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滑稽に器用に生きる人
昔語った夢を恥じることは
自分自身を蔑むことだ。
前向きに生きようとするも
前を向いて歩いても誰かに劣る。
後ろ向きに前向きに歩くのは
道化のやり方。
もう曲げられない。
ここまで来たら曲げる気はない。
恐怖なのだ、無能と分かるのが。
自信がある人間は成功してきた者だけだ。
肩書きに縋って生きたとて、
鐘が鳴るのを待つだけだと知った。
今日も蝶を燃やして
その火を見ながら悦に浸る。
意味のない羅列に意味を見いだす。
入り込まねば架空の空に
空に描きながら想うんだ。
活字だらけの海に飛び込む。
それが泥のように纏わりつく。
この時だけは私は私でいられる。
忘れそうになっても、心の底で分かってる。
一生この沼から這い出る気力はない。
入水でもしようか。
二番煎じだ。
傍らに女もない。
それじゃあただの無駄でしかない。
覚えろ。数えろ。私の罪を。
怠惰でしかない人生をそれでも
私だけは認めて生きたい。
誰もいない活字だけの部屋で
啜り泣くのをこらえて海に入った日の話。