2、とある惑星の戦い
長編「この神は脆弱だ」および短編「電脳八咫烏」に採用。
反乱軍の襲撃は成功していた。
あとはトチガミ会長を倒すだけだ。
だが、トチガミ会長はわれわれの想像以上に恐ろしい怪物だったのだ。
「がはははは、わたしは地磁気にダウンロードされた人格なのだ。この惑星がわたしの体だ。この惑星の寿命がわたしの寿命だ。わたしは限りなく不死に近い体を持つサイボーグなのだ」
「バカな。いったいどうやって」
「地磁気は惑星の核にある鉄が流動することにより発生する。惑星内部の鉄の流動を操ってやることにより、地磁気をひとつの情報体に変え、そこに自分の人格をダウンロードしたのだ。もう、何者もわたしを傷つけることなどできないのだ」
反乱軍は明かされた驚愕の事実に愕然とした。
この惑星がやつの体だとは。なんて強大な体なんだ。
「お前たちなど、地表を這いずる虫けらにすぎん。おとなしく支配されているのがふさわしいのだ。がはははは」
トチガミ会長の声が響きわたった。
くそう、やつを倒すことはできないのか。
このままおれたちはトチガミ会長に支配されたままなのか。
「あきらめることはない。惑星破壊砲準備よし、標準を合わせろ。惑星もろとも吹きとばしてくれる」
英雄ニトウが現れた。
「おとなしく支配されつづけるよりは、惑星ごとやつを倒し、砕けた惑星のチリに住んでくれる。悪は滅びるのだ」
ドゴーン。
惑星破壊砲が発射された。
弾丸は惑星の真ん中に穴を開け、こっぱみじんに吹きとばした。
惑星にダウンロードされた人格であるトチガミ会長も、惑星の消失とともに消え去ってしまった。
こうして平和が訪れたのである。