貴族院、入学初日
それから、半年。
ヴァランシエンヌ公爵家との、養女縁組の、話は、まだ、保留だった。
公爵は、こう、言った。
「リリア嬢、貴方の、貴族院での、活躍を、見させて、いただいてから、判断、します。半年から、一年、お時間を、いただきたい」
——うん、テスト、期間、ね。
——いいよ。
——むしろ、燃える。
そして、十四歳の、春。
私は、貴族院の、入学式に、立っていた。
貴族院の、本邸は、白い大理石の、巨大な、城のような、建物。
中庭には、神殿の、星のシンボルが、刻まれた、聖泉。
寮は、男女別、各、五階建て。
入学生は、約、百名。
全員、エトワール王国の、貴族の、嫡子、または、養子。
入学式の、ホール。
私は、淡い水色の、貴族院の、制服を、着て、整列した、新入生の、列に、立っていた。
「リリア・ド・モンペリエ」
司会の、神官が、私の、名前を、呼んだ。
「魔力測定、史上最高値。社交界では、芸能プロデューサーとして、ベルロワ・カーヴを、率いる」
会場が、ざわめいた。
「あの、モンペリエ伯爵の、養女?」
「ベルロワ・カーヴ? あの、有名な?」
「魔力、最高値、って、あれの令嬢か」
私は、にっこり、笑って、頭を、下げた。
——よし。
——目立つの、計算通り。
——今日から、本気で、目立つ。
そして、入学式の、後——
私は、寮に、案内された。
私の、ルームメイトは——
偶然か、必然か。
ヴァランシエンヌ公爵令嬢、シャルロット・ド・ヴァランシエンヌ。
——!
——次の、お父様、候補の、娘。
——同室?
——絶対、絶対、ヴァランシエンヌ公爵が、仕組んだ。
シャルロットは、私と、同い年。
プラチナブロンドの、長い、巻き髪。
紫の、知的な瞳。
背は、私より、少し、高い。
「あなたが、リリア・ド・モンペリエ嬢ね」
シャルロットは、私を、見て、ふっと、笑った。
「父から、聞いている。貴方を、観察するように、と」
——あ、本人が、言った。
私は、にっこり、笑って、頷いた。
「シャルロット嬢、よろしく、お願いします」
「シャルロットで、いいわ」
シャルロットの、紫の目が、優しく、揺らめいた。
「私も、父の、駒で、あなたの、観察員。でも、私自身は、あなたの、ベルロワ・カーヴの、ファンクラブ会員、なの」
「ええっ?」
「秘密よ。父には、内緒。私、毎月、雑誌、買ってる。ブロマイドも、持ってる。オーレリアン様の、ファン」
——え、最初の、ルームメイトが、ファン……っ?
私は、心の中で、爆笑した。
——よし。
——シャルロット、即、味方化。
「シャルロット、私たち、絶対、仲良くなれる」
「ええ、私も、そう、思う」
——貴族院、初日。
——上等の、スタートを、切れた。
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