表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/41

廃坑

夕方、予定通り依頼を出していた村に到着する。村といっても、それなりの大きさがある。入り口で依頼書を見せると、門番は歓迎しながら宿まで案内してくれた。

「いやー、ありがたい。最近みんな困っててなあ。とにかく夜になるとうるさくて、耳栓なしじゃ寝られやしない」

「何が鳴いているかは分かりますか?」

「それが、わからないのよ。今までなかったことだし、あそこに行くのも大変でな。夜の森は、わしらには荷が重くて」

「なるほど……魔物が森に出るのですか?」

「そうそう。と言っても、そういう話がある、って感じだけどなあ。みんな、できる限り夜は出歩かないようにしているのよ。まあ、どこの村でもそうだろ?」

「そうですね。私の生まれたところもそうでした。夜は危ない、って言われますよね」


ソフィアはうまく門番と会話をしているが、テオは少し緊張しているようだ。テオのコミュニケーション能力が低いのか、それともソフィアが高いのか。レンは後ろで二人を見ながら、そんなことを考えていた。

「この村は、昔は銀の採掘をしていてな。とはいえ、それほどたくさん取れたわけでもないから、昔はもっと村が大きかった、ってわけでもないんだが。その時の名残として、廃坑だけが残っているんだな。それなりに大きいと思うが、どれくらい深いかは……たぶん、もう誰も知らないと思うな」

「分かりました。ありがとうございます」

「おう。じゃあ頑張ってな! 何か聞きたいこととか、必要なものがあったら言ってくれ」


宿に到着すると、門番はそう言って去っていった。部屋はちょうど三部屋空いていた。節約しようと意気込んでいたソフィアだったが、「あの音を解決しに来てくれたなら」と、宿の方が一部屋分の料金でいいとサービスしてくれたため、自然解決となった。全員がハッピーな結論である。


明るいうちに見に行こう、と三人は廃坑へ向かう。通る森は、当然だが薄暗い。

(魔物はいそうだが、それほど強力な個体はいなさそうだな。猪クラスが最大か)

「この森はどうだろう? 夜、暗くなってから通っても問題ないかな?」

「大丈夫だと思うぞ。レンはどう思う?」

「あまり強力な魔物がいそうな雰囲気はないな。人里も近いし、もしいるなら、もう問題になってるはずだ」


不安そうなソフィアと、直感で大丈夫そうだと判断するテオ。レンは二人をフォローするようにしながら進んでいく。

一時間ほど歩き、たどり着いた廃坑は、思ったよりも大きかった。はるか昔に廃坑になったという話の通り、長い年月を感じさせる外見をしている。

「思ったより大きいな……ただ、巨大な魔物が中にいる、ってほどでもなさそうだ。三人で一緒に行動するのは、少し厳しそうだな」

「二人が前で、私が後ろなら問題なく入れそうね。ただ、中はどうなっているのかしら。迷って出られなくなる、なんてことはないといいんだけど」

「銀の採掘場なら、そこまで複雑な構造じゃないだろう。奥に掘り進めて、採れた鉱石を運び出すだけだからな。奥深く行かない限り、一本道のはずだ」

「そうなんだ。レンは経験あるの?」

「廃坑じゃないが、銀の採掘場ならな」

「いいなあ。銀って綺麗だもんね。掘ったら、まだ出てこないかなあ」

「廃坑になったのは大昔だろ。こんな遺跡みたいになってる場所に、もう銀は残ってないはずだ。やめておけ」

「時間が経って、増えてるかもしれないじゃん」


銀探しをしようとするソフィアと、それを止めようとするテオ。


レンは、貴金属好きの巨大なワイバーンたちが襲ってくるから助けてくれ、という依頼で、Bランクの頃にこの手の場所を訪れたことがある。女性陣が銀製品好きだったため、ワイバーンを倒した後もしばらく滞在し、話を聞いたり買い物をしたりと、あちこち連れ回されたのだった。

(女性は貴金属好き、というのは共通なのかもしれないな)


「ねえ、フィエル。今度のオークションで、昔の貴族が使ってたコップが出るらしいよ! 銀でできてて、ルビーがいっぱい埋め込まれてるんだって。良くない?」

「すごそう。それ、どれくらいの値段になりそう?」

「わからないけど、目玉品らしいよ。目玉は大体、大金貨五枚くらいになるから、それくらいはいくんじゃないかなあ」

「いいね。頑張ってみよっか」

「またお前ら、いらないもの買うのかよ……もっと意味のあるものを買えよ」

「じゃあ、ガドルは何が欲しいの?」

「馬だな。速く走れるやつ。移動が楽になるぞ」

「えー、そんなのつまらない。走ればいいじゃん。ね、メリッサもそう思うでしょ?」

「そうねえ。馬はいらないけど、遠くまで一気に行ける魔道具は欲しいわね。少なくとも、コップよりは役に立つわ」

「まーた始まった。どうせレンなら、そのうち俺らが必要になる何かを起こすんだから、待っとけよ」

「そう。綺麗なものを眺めて、のんびりする。それで備えておくの」

「別に、宝石が必要だとは思わないが……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