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君が為に捧ぐ力  作者: 湖水
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王座の間にて

ーーーー「クソッッ!!何なのよ!?計画が台無しじゃないの!」

声を荒げる女性が1人。

「落ち着け。このままでは事がバレるのも時間の問題じゃな。今のうちに逃亡を謀るしかあるまい。」

「既に手筈は整えてあります。ホルム王国の国王に今すぐ向かいましょう。」

老人らしき男性1人と青年1人。

「そうねーーまだ捕まる訳にはいかないわね・・。それじゃ、早速向かいましょう。」

3人はそうしてホルム王国へ向かうーーーー



俺は目を覚ます。

何か背中が痛い。

この固くて薄い布団のせいだな。

ただ起きてもする事がーーー筋トレがあったね。

俺は逆立ちして親指を立てて腕立て伏せをする。

元の世界では、これでいい感じに鍛えられたんだが、この世界では物足りない。

なので片手でやってみることにした。

ーーー楽勝すぎる。全然物足りない。

だがこの牢屋の中でできることなんてこれぐらいしかないのでこれをやるしかない。

そうして右手でやっているとき、昨日の街にはいってからのことを思い出した。

そういえば会話も看板やらも全部日本語だったな。

不思議なもんだ。

そして右手で1万回ほどやり終え、左手で5千回を超えたころ、ドアの開く音がした。

「おう、起きたか。」

ガランが入ってくる。

「そんなことをしてんなら、ビットウルフを薙ぎ倒したってのも分からなくないなーーー話はメルシャ様から聞いた。悪かったな。釈放だ。」

そして牢屋のドアが開けられる。

やったーーーーーーー。

まぁ、当然といえば当然なんだが。

メルシャって子があの時起きててくれてほんと良かった、マジで。

そんじゃ、この国で色々情報やら集めますかね。

「それじゃ、ガランさん。これで俺は。」

そう言って行こうとすると

「ヒビトとやら。我々は偶然とはいえ貴方を疑い、傷付けてしまったのは事実だ。お詫びと言ってはなんだが朝食を食事の間で一緒に摂らないか?メルシャ様も御礼を言いたいと。」

ガランが提案してきた。

何だかにやけている。

どうした?

とその時、俺の腹が鳴る。

束の間の沈黙が流れ、2人の笑い声が響いた。

「それじゃ、遠慮なく。」

そうしてガランの後を付いて行った。


どうやら食事の間とやらに着いたようだ。

「ヒビト殿。失礼のないように頼む。」

それはもちろん了解しているとも。

何たってこの国の姫様2人がいるってんだから。

そう言ってガランは俺の身長の5倍はあろう大きな扉を開ける。

「失礼します。」

俺はそう言うガランの後に続いて中に入るとそこには豪勢な食事がーーー無かった。

赤い絨毯が向こうまで敷かれており、それが切れた先には1発で王様と分かるような格好をしたお爺さんと王女様であろうお婆さんが所々金色に輝く椅子に腰掛けている。

そのすぐ脇にはあの2人の子が立っている。

そして、その前の通路の両脇に彼らの配下であろう者達がきれいに並んでいる。

俺はそのままガランと王様の前まで歩いていく。

聞いてないんですがーー。

俺は心の中で項垂れる。

ガランが王の前でかしづく。

俺もそれに倣う。

「面を上げよ。」

その王の声で顔を上げる。

「其方がヒビトか・・。此度の件、其方には申し訳ないことをした。ここに居る皆を代表して私から謝ろう。すまなかったな。」

そう言って王は頭を少し下げる。

「いえ、そんな・・・。あの状況ではしかたなかったでしょうし、どうか頭をお上げください。」

俺は一国の王に頭を下げてもらっている状況に居心地悪くなり、頭を上げてもらうよう頼んだ。

「其方の寛大な御心に感謝する。民の者達には既に、其方が私たちの娘を救った英雄だと通達をだしているから、そちらは安心してくれ。それから色々話したいことはあるだろうが、それは後程。この王座の間に呼んだ目的は2つある。まずはこの2人のことだが、散歩の為に配下のある1人に護衛として付いて行ってもらったのだが、どうやらそいつに森の中に放置されたようでな。そしてそこに其方が運良く通りがかってくれたという訳だ。そいつとその仲間は手の早いことに既にこの国から逃げてしまったがな。」


ーー成る程。うーーん、質問とかしちゃっていいのかな?

「発言をしてもよろしいでしょうか?」

俺はそう言うと、王はうむ、と言って頷く。

「その犯人はどうしてそのような事を仕出かしたのでしょうか?」

「それはーーーその犯人の中には王になれる権利を持った貴族の者がいるんだがーーまぁ、いろいろあってな。詳しい話は後程しよう。恐らくその者が事故に見せかけて王の候補を消そうとしたんだろう。」

どんな理由があろうとこんな可愛い子達を殺そうとするなんて、考えられない!プンプン!!

「この件に関してはこのぐらいにしておこう。そしてもう1つだがーーー褒美をどうするかだ。パラグラシアへの紹介状と我が国の鍛治師の最高の装備は渡そうと思っているんだが、私達の娘を救ってくれたのだ。他に叶えられる望みなら何でも叶えよう。」

パラグラシア?何だそれ。

「申し訳御座いませんが、自分はずっと森で過ごしてきたのでパラグラシアというものが何か分かりかねます。」

俺はそういう設定にした。

「おぉ、そうか。パラグラシアとは大陸一の魔法騎士育成学校だ。ちょうどそのぐらいの歳だろう。そこでは戦闘や武器の扱い、魔法の取得・向上など色々な事を学べるところだ。悪くないと思うが。」

マホウねぇ〜〜ーーー魔法っ!?!?

素晴らしい事を聞いてしまった。まさかまさか魔法が使えるなんて。俺はまだまだ強くなれるってことか!

「成る程。ぜひ行かせて頂きます!」

力強くそう言った。

「うむ。それで何かないか?」

褒美ねぇ〜。メルシャさんが欲しいっ!とか?

さすがにダメか。

それならーー

「さっきも申し上げたように自分は森で今まで過ごしてきました。なのでこの世界の事について色々教えて頂く、というのは如何でしょうか?」

「そんな事でいいのか?」

驚いた顔で聞いてくる。

はい、と返事を返すと

「それだけかーーーならメルシャはどうだ?」

え?ーーー思考停止。情報整理中。ーーー

俺は急に言われたので固まってしまった。

メルシャの方を見ると顔を真っ赤にして俯いている。

「いや、そんな俺なんかでーーーーー」

王に聞こえない声で顔をほんのり赤らめてそんな事を言う。

あぁ〜〜〜顔が熱いっ!

「まぁすぐに決断せんでも良い。この2人もパラグラシアに行かせる予定だから色々話すといい。それからでも遅くはないーーーとりあえず話は以上だ。食事の間で朝食を楽しんでくれ。」


そう言って王座の間での出来事は終わり、その部屋から出る。

はぁ、疲れました。











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