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見えてきた敵

テオはどんどん前へ進んでいく。松明はソフィアが持っているが、現時点で大量の敵を一撃で葬れる炎魔法は最大の武器であり、かつ落としてしまうとソフィア自身も行動不能になってしまう。仕方がないので、レンが松明を受け取ることにした。ありがとう、と言っている様子のソフィア。

(しかし、まだ分からないことが多すぎる。せめて倒すべき敵が明確になるまでは進まないと意味がないな。とはいえ、このままテオが前に出続けると、間延びしてソフィアがやられる可能性がある……)


レンはソフィアの後ろへ下がり、「後ろは俺が見る」とハンドサインを送る。ソフィアは小さくうなずいた。少しずつ知能を感じさせる攻撃に変わってきている今、背後が無防備なのは危険すぎる。

「かなり奥まで来たな」

そう感じた瞬間、前後から魔物が飛びかかってくる。テオはがむしゃらに剣を振り、レンはできるだけ撃ち漏らしが出ないよう素早く剣を振るう。一匹あたりの手応えは非常に軽いが、波状攻撃による撃ち漏らしが致命的になりかねない。そう考えながら、レンは剣を振り続けた。


ドーン、ガラガラ。

突然、地面が揺れる。何事かと振り返ると、ソフィアが壁に向かって魔法を撃ったようで、大きな跡が残っている。撃ち漏らしか、と思った瞬間――

グラグラ。

揺れが収まらない。天井からは小さな岩が落ちてくる。ソフィアは驚いた表情で首を振っている。強力な魔法を撃ったわけではなさそうだ。

「何かあったのか!」

レンはソフィアに近づき、大声で問いかける。

「何かが横切ったからびっくりして炎を出しただけ! すごく揺れてて私も驚いてるんだけど、変なところに当たっちゃったかしら!」

「かもしれない! 古い廃坑だ、脆い部分があってもおかしくない! 下手したら埋められるぞ、気をつけろ!」

「気をつけるって、どうやって!」

「壁や地面、天井に当たらないようにするしかない! テオにも伝える! できる限り俺たちで前を抑えるから、安全重視で頼む!」


レンはすぐにテオの元へ向かう。ここまでで、かなり魔物の数は減っているようだった。

「おい、魔法が壁に当たって揺れてる! 廃坑が脆くなってるかもしれない、攻撃には気をつけろ!」

「分かった! 俺の魔法は危ないから使わない!」


会話を終え、元の位置に戻ろうとした瞬間、上空から一際大きなコウモリがソフィアに向かって急降下してきた。牙の大きさが明らかに異常だ。

(あれはまずい)

レンは一気に踏み込み、横合いから頭部へ剣を突き立てる。耐久力はそれほど高くないらしく、大きな音を立てて床に落ちた。


(毒はなさそうだな。なら、この人数でもまだ進める)

大型個体の死骸と牙を見て、レンは判断する。小型個体に毒がないことはすでに確認しているが、毒持ちとなればリスクは跳ね上がる。テオやソフィアが毒で動けなくなれば、撤退のハードルは一気に上がる。腕輪を外して力ずくで撤退すること自体は容易だが、それでは計画は即座に破綻する。さらに、この脆さでは敵を殲滅する選択肢も危険でしかない。

緊急時に「虚無の王」を使えば、確実に崩落を招くだろう。もう一つの魔法なら使える可能性はあるが、誤魔化す手間を考えると、できれば使いたくない。

とにかくリスクを排除し、堅実に進む。「ギリギリ」で達成できるとミナが判断した以上、まだ余地はあるはずだ。


(さっきの大型個体がリーダーなら話は早いが……そう甘くはないだろうな。小型との差が小さすぎる。この手の魔物、親個体はとんでもないサイズになることが多い。……待てよ。もし親が一匹で、他が全部子供だとしたら、殺しすぎるのはまずいかもしれない)


レンはソフィアとテオ、それぞれに近づき、耳栓越しでも分かるよう大きく叫ぶ。

「詳しい説明は後だ! できるだけ殺さずに進んでくれ!」

二人は怪訝な表情を浮かべつつも、すぐにうなずいた。

おそらく、この手の魔物は数を減らしすぎると厄介な反応を起こす。崩落の危険もある以上、対処は最小限に抑えるべきだ。


――ギルドでの会話。

「ねえ、ミナ。そういえば、あの依頼……なんであの子たちに出したの? あなた、いつもそうだけど、今回は結構大変そうじゃない?」

「うーん、あの三人ならチームワーク次第で乗り越えられると思ったからかな。話をまとめると、たぶん『鳴鉱コウモリ』だし、Eランク相当なら余裕で対処できると思うんだ。あの子たち、もうEランクレベルはあるよ」

「何それ、そのコウモリ」

「洞窟や炭鉱の中で増える魔物。鳴き声を重ねて攻撃する、群体型だよ。図鑑に載ってた」

「へえ……声で攻撃か。なかなか面倒なタイプね」

「声で細かい連携が取れないからね。大雑把な方針が重要になるけど、あの三人ならできると思った!」

「出た、直感。で、それが当たることが多いからすごいのよね。外すと大変なことになるけど」

「大丈夫だと思う! それに……」

「それに?」

「いや、なんでもない」

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