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群体

子供たちはその声を聞くと、一斉に逃げ出した。全て、親個体の近くへ集結しているようだ。

(撤退……か?)

レンはテオ、ソフィアと顔を見合わせる。状況は分からないが、ひとまず一息つけたことで、三人とも安堵の表情を浮かべた。親がダメージを受けたため、勝てないと判断したのか――そう思った、その時だった。


きゅううう。

子供たちが、まるでミサイルのように一斉に飛来する。数百匹にも及ぶ塊を、テオが正面から受け止めた。これまでと同じようにソニックブレードで切り裂き、撃ち漏らした個体を剣で薙ぎ払っているが、数が多すぎて抑えきれない。

密度が高まったせいか、個体一つひとつの衝撃が増している。撃ち漏らした魔物がテオを取り囲む中、第二陣――同規模の塊が迫る。テオは、まだそれに気づいていない。

(まずい)


レンが助けに向かおうとした瞬間、第二陣がテオに直撃した。テオの体が大きく吹き飛ばされる。腕には、複数の個体が噛みついていた。

まずい。レンは即座に駆け寄り、撃ち落とすために剣を振るう。相変わらず、それほど力を込めなくても斬り裂ける。だが今は速度勝負だ。とにかく剣を振り続け、数が減ったところで第三陣が迫る。

「大丈夫か!?」

「ああ、なんとか! 助かった! 一旦下がろう!」

「いや、あの塊がソフィアに直撃したら炎魔法が使えなくなる! できるだけ、ここで撃ち落とすしかない!」

「そうだな! 分かった!」


二人は剣を振り続ける。ソニックブレードは溜めが必要なため、今は発動できない。純粋なフィジカル勝負だ。

なんとか撃ち落とすことには成功したが、テオは肩で息をしている。


きゅうう。

親個体が、再び鳴いた。わずかにざわつくような動きはあったが、大きな変化はない。だが、その直後、第四陣が放たれる。迎え撃つテオとレン。

「効かない!?」

(さっきより、強い個体か?)

ソニックブレードを放つが、落とせる数が明らかに減っている。動揺するテオ。切りつけた感触も、先ほどより硬い。

「前の方の個体、少し大きくなっている! それで防御を増してるみたいだ!」

「急に戦略的になってきたな! この調子だと、まずいんじゃないか!」

「親個体が指揮しているのかもしれない!」


鳴き声に合わせて、攻撃の質が変化している。まさに群体型と呼ぶべき、組織的な攻撃だ。さて、どうするか――と考えた、その瞬間。


ドーン。

大きな揺れが走る。天井に炎魔法が激突したらしい。振り返ると、動揺した様子のソフィアがいた。

「どうした!?」

「ごめんなさい! 二人に当たらないようにって緊張したら、失敗しちゃった!」

さらに、もう一度大きな揺れ。揺れが連鎖するように広がり、その影響でテオの体勢が崩れる。第四陣の残党が、一気に攻撃を激化させた。


きゅうううう。

その瞬間、親個体が好機と見たのか、突撃してくる。テオを助けるため近づこうとするが、子供たちの数が多すぎて、すぐには進めない。

(魔法はまずい。全力で突っ込めば、腕輪に吸われて動けなくなる可能性がある。今、やるべきなのは――)


レンは一瞬だけ判断し、剣を大きく振りかぶって投げ放った。

ぎゃああ。

剣は子供たちを貫き、そのまま親個体の羽に突き刺さる。親個体は悲鳴を上げ、慌てて後退する。その隙に、テオは体勢を立て直し、レンの元へ戻ってきた。レンは手持ちのナイフを振るい、道を切り開く。

「また、すまない!」

「大丈夫だ! 一度、ソフィアのところに戻るぞ!」


ソフィアは、まだ動揺している様子だった。

「ごめんなさい……!」

「大丈夫だ。レンのおかげで、なんとかなった!」

「ありがとう、レン! でも、うるさすぎてもう限界! どうしよう! 殺しすぎるのもまずいんだよね!?」


(……そもそも、なんで鳴いている? 連携のためか? だとしたら、「連携する必要」をなくせば、鳴かなくなるのか……?)

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