第二回:遠山の金さん、よりによって女湯に転生す
さて場所はかわって。
同じ夜の、東京の、別の区の。
ショッピングビルの最上階に設置された、
「大江戸スパ」なる、
いわゆるスーパー銭湯。
「女湯」と書かれた
のれんの向こうで、
びゅおおおおう、
という風の音が響き渡り。
強烈な光がきらめいたかと思うと!
「きゃあああああ!」
という女性たちの悲鳴が
響き渡った!
「ヘンタイ!」
「バッキャロー!」
「でていけ!」
という複数の女性の声とともに、
スラリと引き締まった肉体に、
上半身には、桜吹雪のイレズミ、
そして頭は、いわゆる「ザンギリ」頭の
若い男が、全裸で飛び出してきた!
「ち、ちくしょー!
しょうがねえだろうが!
まさか二百年後にココが
銭湯になってたなんて、
知ったことかよー!」
青年は女湯に向かって、そう毒づく。
騒ぎを聞きつけた
スーパー銭湯の男性スタッフが
やってきて、
「どうされました?
・・・て、うわあ!
なんだお前は!」
「『なんだお前は』とは、
いきなりなんでえ?
てめえこそなんだ?」
「あー!イレズミ!
ここはイレズミの人は
入店禁止なのに!」
「入店禁止?
バカヤロウ!
この桜吹雪、
散らせるもんなら、
散らしてみろい!」
「警察に電話するぞ!」
「ケイサツ?
ケイサツってなんでえ?」
言っている矢先に、
男性スタッフは携帯電話を取り。
「もしもし!
大変です!
若いイレズミの男が、
全裸で女湯に
忍び込んでいまして!」
と警察に告げた。
「・・・おっと、
こいつは分が悪いな。
三十六計逃げるに如かず!
さよなら三角、
またきて四角ってやつだい!
あばよ!」
男は全裸のままスタッフを押しのけ、
スーパー銭湯の自動ドアを飛び出し、
ショッピングビルの
エスカレーターを駆け降りていく。
きゃー!
うわー!
ひいー!
突然現れた全裸男に、
売り場は大混乱となった。
「なーにを騒いでるんだ、お前ら?」
男は、洋服売り場に駆け込んだところで、
ふと、鏡を見て、
「エー?!」
と、自分の姿に仰天した。
「げげげ!
時間旅行の作用か!
服が全部、なくなってるじゃねえか!
しかも、、、なんでオレ、
こんなに若返ってるんだ?!
二十歳そこらの青二才じゃねえか!」
ドタドタドタと、
フロアの警備員がこちらに駆けてくる。
「うおお、やべえ!」
男はとりあえず、
近くにあったシャツやズボンを
引っ掴むと、
あわてて、客達を押しのけて、
ビルから飛び出していった。
「ええい、こんなところで
つかまるわけにはいかねえんだ!
あの娘を、、、
粉奈沙羅を
探し出さねえと!」
そうやって、夜の人混みの中へ
紛れていってしまった青年、
あれはいったい、ナニモノか?
そして、これからいったい、
何がどうなるのか?
それは次回のお楽しみということで!