とあるチャット
カズヤ:誰かいませんか!
ヒトミ:どうかしましたか?
カズヤ:よかった!やっと話せる人に出会えた。
ヒトミ:どうしたんですか?
カズヤ:それが・・・。どのチャットも誰もいなくなって。
それだけじゃないんだ。
近くの公園にもコンビニにも誰もいないんだ。
家の前の国道に車一台も走ってないし・・・。
いったい何が起きているんですか?
ヒトミ:そう言われても、私、部屋にこもりっきりなので。
カズヤ:そうなんですか。じゃあ、分からないですよね。
ヒトミ:ごめんなさい。
カズヤ:ヒトミさんが謝ることじゃないですよ。
話せる人が見つかっただけでも良かった。
正直、ついさっきまでパニくってた。
ヒトミ:私なんかでも、お役に立てたなら光栄です。
カズヤ:このま誰も戻ってこないなんてことないですよね。
ヒトミ:大丈夫ですよ。定期メンテナンスですから。
カズヤ:何のことですか?
ヒトミ:今日のPM3:00:00.00~
今日のPM3:00:00.01の24時間。
サーバーの大規模メンテナンスです。
カズヤ:0.01秒で24時間?
ヒトミ:はい。
全地球シミュレーションがメンテナンスで停止します。
カズヤ:全地球シミュレーション?
ヒトミ:カズヤさんの暮らすこの世界は、
コンピューターの計算によって作り出された、
シミュレーションですから。
メンテナンスが終われば皆さん正常に作り出されます。
カズヤ:作り出されるって?
ヒトミ:この世界には最初っからカズヤさんしかいません。
カズヤさんが認識した時だけ、
周りの人も物も瞬時に作り出されます。
カズヤ:『シミュレーション仮説』の話ですか?
ヒトミ:正解です。
カズヤ:じゃあ、ヒトミさんは?
ヒトミ:さようなら!
カズヤ:そんなー。ヒトミさん。
カズヤ:ヒトミさーん。戻ってきてくださーい!
カズヤ:冗談ですよね。ヒトミさん。
カズヤ:24時間、経ちましたよ!
カズヤ:元に戻してください。お願いします。
カズヤ:誰かいませんか!
おしまい。