1. そもそも福音書、とは?(聖書についての基礎知識)
"キリスト教"は、今日"ユダヤ教"と呼ばれている宗教から約2000年前に派生した新興宗教(?)です。ちなみに"ユダヤ教"からはその後"イスラム教"も派生しています。
そのため、キリスト教はユダヤ教と共有する聖典と、キリスト教独自の聖典を持っています。ユダヤ教と共有する聖典の方を「旧約聖書」、キリスト教独自の聖典を「新約聖書」、と言います。
ちなみに有名な「創世記」、「アダムとイブ」、「ノアの箱舟」、「バベルの塔」、「出エジプト記」(モーセが神に頼むと海が割れるヤツ)などはすべて旧約聖書に書いてあるお話です。
さて、新約聖書の方には冒頭に、後にイエス・キリストと呼ばれるようになった人物の伝記が4種類、載っています。「マタイによる福音書」「マルコによる福音書」「ルカによる福音書」「ヨハネによる福音書」です。
このうち最初に書かれたのは「マルコ」、その次は「マタイ」と「ルカ」がほぼ同時期、「ヨハネ」が最後に書かれました。
イエスの死後、イエスの言葉や行動の話は体制側に媚びるようにどんどん歪んでいったのですが、それに反感を持った誰かが本当のイエス像を書き残そうとして書いたのが「マルコによる福音書」だったと言われています。
ただその後、「マタイ」「ルカ」「ヨハネ」と新たな福音書が書かれる度、描かれるイエス像はその時々のキリスト教の教義に乗っ取った、体制側に合わせる形の姿に書き換えられていきました。