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プロローグ

のちのちR15な描写が出るかもです

人がどん底に落ちる姿を見てみたい。

例えば人生を上手く生きている人間がどん底に落ちる姿だとか

例えば不幸続きで人生上手く生きていない人間がもっと落ちる姿だとか


別にサイコパスじゃないわこれは本能よ本能

自分より人生バラ色の人間を見たら蹴落としたくなるでしょ?

自分よりツイてない人間を見るともっと蹴落としたくなるでしょ?


人の感情を操れる物なんて一生できないわ

だって山の天気も真っ青なくらい気分屋だもの


どうせつまらない世界だもの

もっと

もっと

もっと



自分に正直に生きましょうよ








耳障りなアラームを消す。

寝起きは最悪だった。

携帯を見ると一件のメールが来ていた。

元嫁の千尋からだった。

「久しぶりです。部屋を片付けていたら貴方の私物が混ざっていたので宅配便で送りました」

なんとも淡々とした内容だった。まあ捨てた男に可愛いらしいメールをするわけがないのだが。

返信はせず、仕事の支度を済ませ仕事場へ出勤した。



「ふぅ……」

今日も疲れたと溜息をつく。

坂本弘樹はサラリーマンだ。結婚していた時は溜息をつく暇もなく急いで家に帰っていた。

が、今はそんなことをすることもなくなった。離婚したからだ。

弘樹の母と嫁の千尋は折り合いが悪く、幾度となく衝突していた。

弘樹は嫁の味方をしていたが、男の目では届かない所で二人は争っていたらしい。

我慢できなくなった妻が離婚を申し出たのだった。

「どうしよもねぇな……」

吐き捨てるように呟いた。

始めの3か月は独り身でも毎日を謳歌していたが、それを過ぎると独り身の寂しさが襲ってきた。

今更だが、離婚したことを後悔して6年も経ってしまった。

気づけば30代後半になっていて恋愛をするのもしんどくなってきたのだった。

(それにしても、今更千尋の所に俺の物があったなんて…なんだろうな)


そう思った時だった。目の前に少女が俺の進路を塞ぐように立っていた。

少女を避けて進もうとしても少女が邪魔をする。

「えーっとどうかしたの?」

少女に問いかける。どう見ても普通の少女だ。いや上の中くらいの可愛さだ。

と思いすぐに邪心を消す。寂しすぎて未成年に手を出すなんて言語道断だ。

「ねぇ」

少女が話し始めるすると時間が止まったようなそんな空間になった。

俺は辺りを見回す。俺はさっき歩道を歩いていてその横で車が走っていたはずだ。

なのにそんなものは初めからなかったような風景だ。

「ここは……どこだ?」

思わず出た言葉に少女が返してくれる。

「おじさんの悪夢だよ。」

「悪夢?」

「そう。悪い夢だよ」

クスクスと笑いながら少女は顔を上げた。

色白だ。しかも美人だ。だが生気がなかった。

「おじさんをからかうのやめてくれ。おじさん疲れてるんだよ」

「そんなの私知らないもん。」

「けどなぁ、人が嫌がることはしちゃいけないんだよ」

「それは”生きてる人”にでしょ?」

「え?」

少女は手を差し出す。思わずその手にこたえるように手を差し出す。

「君寒いの?」

あまりにも少女の手は冷たかった。

「寒いとか暑いとかよく分かんないよ」

「とても手が冷たいけど」

少女をよく観察してみると真冬が近いというのにワンピース一枚だった。

もしかしたら育児放棄されている子供なのだろうか。

「とりあえず、おまわりさんの所に」

「そんなものここにはないよ」

そうだった。ここはわけがわからない世界だった。

俺がどうしようか悩んでいると少女がまた笑い出す。

「おじさん、頑張ってね。悪夢は時に現実になるよ」

少女がそう言った途端世界が明るくなった気がした。

周りを見渡すと車の音や電車の音がする。

前を見るとさっきいた少女はいなかった。





携帯のアラームが鳴る。それをさっさと切り身支度を始める。

昨日の夜ははっきり言ってまったく眠れなかった。

突然現れた少女そして忽然と消えた少女。

その少女の手は生きている人間とは思えないほど冷たかった。


携帯の着信音が鳴る。部下からのメールだった。

”すみません!どうやら今日熱があるみたいで仕事休みます!締切が今日までのやつがあるのでお願いします!”

休みを伝えるメールだった。今年入った新人で相田智久というイケメン君だ。

仕事はできるし物怖じせず誰とでも話す明るい若者だ。女子社員からは大人気だ。

一人の穴が空いてしまったので俺はいつもより早く出勤した。


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