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株式会社GEARの裏側5

 しばらくするとミズキがお通しと、刺身盛り合わせを持って来た。この日のお通しは小鉢3種だった。とても居酒屋とは思えないクオリティで、お値段は居酒屋プライスで提供しているが、しっかり利益も出している。これもひとえに大将の仕入のノウハウと、料理の腕があるが故だった。ミズキが個室を出ると同時に金城は、


「石原さん、そう言えばいいですか!?」


 と泡盛で上がったテンションを元に戻しながら、思い出したように石原に問いかけた。


「自己分析の裏側、あれって結局はどういう裏側があるんですか?」


「あぁ、あれね。金城さんってどこまで理解してるんだっけ?」


「えぇっと、自己分析は脳の仕組み的には無理があって、、、あとは悪い人がその仕組みを利用している、ってことですかね。」


「ハハハ、悪い人ね。」


「何がおかしいんですか?」


そう言ってふくれっ面になっている金城を見て、泥酔中の桜井は思わず考えていることが言葉になってしまっていた。


「かわいい~、好きだ~。」


 金城はその言葉が聞こえているのかいないのか、気にも留めない様子で石原を問い詰めた。


「だって悪い人じゃないですか!学生たちを騙して、得をしようとしている人たちがいるんですよね!?」


 怒った顔も良い、とまた桜井が自分の世界に浸っているのを尻目に石原は金城の質問に答えた。


「そうだね、笑ってごめんね。僕もそう思うよ。ただストレートに悪い人、って表現してくれたのが、痛快で面白くてね。」


 褒められたのか、バカにされたのか分からない金城はまたふくれっ面になっていた。


「じゃあ、お詫び代わりに少し踏み込んだことを教えてあげるね。ちなみに金城さんは得をしている人って誰だと思う?」


「う~ん、正直わかんないですけど、話の流れ的には人材会社なのかな、って思ってます。」


「そうだね、半分正解、半分不正解かな。じゃもう少しヒントを出そうか。」


そう言うと石原はクイズ番組の司会者のような言い方で、いたずらっぽく問いかけた。


「日本で学生に自己分析をさせることが広がったのはいつ頃からでしょーーか?!制限時間は10秒です。10、9、8、、、、」


 金城は慌てて答えようとしたが、検討もつかず、何も答えられないままカウントダウンが終わってしまった。


「1、、、0。はい、時間切れ~。」


 ふざけた様子の石原に、金城は苛立ちを覚えたが、その様子を見た石原は、


「金城さん、間違っても失敗しても良いから、答えることが重要だよ。」


 と伝えた。冗談交じりのいい方だが、石原なりに、金城の失敗したくない、と凝り固まった考え方を少しでも解そうとしたが上での表現だった。ほろ酔いながらも、その目論見が失敗したことを石原は察すると、一転、まじめな表情で続けた。


「正解は、だいたい2000年前後でした。」


「2000年前後、、、ですか?なぜそのタイミングで、ということが、正解を紐解くポイントですね。」


「その通り!やっぱり金城さんは頭の回転が速いね。あくまで僕調べ、という前提で恐縮だけど、だいたい2000年頃から自己分析ということが急速に広まり始めたんだよね。」


「広まり始めたってことは、それ以前にもそうした考え方があった、ってことですか?」


「うん、金城さんはするどいから、話が早くて助かるよ。」


「なぜ、そのタイミングで急に広まったか、ということですよね。」


「そう、何か世の中でブームが生まれるのは、必ずその裏に仕掛け人がいる、そして必ずその仕掛け人の思惑がある、ということだね。」


「なるほど、、、でも正直2000年前後のことって私はまだ小学生だったんで、あんまり想像できないんですよね、、、」


「そりゃそうだね。じゃそろそろ核心に迫っていこうか。」


 そう言うと石原は桝酒を飲み干した。金城もそれを見て泡盛を飲み干した。桜井はいつの間にか、幸せそうな笑みを浮かべながらも、また机に突っ伏していた。石原と金城がお代わりを頼もうとすると、抜群のタイミングでミズキが個室に顔を出した。手には地酒に合う石原の好物、ムツの西京焼きと、桜井が好きなチーズつくねと、泡盛に合う豚の角煮、そして彩り豊かなサラダを持っていた。石原と金城はそれぞれ同じ飲み物を頼もうと、


「同じのをお代わりで」


 と声を揃えてオーダーした。するとミズキは微笑みながら、金城に話しかけた。


「八重泉、ご用意できますよ。」


「えっ、でもメニューにはないのに、、、」


「裏メニューです。」


 とミズキはいたずらっぽい笑顔で答えた。石原はミズキが近くの酒屋に、急いで買いに行ったのだろうと推察していた。以前にも同じようなことがあったからだ。こう言うさりげない気遣いが出来るところがミズキの武器なのだ。


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