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信じるもののすべて  作者: ざー
終幕
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32/32

終幕(3)

 ベッドの中で、目を覚ました。赤毛の紳士は泣き出しそうな顔で、俺を見つめている。

「すまない。昔を思い出そうとすると頭痛が起きるそうだね。事件の後遺症だと聞いたよ。本当に、すまない」

 目を伏せて、唇を噛みしめる。やがて、意を決したようにハッと顔を上げた。

「思い出さなくていい。私を本当の父親と思わなくていい。だから……私の息子に、なってくれないか?」

 鮮やかな赤毛、優しげな瞳はグレー。どちらも、俺と同じ色。

 ああ、俺の赤毛はこの時のためにあったんだ。記憶をなくしてしまっても、家族と分かるために。何も思い出せなくても、俺を息子だと信じてくれるなら……俺も、信じようと思う。

 身体を起こして、精一杯頭を下げた。

「よろしく、お願いします」

「……ありがとう、ロイ」

 頭を無造作に撫でる大きな手。この手の感触は、知っている気がした。

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