今日から本入部です!
授業が終わり鐘が鳴り響く、この鐘が鳴るのを心待ちにしていた茜は、授業終わりの挨拶が終わるとせかせかと荷物をまとめる。
するとトンっと背中を誰かに叩かれ茜は振り返る。
そこには、同じくワクワクした表情でたっている美咲がいた。
「茜〜♪今日から本入部だよ!」
そう、今日は待ちに待った本入部の日なのだ
今までも本入部というコトにはなっていたのだが、まだ学校側に申請できなかったので練習には、参加できなかったのだが、今日からは、一部員として演劇部に本入部するのだ。
「うん…!楽しみだね美咲!」
当然!と笑う美咲は、早くも荷物をまとめていた。流石美咲仕事が早い。
「HR終わったら急いで部室に行こうね!」
「うん!」っと頷きお互い席につく。
ノリタケ先生の長い話がもどかしく、柄にも無くソワソワしてしまったがそれ程楽しみなのだ。
そしてやけに長く感じたHRが終わった。
***
「茜!早く早く!」
「ま…まってよ美咲…!」
今私達は部室の前の廊下にいる、確かに急いで部室に行こうとはいったが走る必要は果たしてあっただろうかと考えざるを得ないほど美咲の足取りは早すぎた。
とにかく過剰に乱れた息を整え、茜は部室のドアをあける。
「こんにちはー。」
控えめにドアを開けると、先輩の皆さんはもう揃っていた。
「あー!茜ちゃん美咲ちゃんこんにちはー!お疲れ様」
と、1番先に迎えてくれたのは穂香先輩だった。「お疲れ様です」て挨拶をすると有沙先輩も話かけてくれた、個人的には有沙先輩か1番絡みやすい先輩だとおもっていた。
すると油断していた私の背後から影が襲いかかって来た。
「あっかねちゃーん♡」
「ひぇえっ!?」
思いもよらぬ強襲に後ずさる茜は、足元の紙袋に気づかずに引っかかり、後ろ向きに倒れそうになる。
「きゃっ」
「茜⁉」
背中に走る痛みを身体を強張らせながら構える…が、ふわりと茜の身体は受け止められ、痛みは勿論なかった。
「ふぅー危なかった、茜ちゃんはよく転ぶなぁ。」
「あ…!」
見上げると、綺麗な黒髪に色素が薄い綺麗な肌が見えた。
その姿を確認した途端に茜の顔はみるみるうちに暑くなってしまった。
「ゆ、祐樹先輩…。」
「や。」と軽く会釈をして祐樹先輩は笑ったその笑顔をみてまた心がざわつく。
すると穂香先輩の叱咤の声が響いた。
「ちょっと!ブンちゃん⁉茜ちゃんに怪我させ無いでよね!」
「すいまっせーん」と対して悪びれた様子も無く謝罪の言葉を口にする、先ほど茜を襲った人物は、佐々本 文也先輩通称ブンちゃん。
借り入部の時からやたらと絡んでくれる、明るい先輩。
「茜ちゃんが可愛いから!ついつーい抱きしめたくなっちゃって!」
そういいながら文也先輩は腕を身体の前で重ねてハグのポーズをとる。
その姿が可笑しくて皆が笑うと祐樹先輩が不意に呟いた。
「あー、でもギュッてしたくなる気持ちはわかるなぁ。茜ちゃんちっこいし」
茜を立たせながらそう言った先輩の言葉のせいでさっきよりずっと顔が熱い。
「だよなー!祐樹わかってんじゃん!」
「えー ?じゃぁ私も茜ちゃんとギューするー!」
と、甘えたような声で穂香先輩が茜に飛びついてきた。
すると有沙先輩も美咲も面白がって抱きついてきたせいで部活が始まる前に茜はもみくちゃにされてしまった。
***
「さて!お遊びはこれくらいにして!部活を始めましょうか!」
と穂花先輩が仕切り直すように言った言葉に今の今まで茜をもみくちゃにしてた先輩達も反応する。
そこからはとても行動が早く、先輩達は手際よく柔軟体操のためのマットや部活につかう機材を準備し始めた。仮入部期間もぶっちゃけ部員と同じように参加していた茜と美咲も
段取りは分かっているので準備に参加する。
「よし!じゃぁ発声するよー!」
穂花先輩のかけ声と共に、私の本入部がスタートした!