9話 化け物の最期-モンスターズエンド-
テスト1週間前、第一章完結しました~!!
「「「九尾は、必ず殺す!!!」」」
ユウ達はカナ達を後ろにして、九尾に向かって宣言した。
九尾はコレを軽くあしらう。
「カカカ、その程度の力でぬかすか愚か者共。今度こそ消してくれる」
双方は同時に攻撃を仕掛けた。カナとミキは戦場から離れ、物陰に再び隠れる。
「カナちゃん、お兄ちゃん達の言ったとおりに動こうね」
「オッケー、大丈夫よ」
二人は、バラバラに散っていった。
ユウはサユリとペアで攻撃をし、水呂狗は遠距離から水の妖術で追い詰める作戦をとった。だが、いくら攻撃を当てようと九尾にダメージは入らない。狐妖術がココまで厄介だとは、三人は思っても見なかった。
「ふん、ワシの武器と仙術を見てなお向かってくるか。仕方あるまい、ワシの最大の武器を見せよう。我が尾の武器を全て融合させ、究極の武器を造る!!」
九尾の声と共に、八つの尾が光となり一つになった。それは、古風ながらも生命を絶つにはうってつけのものだった。
「『一の刀』、使うのは千年ぶりじゃな」
サユリはユウを掴んで、水呂狗と共に更に遠方へ下がる。九尾は笑を浮かべて、刀を振った。
「なっ・・・!」
ユウの左腕から血が噴き出す。ユウがそれを見た時には、左腕は完全に失くなっていた。
「あの刀・・・、距離なんて関係ねぇのか・・・?」
「仙術、発動」
グンッ
三人と九尾の距離が無くなった。距離が縮んだという、そんな感触すら無く。
九尾は刀を振り、三人を一刀両断する。
「カカカ、複数の人間を同時に殺すのは少し殺風景じゃが気分は悪くならん」
「・・・そんな・・・」
カナはその瞬間を見ていた。刃を振り終えた後には、三人の姿は無い。
だが、それは死んだからではなかった。
「よっし、かわせたな・・・」
「あのコ達が上手く、やってくれたのね」
サユリは負傷したユウを担いで、カナ達の元に降りる。カナはユウを見て、悲鳴を挙げた。
「いやぁああ!!」
「コラ、騒ぐな!」
九尾は悲鳴を聞いて、すぐさま皆の居場所を知る。しかし九尾は、敢えて追う事はしなかった。九尾は、この闘いを遊戯のように楽しんでいるのだ。
「この刀があれば、こんな闘いなんぞ遊戯にすらならんわ!カカカカカカ!!!」
ユウは意識が朦朧としていた。左腕を斬られたショックで、視界がぼやけてしまっている。
カナはユウを必死に励まし、意識を保たせようとする。
「こうなっちゃったら、皆で『石』を探しましょう!」
「了解です!」
こうして皆、再び散った。そのワケは少し時を遡る。
ユウはある事を思い出していた。
『そうか、その手があったんだ・・・』
ユウ以外の全員がユウの顔を見る。彼は少し驚き、顔を赤くした。
『おいおい、皆してこっち見んなよ・・・』
カナが更に近づき、ユウの顔は梅干以上に赤く染まる。カナはその顔を見て、プッと笑った。
コレではただのシャイな野郎である。
『とりあえず、離れてくれカナ。いいか、まずアイツは素じゃ仙術は使えない。ある物を使わないと仙術どころか多分、あの高等な狐妖術すら使えない』
その場で響めきが起こる。狐である九尾が、狐妖術を使えないと言うのだ。
ユウは気にせずに、話を進める。
『アイツは『妖石』っつー、レアな鉱物を大量に持ってるんだ。前に闘った時は、少しガッチリしてた印象があったから服に仕込んでたんだろ。『妖石』は妖気を注ぐ事で、注いだ妖怪に妖力を与えてくれる。雑魚でも五個くらいあれば、鬼も殺せる力をつける代物さ』
そしてココは、九尾の根城。『妖石』がある所とすれば・・・。
『つまり、この地面の下に『妖石』が埋まっているワケですね』
水呂狗はズバリ言った。作戦は決定する。
『名付けて、『妖石堀り掘り大作戦』!!掘ったら壊せ、壊せなくてもヒビいれろ!ヒビくらい入れれば、使い物にならねぇからよ』
こうしてネーミングがあまりに幼稚な作戦が、始まった。
