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でこぼこのない君へ  作者: ルシア
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明け方

どうも初投稿です。

「終末のフール」に影響されました。

リアル学生なので投稿は不定期かもです。

「起きて!」と誰かに言われた気がした。

余命3ヶ月のこの生に一体何があるのか分からなかった。

ただひたすらに今日を生きるしかなかった。

起きてからすぐに声の主は分かった。妹だ。

「おはよ!お兄ちゃん。母さんとお父さんならもう出たよ」

相変わらず朝から元気な妹だった。身内が余命宣告されても尚、こんなに生き生きとしてるのは家の妹だけだろう。

妹はこんな俺にも朝飯を作ってくれる優しい人間だ

朝5時半起きの兄の飯を作る中学二年生なんて滅多にいるもんじゃないと思う。

「あぁ、いつもありがとな」

これが俺に出来る精一杯の感謝の言葉だ

毎日妹の作る朝飯を食べ、都内の学校に通う。医者から余命宣告される前となんら変わらない。いや変えちゃいけない生活だ。

朝、7時20分のバスに乗り、7時34分のJR京浜東北線・根岸行に乗る。王子で降りてそこから歩きで10分程の学校だ。

駅を出るといつもの所で友人が待ってくれている。

こんな日常を壊せという方が可笑しい。

「よ!(しゅん)相変わらず朝から眠そうだな!」

こいつは同い年のサッカー部部長の早乙女(さおとめ) (はる)

陽も朝から元気で誰からも頼られる存在だ。学年委員にも入っていて先生からの人望も厚い。

学校に着くと今日は珍しく朝から先生に呼び出された。

昨日の事だ。昨日僕は医者に余命宣告をされた。残り3ヶ月の短い期間だ。

「逢沢、最初に確認するがこの事はクラスのみんなに話すつもりなのか?それとも話さないのか?先生はまだ頭が追いついていないのだが」

先生がそういうのも無理はない。俺だってまだ追いついていない。ただ、返答は決まっている。

「話さないです。みんなには話さないつもりです。しかし、話す人、話す時、話す場は自分のタイミングで決めさせてください」家で何度も頭の中で唱えた台詞。回答は決まっていた。

「それな構わないが、これからどうしたい?先生も3ヶ月間は出来るだけ逢沢が楽しめる人生にしたいと思っている。どうせなら学校でゲーム大会とかしちゃうか?」

先生は声、顔こそは笑っているがそれはぎこちないものだった。先生がいかに気をつかってくれてるかがよく分かる。

だからこそここは本音をぶつけるべきだと思った。

「いえ、普通に生活したいです。」

これは綺麗事でもなんでもない。これこそ本音だ。

"今"を壊したくない。"日常"を壊したくない。これが俺の今最大の我儘だった。

勿論先生はキョトンとしていたがすぐに笑顔になった。それは先程のようなぎこちないものではなく心からの笑顔だった。

僕はこの日から日記を付け始めたしかし、この日記が後にあとの3ヶ月をこれ以上ない嬉しいものにしてくれるきっかけとはこの時まだ知らなかった。


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