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ペン立て

作者: 仙の豆

 古いく、誰に作られたかもわからない粘土製のペン立てが家から出できた、掃除中にだ。


 それを不思議そうに私がじっくり仰向けの寝転び状態で観察する、は〰、それにしても体が怠い。


 ばちゃんの頃からある古い家、しかも天井裏から出てきたものだから、価値はあるはずのものだ、いくらかにはなるといいのだが、私のためにも、家族のためにも……と思っていた。


 そうだ、そのペン立ての見栄えは最初は良かったものの、ひっくり返したらそうは見えなくなってしまった。


 だって、子供の手跡が形をして残っているのだから。


 一歩間違えればただの怖い心霊現象、笑ってしまうな、笑えないけど。


 子供の手跡は多分製作時に刻まれてたものの、なぜならそれには、使われた形跡は全くなかった。


 むしろペン立てよりもそれが入っていた柄がある年代物の箱の方がむしろ価値がありそうだった、綺麗に漆塗りされて、見た覚えが薄々ある黄色い花の柄が両側に、木も多分普通の木ではないのだろう、丈夫そうだ。


 箱の周りを触り見尽くし、中も外と同様綺麗な赤色、そして底も見てみる、価値がありそう;

 


 「松本博樹」



 箱の裏にはそう刻まれている、私の爺さんの名前だ。



 重い、怠い、ハハ、価値とはなんだろう?


 

 その箱の裏に掘られた名前を見て、爺さんの事を思い出す。



 公務員として生きて、そして死んでいったおじいちゃんがこんな立派な箱をつくれたとはいまになって初めて知った、私の中での「くだらない人生」の代表人物がちょっと霞んだ、自分が今ままで見てきたものをちょっと疑う。


 彼も生活に屈服したのだろうか?私の「価値」ように。。。


 彼は最後まであの頑固の脳みそを抱えて、安定と言う理想とともに溺死する人間だと思っていた、余計だと思ったなことは一切せず、拒む、安寧と命じた狂わし歪んだ理性を抱えたとある時代の男。。のはずだが?


 力尽きたように持ち上げてた箱をストッと自分の体の上にかかってる毛布に置く、そして天井を見上げる。


 えっと。。全く関係ないのだが――「もしや家も自分で立てたのでは?」ちょっと疑ってしまう。



 そういえば建てられた記録もない一軒家、庭にはよくわからない馬のような手作りの飾り物たち……疑っても仕方ないだろう、だけど柄にあまりもおじいちゃんとは合わなさすぎる。


 大きさ的には普通のよく見る一軒家、しかし構造がややおかしめ;奇っ怪とは言わないが、住宅街の言えたしと比べては一味違う、純木でできているし、地震にを耐えていた...一人で建てるにはちょっと度が行き過ぎてはないだろうか、だけどそれをしる者は駄文今もまだ灰となって土の下。


 それにしても、このペン立ては一体誰が作ったのだろう、また話が飛んだ。



 ペン立て上の子供の手跡がは大体六歳児ぐらいのものだ、其の物自体あまり柄がないので実は「ペン立て」って言うのは推測でしかない、けれど、コップって言ったら上に伸びすぎており、花瓶って言ったらちょっと小さすぎる。



 もう自らも老人と化した私には、多分この年代物の製作者に聞く手段もない、お互いいつか化けて出ないかぎりね。



 母ももしかするとこのペン立ての存在を知らなかったかもしれない、そもそも、なぜこんなものが天井裏にかくすように置かれていたのだろう、よくよく考えたら段々おかしくなってくる。。



 一人娘の母の記念物だったのだろうか?それなら飾ったほうがいいのでは?何かの儀式?宗教?答えがどこかにあればいいのだが。


 最終的に木箱の蓋の上に幾年と積りに積もって、もはやもうこびり付いている埃を濡れたタオルでゴシゴシと拭いてみた、箱の蓋だけはまではっきり見えない。



 しぶといが、世界を数十年とサバイバルしてきた私に埃ごときは勿論勝てはしない。



 ので、そう時間はかからなかった、腕はちょってしびれたけれど。



 そこには文字が書がかかれていた:


「私達の息子へ:」



 おばあちゃんの筆跡だ...だが母には兄弟は居ないはずだ…



「貴方が生まれてから十年三ヶ月二時間三十五分、そして貴方が死んでから十年二ヶ月一時間三十四分、貴方はほんとに頑張りましたね、あの一ヶ月を忘れようとしていた私達を許して、もう忘れようとはしない、貴方の小さすぎた体、額にあったお馬の形をしたあざ、ママとパパはもう忘れようとはしないよ… 妹からのプレゼントを入れときます、お兄ちゃんへだって、あなたが私達の代わりに自分の事を教えてあげたのね。見守ってあげて、一瞬でも生まれてきてくれてありがとう。

あなたを愛す母と父より」



 何も考えられなかった、言えなかった、沈黙が続いた、母には兄がいた。


 その事を彼女の口から私に伝えられたことはなかったし、自分の事も一人娘だと母は言っていた。

 