九尾は散り散りになった一団のうち、カナとミキのチームを追いかけた。生身の人間に九尾の鋭く大きな爪が入れば、体を貫かれ血を大量に流してしまうだろう。
だが、九尾は追う相手を間違えたようだ。
ベキィッ・・・
「ぐがっ!!小娘、やってくれるなぁ・・・」
「九尾の爪を蹴りで・・・、へし折ったの?」
なんと驚いた事に、カナが一蹴りしただけで爪が簡単に折れてしまったのだ。
このシーンを見ていた他の面々も、驚きを隠せない。
「カナ様、お強いですね・・・」
「イヤイヤ、ま~・・・。オレの拳法の師匠なんだけど、まさかココまでとは・・・。ってか九尾、脆すぎだろ」
九尾が苦悶の表情を浮かべているスキに、ユウと水呂狗は次々に妖石を掘り出し破壊していく。
「水呂狗、・・・今、いくつだ・・・?」
「・・・七十個目でしょう、か!」
二人は相当な数の石を砕き、限界が来ていた。それを化け物が、見逃すハズはない。
「カカカ!主らの首、この場で飛ぶがよいっっ!」
「「くそっ・・・」」
九尾の尾が二人めがけて向かってくる。限界である二人は、避けようにも避けられなかった。
「妖術!『水尖波』!」
水のレーザーが、九尾の尾を貫いた。サユリの妖術であり、水呂狗直伝の『水尖波』だ。
そして、この事実は双方にある結論を抱かせる。
「ねぇ、九尾って不死身なのよね・・・?今の傷、治ってないけど・・・」
「ぐがっ・・・ぐぅ・・・」
もう決まった。
完全に確定し、決定した。
十全にその事実が、場を支配した。
「九尾はもう、不死身じゃない」
五人の勇敢なる者達は、一斉に九尾を攻撃した。
ドッゴォオオオンッ!!!
九尾の影は動かない。攻撃によって発生した爆煙が消え、ボロボロになった九尾が現れた。
しかし、その顔は笑っている。よく見ると、倒れているのは五人の方である。
「くそ・・・、化け物は化け物ってか・・・」
「妖気がすっからかんでも倒せないなんて・・・、非常識にも程があるわね・・・」
五人の攻撃は確かに九尾を追い詰めた。しかし九尾の底知れない体力が勝り、五人は体力が尽きてしまったのだ。
そして九尾は口を大きく開け、倒れている五人の一人を食おうとする。標的は、自分をここまで追い込んだリーダーのユウだ。
「ふん、何をどう足掻こうがワシの勝ちに変わりはせんぞ・・・!」
そう言った九尾の体が突如小さくなっていく。九尾自身、何が起きているのか解ってはいなかった。
「・・・カナ、オマエ・・・」
掠れる意識の中、ユウが見たのは大量の石がバラついた所に立っているカナの姿だった。最もダメージが少なく、体の自由も効いていたのが彼女だったのだろう。乱戦のスキを突いて、地面にある残りの妖石を壊していた。かなりの数の石を壊された九尾は、自分を巨大化させる事もできない。
「まだじゃ!ワシの『一の刀』さえあれば・・・!」
九尾は自分の手に、刀が無い事に気づく。妖石を破壊されたせいで、刀を具現化できなくなっているのだ。九尾は何もできない。という事は、これで妖石を全て破壊した事になる。
「ユウ、立てる?」
「最後は、決めてください」
サユリと水呂狗は、自分の体を顧みず一人の少年を持ち上げた。その少年の手には、銃がある。
「まったく、これじゃ不死身の『ふ』の字も無ぇな。地獄で喚いてろ、糞狐」
この日、日本をどん底に陥れた化け物は死んだ。
九尾が死んだ(公には新型のウイルスが消滅した)後、ユウ達兄妹には山のように仕事が来ていた。
ネット上で様々な噂が飛び交い、ユウ達は英雄に祭り上げられていた。
「うう~、お兄ちゃん~・・・。少し休業しない・・・?近くに新しいスーパー銭湯ができたみたいだし、入って体休めようよ~」
「そうするか・・・。カナも呼んで三人で行こう、行く用意してくる」
さて、皆さんはお気づきでしょうが温泉というからにはオチが見えてくるハズ。男なら誰もが望みの展開に、一気に突っ込んでいきます!
