5変化アリに喜んで
じょっっ状況確認っ!と急いで出ようと思ったがどうやって!?
焦って無い手足をバタつかせたら、さっきまでなかったはずの感覚がそこにはあった。
手が地面を触っている気がする。
足が地面に投げ出されている気がする。
もしや…
俺は脚に力を入れる。立ち上がる為に…
ふぉぉぉおおおお~
くっクララが立ったーー!!!
そんな感動がそこに生まれた。俺は立ち上がったのだ。この他人様の足で!!
ありがとう皆様、応援ありがとう!諦めなくてよかった!これぞ主人公!あっぱれ最高!
…ただ感動渦巻く現場の空気を北極点までもっていく光景がある。
なんたって顔がスプラッタ。超絶モザイク処理。
感動ぶち壊しで、絵図らが悪すぎる!
つーか口だったところが諸事情からか食いちぎられてて
感動の雄たけびすら上げられないですがこれいかに…
まっまぁね?所詮俺ですから。
クオリティーが粗いけど仕方ない。変化があっただけマシ!
気分あらたに、俺は体をいじくり始めた。
歩く!テク…テクテクテク。問題なし!
走る!スタッ。スタタタター。問題なし。
喋る!…は無理だね。口が無いし。
触ると掴むも問題はなかった。
うーん。さて、変化に喜んだまではよかったが…
ここからどうするよと、考えていたら不意に後ろから肩を叩かれた。
ん?なんだ??と振り返るとそこにいたのは
すっかり存在を忘れていた腐れたゾンビさんだった!
ぎゃーーーー!!やめて!アップはやめて!プラプラお目めが怖すぎる!
つき飛ばそうと手をだしたら逆に手を掴まれ、グッと引っ張られ
首元めがけてガブリとやられてしまった!!!
勘弁やめて!勘弁やめて!!
痛い痛い!死ぬ死ぬ!多分もう死んでるけどもっかい死ぬ!死ぬのは嫌じゃー
痛いのはやめてくれー!ってアレ???
痛い…か?これは痛いのか????
ゾンビさんはさっきから「ヴォォアアア~」などと言いながら俺の首元を
血が飛び散る勢いで噛みついている。
でも痛くない。まぁよく考えたらよそ様の体だし?痛覚的なものは共有してないのかもしれない。あとこの体は俺が何らかの力で動かしているだけで、間違いなくさっきまで動かぬ骸だった。そんな体では痛いも死ぬもないっちゃーないか。
冷静になった俺はゾンビを首元から引きはがし、思いっきり突き飛ばした。
やれやれ、びっくりさせないでほしい。
生身の体だったらお漏らしどころの騒ぎじゃすまなかったぞ?
俺は小者なんだよ。声かけるなら小鳥さんボイスで優しくな?
しょうもない事を考えながら
その場を後にしようと立ち去ろうとしたら
ピロリン!
「「スキルコピー完了しました」」
無機質な声が頭の中に響き渡った。
えんっ?!なんだって????
ぞう思ったと同時に、今度は突き飛ばしたゾンビが俺へリベンジしに来た!
「ヴォオオオオアアアアアア!!!!」
スキルって?え?
あんっ!前からは敵!!!
ちょっとオカマ口調になったじゃないかどうしてくれる!!
混乱する頭をよそに
ゾンビは止まることなく俺に向かってきた!
噛まれても痛くはないけど、、見た目がクロイ!人の事言えないけど!
グロすぎて仲良くなれないわ!!
スキル…なんのスキルが手に入ったのか不明だが
魔法であってくれ!魔法がいい!
俺はゾンビ目掛けて手を突き出し必死にそれっぽい呪文を唱える
「ウォーター!サンダー!ファイヤー!クエイク!ウインド!」
一瞬、手先がフぁっと暖かくなったと思ったその瞬間、
手首のあたりから炎が燃え上がり、敵へ向かって駆けて行った。
俺の放った炎はゾンビに命中し、瞬く間にゾンビは燃え上がり
そして綺麗に無くなってしまった。
ピロリン!「「レベルが上がりました」」
「「レベルが1から4へあがりました」」
「「アイテムBOXが解放されました」」
「「スキルレベルがあがりました」」
「「スキル火炎魔法小をマスターしました」」
「「スキル亡者からの譲渡がレベル2になりました」」
頭の中に響く声。それは起きた事象を伝えるだけの無機質なものだった。