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福音

作者: 沼野雷菜

我らが神は唯一なる存在である。

唯一なる神に名は無い。

我々はただ神と敬えばよい。


我らが神に祈りなさい。

我らが神はすべてを受け入れる。

我らが神に祈りなさい。

我らが神はすべてを許す。

我らが神に祈りなさい。

我らが神は我々を見守り続ける。

我らが神に祈りなさい。

我らが神はすべてを愛す。


我らが神はあなたのすべてを受け入れ、すべてを許し、あなたを見守り続ける。そしてあなたを愛し続けるだろう。



我々人間には生死がある。始まりである生は、終わりである死へと繋がっている。終わりである死は、始まりである生へと繋がっている。あなたは神から生まれ、その死後、神のもとへ帰すのだ。


あなたは死後、神のもとへ招かれ、神の一部となるだろう。死とは、神と一体になれる唯一の手段である。このとき、あなたは唯一なる神の一部となる。


時がくれば、あなたは新たな命となり、神のもとから離れ、人として世界に生まれ落ちる。生とは、神から命と平等な愛を与えられることである。あなたは循環する。



博愛の神は我らに等しい愛を与える。平等の愛は疑う余地もなく。それだけは嘘ではない、まことなのだと信じられる神の愛。それは救いである。愛がなければ人は生きて行けないのだから。



例えばあなたが罪を犯したとする。それは自分の信じた正義に則った罪かもしれない。それは正真正銘悪魔の所業のような罪かもしれない。それは無意識的な罪かもしれない。


しかし神は罪を受け入れる。

あなたを否定したりしない。

あなたがこれは正義なのだと言えば、神はそれを受け入れる。あなたがこれは魔が差したのだと言えば、神はそれを受け入れる。あなたが何も考えずになんとなく犯してしまった罪なのだと言えば、神はそれを受け入れる。


あなたがこれは罪ではないと言えば、神はそれを受け入れるだろう。あなたが私を許してほしいと言えば、神は許しを与えるだろう。あなたがこれは正義でも悪でもないのだから気にしないでほしいと言えば、神は黙ってあなたを見守り続けるだろう。



あなたは神にとっての唯一にはなれない。

なぜなら、神はすべてを愛す博愛主義者だからである。そして、神こそが唯一の絶対的な存在だからである。それ以外に唯一は存在しない。神以外は等しく皆、その他大勢である。



神を愛しなさい。

神を尊敬する者よ。神を信じる者よ。

神の愛に応え、神へ愛を捧げなさい。



神は唯一の絶対的な存在である。しかし、愚かにも我々が神を忘れてしまったとき、神は死に、その存在は儚くも消えてしまうのだ。祈りは神への想い。それは神に生きる力を与えるだろう。



神に祈りなさい。神はときに、我々に語りかけてくださる。祈りは、神があなたを見つけるしるべとなるだろう。

耳を澄ませなさい。あなたの祈りが届いたとき、その声に神は応えてくださるだろう。



すべてが真実である神に、嘘は冒涜である。神はそれすら受け入れるだろう。しかし、だからこそ神を尊敬する者ならば、偽ることこそ一番犯してはならない本当の罪である。



祈りなさい。

神はすべてを受け入れる。

願い、愚痴、恨みごと、罪の告白、神への想い。あなたが何を神に語ろうとも、神はすべてを受け入れる。そしてすべてを許し、すべてを愛す。


祈りなさい。

願いを語りなさい。願いが叶うよう、神が導いてくださるだろう。

愚痴をこぼしなさい。神はあなたを否定せず、最後まで聞いてくださるだろう。

恨みごとを伝えなさい。それが神への恨みか、他人への恨みかならば、神はすべて受け入れるだろう。否定しないだろう。自身への恨みならば、神はまずそれを受け入れ、あなたを許し、あなたを慰めるだろう。

罪を告白しなさい。神はすべてを受け入れ、すべてを許すだろう。

神への想いを語りなさい。神はすべてを受け入れる。狂信も、神の否定すらも受け入れるだろう。


神を否定する者は心得よ。否定は肯定と表裏一体。神の存在があるからこそ、その存在を否定できるのだと。


あなたが神の存在を受け入れたとき、神はそれを歓迎する。


神を信ずる我々も、あなたが神を受け入れるそのときを、いつまでも待ち続けるだろう。

神を信ずる我々は、神と同じく、すべてを受け入れる。



神は存在する。神は我らとともにある。



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