お使い・帰宅
『お使い』
今考えればなぜそんなことをしていたのかは分からないが、夢だからと片付けられるだろう。私は夢の中で、夢だと気がつけない人間である。
私はその夜、歩いて二十分もかかる学校への通り道を歩いていた。本当に良く考えれば分かることなのだが、夜にお使いに借り出されることも普通はないし、そもそも、歩いて五分もかからない場所に店があったからだ。
だというのに、そのときの私は買い物を頼まれた。ただそれ一身でマンションと学校の壁の間の細い道を歩いていた。ビクビクとしていたようにも思う。
ふと、背後からザリザリと砂を踏みしめる足音がすることに気がついた。
ビクついていた私は盛大に肩を震わせ勢いついて背後を振り返った。
そこにいたのは包丁らしきものを持った黒い人物。
気がついてすぐ逃げ出したがあちらも当然追いかけてきて、私に迫った。そして、凶刃がすぐ傍まで迫って私はそこで目が覚めた。
暫く通学路を通るのにビクついていたのは言うまでもない。
『帰宅』
わりと最近の話である。
所変わって上の夢から数年後、学校も変わり昔住んでいた持ち家に戻ってきて少し経ったときのこと。
私は帰宅していた。不思議と、このときは第三者視点で自分を見ていたはずなのにやはりそれが夢だとは気がつけなかった。
玄関の鍵を開ける場面には自分の手元がきちんと目に入り、何事もなく家に入っていく自分。しかし、その背後。駐車場に真っ黒い影が視界に写った。
そしてそこで私は目を覚ました。
この夢はかなりリアルで、テストを終えて帰って来た安堵感すらもあった。
勿論、暫く家に帰るときに振り返る癖がついたが、それよりも怖かったのは終わったと思っていたテストが終わっていなかったことだ。
短いので二つまとめてです