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『皆さん、後十分で新世紀、22世紀の幕開けです!!』
今は西暦2100年―人類は人口を200億人までに増やし、生活域を月、そして火星までに増やした現代―12月31日、つまり大晦日の夜。世間は新世紀への期待を膨らましている頃、俺は別の事に夢中になっていた。
「よっしゃ・・・後十分で正式サービススタートだ・・・!」
何がスタートするかというと、世界初のVRMMORPG《仮想大規模オンラインロールプレイングゲーム》―<エターナル・ワールド・オンライン>というものだ。あまりオンラインゲームをしない俺にさえVRMMOというジャンルのゲームは魅力に思えた。
だって、ゲームの中で実際に動けるんだぞ!?それをやらなきゃ絶対損する!!・・・と思って俺は十年間貯めに貯め続けた貯金をつぎ込んでEWO<エターナル・ワールド・オンライン>を買ってしまった。母親にはこってり絞られたが。 しかしまぁ、俺は運が良かった。何せこの世界(仮想世界)を先に体験出来たのだから。そう俺はβテスターだ。一億人のプレイヤー―地球のみならず月や火星からもログインしてくる―の中から一千人が選ばれて、通常プレイヤーより一ヶ月先行で仮想現実世界を体験することが出来た。
頬に感じる風!眩しい太陽!綺麗な月!そして極めつけは、激しい剣&魔法のリアルなバトル!これが本当にゲームの世界か!?と思ったほどだ。・・・しかし噂によると、ββテスター、一千人の中のさらに一人がβテスターより一週間早くEWOを体験出来たそうな。誰だよ、そんな幸運者。まぁあくまで、噂だけどな。
ピリリリ・・・
「ん?」
後五分の所でケータイが鳴った。誰だ?
「ハーイ、ライ。起きてる?」
「ミリか。起きてなきゃでねえだろ・・・」
電話の相手は幼馴染のミリ、本名は君浦 美里愛。ちなみに俺は霧山 頼斗、皆からライ、と呼ばれている。
「楽しみわね~。早く年開けないかな~。」
「そう思うなら電話してくんな。ログインしおくれたらどうすんだよ。」
「数秒位いいじゃない。あ、最初の町の塔で待ち合わせだからね。絶対来なさいよ~私はあんたと一緒にやりたいからさ。」
「はいはい、わかりましたよ。行く行く。」
「楽しみにしてるわよ~βテスターさん♪じゃ~ね~。」
プツン、ツーツー・・・・
・・・何がしたかったんだ、あいつは。まぁそんな感じで後五秒になった。
5
世間のゲーマー達は今頃嘆いている頃だろう・・・
4
そして全世界のEWOプレイヤーが今か今かと待ち望んでいるだろう・・・
3
俺はきっとトッププレイヤーになってみせる・・・
2
さぁ新世界の幕開けだ・・・・
1
俺は魔法の呪文を叫ぶ。
0
「ダイブイン!!!」
俺の体の感覚は次第に遠ざかり、周りが暗黒から煌めいた空間に移っていき・・・その時、俺の意識は現実から仮想へと移行した。
あんまりMMORPGやったこと無いんで不安ですが・・・・頑張ります!!