16/24
雨の啜り
ただ寒かった。
心が悲鳴をあげるように
ただ虚しいと感じていた。
結局私は憂さ晴らしを
求めていただけだと知った。
けれどそれでも晴れなくて
日々の潤沢さに溺れていて
だから気づかないままだった。
どんなに愛を叫ぶとも
空洞の言葉は涼しく木の葉を
揺らすこともなく
ただ淋しくなった木々を
打ち付けるだけだった。
ただ偉大なるものに近付くために
足掻くことすら忘れて
私欲にいつの間にか嵌まっていたことを
知りもせずに
のうのうと生きさらばえた。
嘆いていても日々は停まらず
私を置いて走り去る。
この後悔だけを
水面に抱いて
苦しく私は藻搔くことしか
できやしない。
たったひとつ残されたのは
彼に託した無価値な響き。
徒然陽の翳る日々だと
たどたどしく知った。