2. 「ユダによる福音書」構想
ユダとは各福音書の中でイエスを裏切り、体制側のイエス逮捕を手助けしてしまう人物です。(捕まったイエスはそのあと有名な十字架による磔刑で殺されます。)そんな奴に福音書を書く資格など無い訳ですが……タイトルにはそんなトンデモを仕込んであります。
さて、最初に書こうと思っていた「ユダによる福音書」はこんな話です。
舞台は現代とし、イエス役は女子にします。
彼女は魅力的な女性で男女問わず人気があり、彼女の周りには常に人が集まっている上に、彼女には超常的な力があると言われています。
物語の語り部は男子で、彼女の取り巻きの一人です。
彼女はある時、使命感に基づきある活動を始めるのですが、リスクの高い活動のため、語り部は彼女にその活動を止めさせるべきか否かを苦悩します。そんな話です。
実は私自身人生の岐路で苦悩した経験があり、その経験を彼の悩みに反映させる構想でした。でもってメインストーリーは、イエスが水の上を歩いただの、悪霊を退散しただの、死んだ少女を生き返らせただの有名なエピソードをちょちょいと前述の現代設定に焼き直せば小説一本出来上がり。あれ? 楽々書けちゃうじゃん。いいこと思いついた。……なんて思っていました。
ところがいざ書き始めて参考までにと改めて聖書を開いてみると、福音書ってそんな軽く扱える話ではないことが解ってきました。(逆に言えばこれまでまともに福音書を読んだことが無かったワケです。ミッションスクールに通ってれば、ここまで書いてきた程度の知識は誰でも身に付きます。)