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創世の転生魔術師  作者: 陽山純樹
第十一話

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最終決戦へ

 大天使に関する情報はこの場所に全て集まっている。だからこそ対策ができる上に、アルガという脅威もいなくなったため、魔力集積点へ悠々と赴いて武具を作成することもできる。

 どうすべきか悩んでいる時に、フーヴェイから報告がやってきた。懸念していた通り、どうやら何かしら大天使に動きがあると。それはほんのわずかな魔力の乱れ。けれど誤差と断じて良いかもしれない程度の変化が存在していると。


 アルガが近づいたことで反応したのかもしれない――ユティスはそう判断し、ジュオンとフーヴェイを呼び、話し合いを行うことにする。


「大天使は反応してはいる……が、おそらく予定より先に目覚めることはないだろう」

「その根拠は?」


 フーヴェイの言及にユティスが聞き返すと彼は、


「大天使は兵器だ。製作者の意向に従い動く存在。多少の誤差がある、という可能性は否定できないが、外部からの干渉により時期が変化するというのは、命令変更でもなければ考えにくい」

「わかりました……が、時期が早まる可能性も考慮して、こちらは動くことにします。ジュオンさん、しばらくこの場所に滞在しますが」

「こちらは一向に構わない。魔力集積点などもここからならば行きやすいだろうし、自由にしてもらって構わないが……どのように戦う気だ?」

「三つの武具を生成したことで、結論に至りました。僕の能力であれば、大天使の装甲を突き破ることもできる……加え、大天使の攻撃を防ぐだけの力を得ることも可能。そして」


 ユティスは一拍間を置いて、


「――大天使を封じている器もまた、破壊することができるはずです」

「つまり、封印されている今の段階で破壊する……か」


 ジュオンは理解したように呟く。


「かなり厳しい条件だとは思うが、被害を抑えるためにはそれしか方法はないな」

「これは失敗しても決して無駄にはならないと思います。大天使を打倒するのに必要な手段を確保しているわけですし、もし失敗しても目覚めた大天使におそらく対抗できる」

「そうだな……ただ、実際に実行に移すまでにはかなりの準備が必要だな。武具を一つ作っただけでは駄目だ。アルガとの戦いのように一つではなく、複数……幾人もの戦士が持てるようにしなければ」

「そこは彩破騎士団が適役だと思います」


 ユティスの言葉に今度はフーヴェイが目を細めた。


「自分達にしかやることができない……そういう心境のようだが、構わないのか?」

「はい。ここまで来た以上、最後まで付き合いますよ。一番大天使打倒に近い存在だと思いますし」

「わかった……ならばそちらに対し全面的なバックアップを行う。必要な物があれば言ってくれ」

「ありがとうございます。あと、大天使を器事破壊する算段ですが、斬撃などの攻撃ではさすがに難しいので、魔法による攻撃で仕留める形になると思います。ただ、その場合は色々と準備がいる」

「なるほど……少なくとも大天使が眠る器を移動させることができない以上、無茶をしたら地下が崩壊する危険性があるからな」

「はい。他にも必要なことは多いと思いますが……」

「君の苦労に比べれば大したものでもない……が、果たして創生の異能で大天使を器ごと破壊できる武具……できるのか?」

「理論的にはある程度進んでいます。アルガとの決戦に備えて試行錯誤した結果ですね。仮に失敗しても武具の効力そのものはアルガとの戦いで担保されているため、大天使を討つことは可能だと思います……もっとも、その討伐が厳しいのですが」

「どれだけ資源を投入しても不安が消えないのはアルガとの戦いでわかりきっているし、ここは自分達が納得いくかどうかの問題だな……決戦はいつ頃だ?」

「大天使の動き次第ですが……ただ、準備を始めるとすれば、時間は必要でしょう?」

「そうだな。地下で戦う場合、建物を補強する……魔法による補強であっても、十日はかかるな」

「それくらいであれば、大天使に変化もないでしょうし大丈夫でしょう。ともあれ、魔力集積点を回って武具の準備に入ります。それが全て終わり次第、改めて話をしましょうか」


 ユティスの提案にジュオン達は了承。話し合いは終わりユティスは騎士団がいる部屋へ赴く。


「終わったの?」


 フレイラが問うとユティスは頷き、


「魔力集積点で武具作成に入る……今度はアルガという外部の脅威もいないから、比較的ゆっくりやれるかな」

「ユティス様、お体の方は?」


 ティアナが尋ねる。そこでユティスは自身の両手を見据え、


「問題はない……アルガとの決戦において色々頑張ったけど、とりあえず体調に不安はない」

「何かあればすぐに言ってください」

「わかっている……さて、アルガとの戦いにおいて、いくつかわかったことがある。創生の異能については、やはりというかなんというか……僕が行使した方がより強力になるようだ」

「そこはまあ、わかっていたことだけど」


 リザが言及。アシラやジシス、特にオズエルについては何度もうんうんと頷いている。


「そもそもユティスさんが作成した武具である以上、他ならぬユティスさん自身が自在に扱えて当然じゃないの?」

「フレイラへ贈った剣のように、僕以外の人間が扱えるように調整する方法もあるけれど、誰にでも扱えるようにするといった処置を行うと、自然と僕が一番使いこなせるという結論になるみたいだ。つまり無意識的にしろ、僕寄りの調整が成されるってことだ」

「理屈はわかったわ。でも、そうなると――」

「大天使に対し器ごと攻撃をする場合、理想は一撃で仕留めること。器の中で身動きのとれない大天使へ渾身の一撃を浴びせる……ジュオンさん達にも言ったけど、斬撃では難しいため魔法になる。なおかつ創生した武具は僕が一番使えるとくれば、僕自身が魔法を行使することが一番大天使にダメージを与えられる手段となる」

「私達はその援護ということかな」


 フレイラの言葉にユティスは「そうだね」と同意し、


「どうするか……戦い方については一度考察する必要性はあるけれど、アルガとの戦いと比べて急ぐ必要もない。時間はそれなりにある……けれど、大天使の動向次第で変わるため、準備はできるだけ早く行うつもりだ。よって、魔力集積点を回って武具作成を始める。まずは本命の武具ではなく、フレイラ達に使ってもらう物だ。僕が使用する武器は最後……それまで山を駆け回ることになるけれど、付き合って欲しい――」


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