「ふ~、温泉ってやっぱいい♪」
「急にユウからメールが来てビックリだったけど、中々いいじゃないココ」
カナとミキは体の芯から温泉を浴びて癒されている。世に蔓延る変態共なら、コレだけ暴れてしまいそうなプロモーションである。
「あ、カナさんにミキちゃん。お久ですね~」
「サユリさん・・・!?」
なんとサユリが、この温泉に現れたのだ。聞くと何でも、東京見物をしていて汗をかきサッパリしたいと思っていたところ、ココを見つけたそうだ。
コレで、大、中、小が揃った。(何がなんて、言われずとも解るだろう)
一方ユウは男一匹で、五右衛門風呂にずっと浸かりっぱなしだった。
「あ~あ、折角来たはいいものの・・・。何かイベント起こらねーかな、ココに妖怪が現れて大騒ぎになってその余波で・・・」
思春期の少年はそこまで言って、黙る。ハッキリ言おう、そんな事が簡単に起こるハズがない。
「あ、ユウ様。お久しぶりです、水呂狗です」
都合のいい事に、妖怪が現れた。しかしそれは知り合いの妖怪、河童の水呂狗である。その練り上げた肉体は、都内の女性が全員ノックアウトしそうな程美しいものだ。
「サユリもいるのか、今時東京見物とは珍しいもんだ」
「いやはや、東京は暑くて適わない。私二回くらい倒れました、熱中症で」
じゃあ来んな、というツッコミをユウは心の中でした。
こうして再び合流した五人は、そのまま延々と一時間風呂に入っていた。
「や~、スッキリスッキリ!」
五人はほぼ同時に浴場から出てきた。男二人は三人官女の美貌に、鼻血を出しそうになる。
((コレは、いかん))
しかし、体の正直な反応に脳の抑制命令が間に合わずピュウと噴いてしまった。
「ホント、ろくでもないわね男共」
二人を安静にさせた三人は二人の事をお構いなしに、コーヒー牛乳を買ってグビッと飲み干す。
「くそ~、血を出しすぎて頭が・・・」
フラフラして歩き出すユウを見て、カナはその足を止めに行った。
しかし、止めようとしてコケてしまう。
「うわっ!」
コケたオマケとも言うべきか、二人の唇の距離が僅か一センチも満たない所にあった。
「あ、・・・大丈夫か・・・?」
ユウは顔を赤らめ、急いでカナから離れる。カナも顔を赤くしユウから目を反らした。
その沈黙が二分くらい続いた後、カナはユウに近づいてコーヒー牛乳を渡した。
「はい、コレで体冷やせば血の止まりが少しは早くなるでしょ?」
ユウはそれを素早く受け取り、一気に飲み干した。
第一章完結、最初はどうせ二桁くらいしかアクセスないんだろうな~と思っていたら予想以上にアクセス数が多くてビックリ!これからも書ける時に、必死に書いていこうと思います。