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「またさっきのやつが来るぞ、いい加減起きろ!」


 再び森の奥から大きな而力(リューン)の高まりを感じ取ったサイは、しゃがんだまま動かないハクバに声をかける。


「わ、わかってる……だがあんなのどうやって……」

「とりあえず一回受けてみる。ハクバは天翼盾(ティマルド)は使えるか!」

「使えるが……今の攻撃を完全に防げるものは……無理だ」

「不完全でもいい。1回で壊れてもいい。とにかく全力でやってくれ」


 天翼盾(ティマルド)は白而第壱號ノ参の而術(リュニ)で、而力(リューン)で生成した翼を重ね合わせ、盾のように具現化し物理的な障害を跳ねのける特性を持つ。

 第壱號の而術(リュニ)であっても、而力(リューン)を込める量や、使用者の練度によっては、上位の而術(リュニ)に対しても十分に通用する程、使い勝手のいい防御手段として知られている。


「わかった。何か策があるんだなサイ」

「全然ないっ! だからもう何も考えず全力で敵に突っ込んで一撃で倒す!」

「なっ、なんだそれ! 無理に決まってるだろ! 失敗したらどうするんだ!」

「失敗したら死ぬだけ。どうせこのままじゃいずれやられるだけだ」


 頼むハクバ、と声にならない強い視線でハクバをみると、諦めなのか達観なのかはわからないが、ハクバは大きく頷いた。

 

「で……どうすればいい」

「まずは、次の攻撃を避ける。来る方向が分かってるからタイミングを見極めれば、ギリで躱せるはずだ。そして回避した後は敵に向かって全力ダッシュする。ハクバは僕の後ろにピッタリついてきてくれ。多分、走ってる最中にもう一回攻撃が来るからそれを天翼盾(ティマルド)で防ぐ。そしてその隙をついて僕が一撃で倒す」

「一撃で倒すって……そんなことできるのか」


 サイは何も言わなかった。しかし心のどこかでそれが可能であると確信している自分がいた。

 ……あの而術(リュニ)を使えばいける。

 両手に携えた刀を強く握り、サイは暗闇の方へ顔を向けた。


 ……アァ……キタキタ……コンドコソ……コロス……コロス……コロォス!


 再びサイ達に向けて悪意が放たれる。

 サイはその攻撃のタイミングを計ることに注意を払い、ハクバはサイの背に体を寄せてサイの動きを合わせることに集中する。

 先ほどより而力(リューン)が込められているのかよりサイは強い圧迫感を感じた。


 そして、届くか届かないかのギリギリで、サイは「ジャンプ」と言いながらその場で大きく飛び跳ねた。

 ハクバもまたそれに合わせて飛びあがり、着地すると同時に一気に前方へ駆け出した。


 ――水だ。水に高い圧力をかけて前方に飛ばしているんだ。


 サイは走りながら、悪意の正体を読み切った。

 水を圧縮して飛ばす。これならば攻撃までに相当量の水を而力(リューン)で生成する場合でも、川などから利用する場合でもある程度時間がかかる。

 それに最初の攻撃の歳に、(クヌイ)が飲み込まれたように消えた理由も頷ける。


「くそっ地面が濡れて足場が悪い。思ったよりスピードがでないぞ。これで敵まで近づけるのか!」

「分かんないよっ! でももう止まれないだろ!」

「分かった。では後、二,三回は攻撃がくるものとして準備だけはしておく! それ以上は無理だ」

「了解っ!」


 ハクバはサイの後を必死についていきながら、加えて複数回の而術(リュニ)発動の準備をしている。

 一連の動きの中での而術(リュニ)の発動は、経験がものをいうのだが、ハクバは十二歳にして、一般の騎士よりも素早く的確に行うことができる。

 この点においてハクバはサイをはるかに凌駕している。


 マタ……ハズレタ……モウイッカイ……コロ……コロス!


 再び前方から水球が飛んでくる。

 先ほどよりも小さいがスピードは速く、攻撃までの間隔が短い。

 どうやら敵は立て続けに回避されたことから、威力より速度を重視する方向に切り替えたようだ。

 この森を破壊するのではなく、人間の生命を奪うということが目的なのだとしたら、飴玉くらいの水球を超スピードで出すのが最も効率がいい。

 だがまだ敵は二人のことを明確に視認しているわけではないので、ある程度の大きさは確保しなければならないので、準備には時間がかかる。

 二人にとってはむしろ好都合なシフトチェンジだ。

 とはいえ近づけば近づくほど、躱すのが困難になるし、一発まともに食らえばこちらの負けが確定する。


「そろそろ防御に回るぞ! 準備はいいか!」

「大丈夫だ! 合図のタイミングを間違えるなよ」


 サイとハクバは、攻撃を受けきる方向に戦術を切り替えた。

 すると直後に水球がまっすぐ向かってきた。



「くるぞ! 上半身に厚みを持たせて!」

「――天翼盾(ティマルド)!」


 ハクバが而術(リュニ)を唱えるのとほぼ同じタイミングで、水球がサイの目の前で弾けた。


「うぉギリギリじゃん! 遅いよハクバ!」

「うるせー合図が遅いんだよ!」


 お互いを罵倒しながらも、決して速度を緩めることなく確実に敵との距離を詰める二人。

 どういうわけか先ほどの攻撃から次の水球が来なくなったため、二人は注意しつつも、さらに速度を上げて近づくことができた。

 そして、とうとう敵の姿を視界にとらえる。


「なんだあれ……人?」

「人……なわけないだろ」

「いやでも……立ってるし、それに服着てる」

「……立ってようが服着てようが――目から手が生えてる人間なんていないだろ!l


 アレ……アタッタヨネ……シンデナイ……モウイッカイ……コロス?


 目から生えた不気味な手の平の上に水球が現れる。

随分と更新遅くなりましたが、まだまだ続きます。

気長に待っていただけると幸いです。R4.4.21

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