演劇部に入部します!
部活紹介が終わり、一年生は皆それぞれどの部活に入るか、友達と話し合ってる。
私達もその中の一人なのだが。
「何部にはいるの?やっぱり茜は演劇部?」
私は少しだけ微笑んで「うん」と頷く。
「さっきの見てますます入りたくなっちゃった美咲は?幽霊部員ならパソコン部とか?」
私がそう言うと美咲は頭を掻いてちょっとだけ照れたように。
「いや…あたしもさ?その…演劇部いいなぁなんて…」
その言葉を聞いて私はたちまち笑顔になった嬉しさを隠せなかった。
「うん!うん!そうしなよ!美咲が同じ部活だったら嬉しいよ!今日帰り早速見学に行こうよ!」
美咲は照れたように、顔を染めると頷いた。
私は知らなかった、この美咲の照れた顔が、私の異様な喜びように対してはでなく、別の物に向けられていることを、…そして、これが私を後々大きく苦しめることを。
***
「最悪だね…茜……はぁ」
「うん、…だね。」
私達がそう言うのには大きな理由がある、
それは、私達のクラスの担任が、にっくき体育会系教師、秋山 憲武先生だったのだ。
「今日会ったばかりの人だけど……やな思い出?しかない…はぁ…。」
何はともあれ、今日から私は高校生です。
部活に勉強がんばろう。
HRが終わり、美咲が私に話しかけてきたくる。
「ね、早く演劇部見学に行こうよ!」
私よりノリノリな美咲に苦笑しながら私は荷物をカバンにつめて席をたった。
***
私と美咲はある部屋の前に今立っている。
「ここ…だよね?部室。」
「ここだよ、だって演劇部ってドアに書いてあるでしょ?」
そうなんだけど、何か…違和感と言うか……
少しだけ静かすぎる気がする。
「ま、とりあえず入ろうよ」
そう言って美咲がドアノブに手をかける…といきなり扉が開き、何故か私が中に引きずり込まれた。
「ふぇ⁈」
「ちょっ、茜⁉」
私の後をおい美咲も部屋に入る。
すると美咲はうまいこと止まったが、勢いを殺せなかった私は派手につんのめってしまう
「わわわっきゃー!」
倒れる!そう思った瞬間、誰かに受け止められた。
次の瞬間。
「ようこそ!新一年生!」
私と美咲は唖然とした、まさか…異様に静かだったのはこの為か!
私がそんなコトを考えてると、一人の女の先輩が前に出てきた。
「やーん!見学に来てくれてありがとぅ!
可愛い一年生が来てくれて嬉しいわ!」
と、能天気な声色で言う彼女は……一言で言うとすごい美人だモデルみたいに美人。
(あ、この人…お姫様の人だ。)
さっき彼女をみた時も綺麗な人だと思ったが近くで見ると本当に綺麗だ。
私が、彼女の美しくしさに目を奪われていると、頭上から声が響いた。
「ほのかさん、イタズラ好きはイイですけど危うくこの子怪我するとこでしたよ?」
私は、この声に聞き覚えがあるコトに気づくと、ゆっくりと見上げてみる。
そこには、あの人がいた、私は抱えられたままなコトに気づき慌てて離れる。
「ごっごめんなさい!ありがとうございました!」
すると彼は優しく笑って。
「ううん、全然大丈夫だよ、なんかさっきから君とやたら縁があるね。」
と言って彼は私の頭をポンポンと撫でた。
「⁉」私はビックリして飛び跳ねそうだったが美咲に手を掴まれて跳ねれなかった。
美咲が小声で。
(さっきから縁があるってなに?知り合い?)
