心となる思考が分岐した思考を回収して判断している。


一回眠る度に、進化工程が決定し、不要な肉体や思考は消去されるのだ。それを繰り返せば、すぐに手段と目的が逆転するのだ。それを少年は利用したのだ。少年は、七年間も一緒にいたヒトガタゴーレム追い出したのだった。

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