じゃんけん
「はい!じゃあ、1が赤組で、2が白組でーす!って、なんか1多くない?」
うん、そうだよね。
如月さん・枝豆さんペアがいるから、そりゃ人気だ、1。てか、これ全員1じゃね?
「うーん、困ったわね。じゃあ、じゃんけん!」
山田先生の言葉に、何にんかが顔を引きつらせる。
じゃんけんだと、運になってしまうからな。俺と翔は絶対一緒だが。
「じゃあ、代表者は立ってねー!先生と、じゃんけん!」
そう言われて代表者は立つ。
「どうするー?」
「豆、やだ。五十嵐くん、やって」
「え、ええ?」
枝豆さんはいやそうだ。翔にやらせようとしている。
「お・ね・が・い・」
うるうるっとかわいい子供っぽい顔を向けられて、ソワソワする翔。
「わ、わかった!俺やるよ!」
「ありがとー♪」
枝豆さんはニッコーと笑う。
クラスメイトの目線が、翔の方を向いているのは触れないようにしておこう。
「いくよー!最初はグー!じゃんけんぽん!」
山田先生は、パーだ。
翔は?グー。
枝豆さんが、不機嫌そうに翔をジトーっと見つめている。
「ご、ごめん!」
「いやいや、いいし。豆が言ったんだし。じゃあ、五十嵐くん一回しゃがんで」
枝豆さんの指示通りに翔がしゃがむ。
すると、枝豆さんが翔の耳元で何かをコソコソっとささやいた。
そして、枝豆さんが離れると、翔が頷いた。
さっきよりも翔への枝豆さんファンのからの視線が、殺気を感じるものになった。
翔、ガンバレ………!
如月さんは、俺の方をじっと見つめながらずっとちょこんとしゃがんでいる。
そうこうしているうちに、勝った人は二人。あと三枠だ。
「じゃあ、二回戦目!最初はグー、じゃんけんぽん!」
山田先生はグー。
翔は、パーだ!
「「イェーイ!!」」
パンッ!
枝豆さんと翔がハイタッチを交わした。
反対に、俺と如月さんはパチクリ。
「はは、枝豆さんの言った通りに出したら、勝てた!」
「でしょ、でしょ。豆、やっぱし天才」
ふふんと鼻を鳴らす枝豆さん。
ブンブンと、翔と枝豆さんはさっきから手を握り合って、振り回している。
俺が視線をそこにやると、二人の視線もそちらを向く。
そして、二人とも手を離し、顔が赤くそまっていった。
「おっけー!じゃあ、今勝った三人が1ね!はい!じゃあこれで行きます!」
山田先生の言葉に、何人かががっくりと肩を落とす。
おそらく、負けてしまったんだろう。如月さん・枝豆さんときそうなんて、いやだもんな。
俺は、そう哀れに思いつつも、如月さん・枝豆さんと一緒のチームで良かったと心の中でガッツポーズをするのだった。