(いや…知り合いってゆーか…何てゆーか…)
やたら目が会うのも偶然のコトだし、それだけで知り合いってのは、おこがましい気がしてならない。
「あれー?なぁに?こんちゃん、その子とお知り合い?」
どうやらあっちも同様の疑問をもったらしく、こんちゃんと呼ばれた彼は小さく笑いながら。
「うん、少しね。」と答えた。
それに、ほのか先輩と言う美人な先輩は「ふぅん」と言い何故かニヤニヤしている、
するとクルッと先輩が私と美咲に向き直り。
「ね、あなた達はもしかして入部をしてくれるのかな?」
蘭々とした目を期待に輝かせ問いかける先輩に私は。
「は、はい!私は……実は演劇部に入りたくてこの学校に来ました。さっきの劇も凄くて!凄く面白かったです」
そう言うと、先輩達が「嘘ー?嬉しい」など喜んでくれていた、少し照れ臭くて下を向くと後ろから美咲の。「へーそうだったんだ」
と呟く声が聞こえた。
「ねね、あなたは?」
すると今度は美咲に質問の矛先がむかった。
美咲は少したじろきながら。
「私も…さっきの劇みて、入りたいなぁって…劇…すごい素敵でした。」
そう言った美咲に、彼が「ありがとうと」反応してくれていた。
(わ、何か…凄いいい人だな…)
私は、彼を見ていたせいで美咲の顔が凄く赤くなってるコトに気づかなかった。
「じゃぁとりあえず、二人は入部ってことで自己紹介しちゃうね?私は三条 穂香一応部長でーす。
三年が私しか居ないからとりあえずなった感じかな。」
軽い感じで挨拶をしてくれて、幾分か緊張が緩んだ。
(優しそうな人だな…何か…格好いい。)
次に自己紹介をしたのはあの人だった。
「俺は、近藤 祐樹副部長、学年は二年だよ。わかんないことあったら何でも聞きな。」
言い終わると、バッチリ目があってしまい、私が固まっているとまた、優しく笑ってくれた。
(二年生だったんだ…)
すると肩に突然美咲の手が置かれた、
すると美咲が頬を赤らめて。
「ちょっ…今あの先輩私に向かって笑ったよね⁉」
あ、なんだ美咲に向かって笑ってたのか…恥ずかしい勘違いしちゃったな…。
美咲が何故か顔を赤くしているねを不思議そうに見ていると他の先輩の自己紹介も始まった。
「私は、山内 有沙てゆうの二年生だよ仲良くしてね。」
なんだか関わり易そうな先輩だなぁ、私は静かにありさ先輩に好感をもった。
その後3〜4人の自己紹介が終わりついに私達の番になった。
「じゃぁ次は一年生の2人に自己紹介してもらうね。」
言われた瞬間に美咲が立って私は立つタイミングがずれて転びそうになった。
(な、なんかさっきからやたらヤル気だなぁ美咲。)
美咲は私に小さくごめん(笑)ポーズをとると自己紹介を始める。
「えっと、私は斎藤 美咲です。演劇とか実はよくわからないけどよろしくお願いします」
元気な美咲にピッタリのあかるい自己紹介だった、美咲は人前に立つのが得意らしい。
(いいなぁ美咲…。)
「じゃぁ次はあなたねよろしく。」
部長さんが私の方を見てそう言ったので私は頷いてその場にたつ。
少しだけ俯いて深呼吸する、
(駄目だなぁ私、こんな人数だけで緊張するなんて、だから演劇向いてないって
れちゃうんだ。……でも…演技したい気持ちなら誰にも負けない…!私は負けない!)
黙りこんでしまった私を先輩達が訝しむように見ている、近藤先輩も心配そうに見ている中…私は目を開く。
***
祐樹
彼女が目を開いた時、一瞬空気が止まった気がした。さっきまで何と無く自身無さげに見えた表情は何処にもなかった。
(いい顔するな…。)
彼女が口を開いた。
「木下 茜です。私…今まで人前に出るのが苦手だったんですけど、…でも演技が好きな気持ちなら誰にも負けない!負けたくないんです!これからよろしくお願いします!」
深々と頭を下げる彼女の必死さが何故かとても気に入った、祐樹は口に微笑を浮かべる。
すると同じように微笑を浮かべていたほのかさんが椅子から立ち上がり笑顔で言った。
「咲坂高校演劇部へようこそ!2人共。」