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狂い始まる白
それはそこにいて、
空はそこにいるはずなのに、
彼女はもう失っていた。
意味も価値も目的さえも、
知らずに、知らなくていいのに、
彼女は知ってしまった。
だからもう彼女は白ではない。
不純物が入ってしまったものは、
何かを失う。
それは誰にも答えは出せず、
それは誰もが知っていること、
自分達が何処かで失ってしまったもの。
消してしまったもの、取り返しのつかないもの、
もう彼女はそれさえもあやふやな、
見るに耐えない惨状だった。
それはとても胸が絞まるようで、
そしてもうひとつはとても見とれる光景だった。
転がるビー玉をふと見つけ、
太陽にかざしたときによく似ている、
本当に小さな、
ちっぽけな幸せ。
白という色だけが、
そこで幸せに浸っていた。