 母はほんとに最後まで兄がいることを知らなかったのだろうか、すこしばかり可哀想ではないのだろうか。。



「お婆ちゃん!お掃除終わったよ!粘土で遊ぼう!ペン立て学校でいるんだって!ある?」



 孫がその沈黙をやぶってくれた、可愛らしく天井裏に行くためにはずした穴から顔をだしながら言った。



 そして ぴょんー ってそこから私のベットの横に飛び降りた。



 箱の上の言葉に衝撃をうけて、まだちょっと漠然としていた私に音でびっくりして入ってきた私の娘は私と孫を叱りつけるように言った:


「お婆ちゃん大丈夫?立てないのに無理して起きないで、圭ちゃんも危ないから飛び降りちゃだめだよ!」


「お婆ちゃん!そう言えばさっき箱をみつけたところに文字が書いてあったよ?お婆ちゃんが書いたの?」



 孫は自分の母を無視して再度わたしに語りかけてきた、その自分の母親に対しての慣れた態様に対して私はクスってちょっと笑ってしまった。


「なんて書いてあるの?」


「お兄ちゃん、ありがとう!だって。」


「え? 圭ちゃんどこで見たの?」


「だから箱があった天井裏のところだってば、おばあちゃん!」



 それを聞いて私は驚きのあまり口をぽっくりと半開きにしてしまった。


「お母さん? 大丈夫?」



 娘の言葉に私は反応できなかった、ただ私の孫に手を振って顔を近づけてもらった。



 恐る恐る、手をちょっと震わせながら孫の前髪を左に掻きった、そこには子馬のような痣があったことを私は初めて知った。


 そう……初めて知ったよ。


私も歪んだ理性をもる人になってたのね、人はしらずしらずに嫌いな誰かに近づいていってるのね。


 そして、そのまま手を孫の頬に置きニッコリとわたしは微笑んだのだった。


「お婆ちゃん手震えているよ?また入院しなくちゃいけなくなるの?圭やだ!ずっと寝ていて、圭が六歳の頃に起きたばっかりじゃん!」


「そうだね、ごめんね、お婆ちゃんはも1回寝ちゃうかも、ペン立てはおばちゃん重たくて作れないからこれあげる、お婆ちゃんのお母さんのものだよ!」


手に持っているに連れ重たくなってきたペン立てを、孫の手に渡した、孫は恐る恐るペン立てを手にとって私を見つめる。


「あげる、お父さんにでも見せてきな。」


孫は手に持っているペン立てを見つめる。


「寝ないでね。」と一言残し走っていった、お父さんにでもこのペン立てを持っていったのだろう、階段をはねながら登る姿は本当にいと惜しい、本当年だね。


その途中一枚のかれた花びらがペン立てからヒラヒラと溢れ落ちたのを私は見た。

疲れた、結局子供の母も兄のことはやっぱり認識してたのだろう、やっぱり化け物だなあの人は……


私は枕に頭を乗っけ窓の外にある美しいの花をながめ、母が可哀想だと思っていた心もおかしくなって クス ってまた笑った、それを娘は静かに横で座りながら私を見ていた。


「あれなんの木だっけ?美しい黄色い花……」


「チュウゼツランよ、お母さん、綺麗でしょ、今日また咲いたの、私は初めて見たわ、その前はお母さんが見て私にそれを教えてくれたの覚えたない?」


「…………」


「そっかー……お母さんも、おばちゃんも、ひいおばあちゃんも、今この時放浪の旅から帰ってきたんだね……この家に……おかえり。」


 別に私が忘れたことには彼女はがっかりする価値もなかったのだろう、私がずっとそうだったよね、だから彼女は、ただ、帰りの祝福を伝えた。


 私も自分のあの化け物じみた研究者母が自分を見てくれたとき、このようにお喜べただろうか。


「大きくなったね...」


「ハハ!」


 滑稽だな! 笑いがつい口から出る、歳を取ると涙腺所か口も緩む、笑っちゃいけないのに。


 ま〰、遊園地に行くためのお金は節約できたのかもね!


 終に私は声を出して笑ってしまった、、笑って、、しまった。


 母の十歳の頃の手は六歳児の様に小さかったことがつぼにはまって大笑い、そう言う事にして置こう。


 って言うか……今さっきなんの話だったかしら?


 娘も娘で私が笑うのを止めないのも不思議。


 最後に。。。


 「家、売るのかい?売らないってことはできないのかい?」

 

 「無理だよ、お母さん。」


 歪んだ価値は今も続くのかもね、生活ってそういうもんか、バッドエンドでもハッピーエンドでもないツルーエンド、おばあちゃんもおじいちゃんも、父も母すらも勝てなかった。。そして私も。


 眠い、わらったあとは眠い、いきなり眠い。


「プレゼントは届けましたよ、お母さん。」


 おやすみなさい


「うん、おやすみなさい。」

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