閑話⑦ ベルロワ子爵の決意 〜ベルロワ子爵視点〜
# 閑話⑦ ベルロワ子爵の決意 〜ベルロワ子爵視点〜
(語り:ジョルジュ・ド・ベルロワ、四十二歳、子爵)
私は、新興の、子爵だ。
私の、家は、二代前まで、ただの、商人だった。
祖父の代に、王室に、莫大な献金をして、子爵位を、買った。
父は、慎重に、領地を、広げた。
そして、私は——
商売の、目利きで、家を、さらに、大きくしたい、と、願っていた。
その私の、目に、ある日、飛び込んで、きたのが——
下町の、街頭で、歌う、不思議な、少年だった。
最初に、馬車から、彼の歌を、聞いた、夜。
私は、文字通り、震えた。
——この少年は、ただの、貧民街のガキ、では、ない。
——たぶん、世界を、変える、何か、を、持っている。
最初に、声を、かけた、時。
彼は、私の、専属歌い手の、誘いを、断った。
——銀貨二十枚を、断る、五歳児。
——本物だ。
私は、確信した。
それから、彼を、観察し続けた。
照明魔石を、発明した、と、聞いて。
モンタージュ副司令官と、契約した、と、聞いて。
神殿の、保守派と、対立した、と、聞いて。
ベルロワ子爵邸での、秘密公演を、行った、夜。
そして、肩代わり魔力暴走事件で、侯爵夫人を、救った、と、聞いて。
——もう、迷わない。
——あの少年——いや、リリア——は、私の、家を、千倍に、する、宝石だ。
——彼女を、養女にする。
——金貨、百五十枚? 安い、ものだ。
——そして、彼女が、欲しがっている、不死鳥も、共に、買い取る。
——私は、彼女の、最初の、舞台装置だ。
——彼女が、世界を、変える、その瞬間に、私の、家名が、刻まれる、ようにする。
——それが、私の、新興子爵としての、最大の、賭け。
私は、契約書に、自分の、名前を、サインした。
『リリア・ベルナール、本日より、ベルロワ子爵家、養女、リリア・ド・ベルロワ』
——リリア・ド・ベルロワ。
——いずれ、貴族たちは、この名を、知ることになる。
——いや、知るどころでは、ない。
——この名は、エトワール王国の、未来を、決める、名前に、なる。
——その確信が、私の、心臓を、震わせて、いる。
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