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呉秀三博士、『応声虫』を紹介する。

 応声虫とは、幻聴が自分の体内から聞こえてくるという病気である。隋の時代に巣氏が書いた『病源侯論』に「人間の腹の中から急に人の声がしたり、あるいは人の言葉を学んで受け答えをしたりする」とあるのがそれである。

 ほか2、3の書物にもこの病気が書かれている。

『泊宅編』という本にある逸話では、永州の地方軍にいた毛景という人が奇病にかかり、その人が口をきくたびに喉の中から答えが返ってきた。医者や祈祷師を呼んで治療してもらったのだが、一向に効かない。ところがある道士に「医薬書にある薬の名前を読み上げてみるように」と教えられた。毛景がその通り順番に読み上げていくと「藍」のところで答えがなかった。そこで藍の汁を飲み下してみたところ、しばらくして腹具合がおかしくなり、7センチくらいの肉の塊を大量に吐き出した。それらは全て人間の形をしていたそうである。奇病はすぐに治ったという。

 これと似た話は『遯斉閑覧』や『朝野僉戴』などの書物にもある。

『遯斉閑覧』では楊勔という人が中年になってからこの奇病にかかった。何か言うたびに腹からそれを口真似する小声がある。何年もするうちにその声が次第に大きくなってきた。ある道士が、漢方の書の薬名を読み上げることを教えてこれを治したという話である。

『朝野僉戴』の方では、洛陽のとある地位の高い人がこの病気にかかったときに、張文仲という医者が医薬書を読ませた。喉の中の声はいちいちそれらに答えていたが、恐れている薬の名前が出た時だけ答えなかった。文仲はその薬を書きとめておいて、あとでそれらを調合して丸薬を作って飲ませたところ、病気が治ったとのこと。

 こんな治療法は、現代ならどうであろうか。このような病気が中国の古い医学書に記されているのは面白い。


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