表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

どんな状況でも

作者: 大澤豊

この赤ちゃんは、これからどんな人生を歩むのかな。

いつか、この子がたくさんの人を幸せにするのかな。

いずれにしても、あなたの幸せは私達の幸せです。

「君のお母さんも、全く同じことを君に語りかけていたんだよ」

僕は赤ん坊を抱いた彼女、ミクに囁いた。当然、彼女の耳には届かない。それでも僕は続けた。

「結果的に、お母さんの言った通りになっただろう。君の幸せは僕達みんなの幸せで、だから君はたくさんの愛情を受けて育った。そしてほら、たくさんの人を幸せにした」

僕はミクに微笑んだ。ミクも微笑む。その相手は僕ではなく赤ん坊だ。

「僕は君の成長過程で側にいることができなかった。でも、ずっと君を見守っていたよ。だから、ミクもその子を大切にしてね」

僕の声は小さくなる。

「僕のことを忘れてしまっても、ミク、僕は今でも君の……」

途端、女性ははっとした。

「お父さん?」

隣にいた年配女性が目を見開いた。

「ミク、どうしたの、急に」

「お父さんの声が聞こえた気がした」


どんな状況であれ、誰かの誕生は誰かを幸せにする。

そして、その幸せはどんな状況でも、受け継がれていく。

ありがとう。

世の中をあたたかいものだと教えてくれて。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