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玩具の鍵  作者: 甘味処 雨
腐食の讃歌
13/24

狂い始まる白

それはそこにいて、

空はそこにいるはずなのに、


彼女はもう失っていた。

意味も価値も目的さえも、

知らずに、知らなくていいのに、

彼女は知ってしまった。


だからもう彼女は白ではない。

不純物が入ってしまったものは、

何かを失う。


それは誰にも答えは出せず、

それは誰もが知っていること、


自分達が何処かで失ってしまったもの。

消してしまったもの、取り返しのつかないもの、


もう彼女はそれさえもあやふやな、

見るに耐えない惨状だった。


それはとても胸が絞まるようで、

そしてもうひとつはとても見とれる光景だった。


転がるビー玉をふと見つけ、

太陽にかざしたときによく似ている、


本当に小さな、

ちっぽけな幸せ。


白という色だけが、

そこで幸せに浸っていた。


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