王様の性格は
聞かなかったことにはできなかった。
「無事に終わったと思ったのに…」
「ほっほっほ、まぁここからは異世界の客人ではなく、王子の友人として気楽に話せばいいのではないかの」
「つまりタメ口」
「やめんか」
結局、あの後王様の執務室で引き続き話することになった。まぁ、あんな表面的な会話じゃ俺達のことを知るも何もないし、想定内ではあるけども。
「王様と、またお話するの?」
ソウちゃんは謁見の緊張がまだ抜け切れてない。見知らぬ大人とまた話さないといけないと思って憂鬱そうだ。
「そうだね。でも、王様と、というより、アッ君のお父さんとして、かな」
「??」
同じ人物なのに別の表現を用いる意味が分からないのだろう、首を傾げる。可愛い。
「つまりじゃな、王子も含めて家族同士で話すから、緊張せんでもいいということじゃ」
「うーん?」
ソウちゃんはまだよくわかっていない。
「アッ君みたいに、もっとソウちゃんと仲良くなりたいんだよってこと」
「そっかー」
少しだけ納得してくれたようだ。最近のソウちゃんは仲良くなることが楽しいと感じるようになってきたようで、その顔は先ほどとは違い明るい。
「さて、では入るかの」
いつの間にか執務室についていたようだ。扉の前の兵士が、ノックして許可を取り俺達を案内する。
「やあ、よく来たね」
アッ君(30代)が先ほどは見せなかった笑顔で俺達を迎え入れた。国王が座っているソファの隣にはアッ君(10代)もいる。
「儂も参加致しますぞ」
爺さんは今度は隣に居てくれるらしい。
「ああ、構わないとも」
そうして俺達はソファに腰を落ち着かせた。
「改めて、私がアークライトの父親のヴィルヘルムだ」
先ほどの威厳ある態度は隅に置いて、あくまで家族として話し合いたいと伝えてくる。
「この度は我が国に来てくれてありがとう」
「いえ、先ほどお伝えした通りお役に立てればと思った次第ですので」
だが、俺は仮面を外さない。
「おや、私はまだ友達になれないようだ」
「王よ、流石にそれは無理があるかと」
王様は思った以上に気さくな人のようだ。それでもまだ警戒は続ける。ソウちゃんの保護者として、爺さんや子供のアッ君はともかく、大人の都合というのは個人を見ないことのほうが多いから。
「それで、わざわざ呼び出してどうしたのですか?」
「え?別に何も」
「何も?!」
何この王様。
「しいて言えば、君達の本音が聞きたくてね」
「本音…ですか?」
要は、謁見の間では言いづらかったことを聞こうということか。
「あと家のアッ君がお世話になるから挨拶をね」
「お、お父様!?」
王様がアッ君呼ばわりしたのは初めてのことだったようで、どこからか聞いたあだ名を言われて混乱する王子。
「はっはっは、いいじゃないか。親しみが込められている、いい呼び名だ」
うーん、どうやら本当にこの人は俺達のことを知りたいだけ見たいかな?報告は聞いているだろうし、爺さんから聞けば大体わかってるだろうし。
「謁見の時はあんなことを言ったが、別に君達に何をしてほしいということも無いからね。やりたいことがあれば勿論サポートするけど、こちらから無理強いはしない」
「何とも、至れり尽くせりなことで」
「はっは、息子の我儘に付き合わせているんだ。無理に縛り付けて子供の友情に変な亀裂を作りたくないんだよ」
ふーむ、この王様は中々話が分かる。
「つまりこれからも待遇に変化はないと」
「そうだね。君は巻き込まれたと聞いてるから、その賠償も含まれていると思ってくれ」
「…王様も、俺を怪しむことはないと?」
最も聞いてみたかったことだ。爺さんとアッ君がどれだけ問題ないとしても、最高権力者が否と言えば逆らえないだろう。
「子供を怪しげな術から助け出そうという気概のある人物が、二心を抱いているとは思わないさ」
そういう王様の目は真剣だった。
「…はー。分かりました。ありがとうございます」
「いやいや、君も言ってしまえば被害者だろう。ま、こちらとしても無理は言わないというだけで、やってほしいことはあるからね」
「無駄飯喰らいにはなりたくないんで、その分は協力しますよ。俺にできることがあればね」
「それは頼もしい。では、早速だが一つ…」
「王」
不意に王様の後ろから声が掛かった。以前の護衛とは違い、我関せずな感じだったから俺も気にしなかったけど、そういえばだれなのだろうか。
「ああ、すまない。彼は宰相のワイズだ」
「宰相のワイズと申します。以後宜しく」
「こちらこそ」
立ち上がりお互いに自己紹介、後握手。堅苦しそうな人だな。
「はっは、彼は堅苦しそうだろう?その通りなんだ」
「王がもっとしっかりして頂ければ私も気を緩められるのですがね」
「分かる」
何故か爺さんが反応した。因みに先ほどから話の外のソウちゃんとアッ君は部屋の隅でボードゲームをしている。俺もあっちに混ざりたい。
「さて、貴殿にやっていただきたいことなのですが…」
余り難しいことじゃなければいいのだけど。
ストック無くなった…少し時間いただきます。




