表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あたしのせいじゃなーい  作者: わかいんだー
本章~ファンタジックな旅の日常~
13/52

おまけ:物理魔法少女

アルフ一行は山岳地帯を登っていた。

いつものように、すれ違う人から不自然に避けられる一行だが、ベルタが違和感を感じる。


ベルタ「最近、ガルマさんだけじゃなくて、あたしが避けられてる気がするのよね」

アルフ「自意識過剰ってやつ?」

ベルタ「あんた、それ言ってみたかっただけでしょ」

アルフ「その肩口から見えてるオレハルコンの武器のせいじゃね?輝いてて目立つし」

ベルタ「俺春来んて、あんた自分で言ってて哀しくならないの?オリハルコンよ」

アルフ「俺の頭ん中は、年中春らしいぞ」

ベルタ「年中真っ盛りだったわね。武器は本来の威嚇目的の効果が高過ぎって感じかなぁ」


実際の所、普通の人はオリハルコンがどんな物かを知らないので、避ける理由にはならない。

ベルタが避けられているのは、奇怪なまでに成長した噂のせいである。

ガルマには分かっていたが、説明に慣れたガルマですら、口にはし辛い酷いものであった。



山道とは言え整備されており景色も良い。その割りに人通りは少ない。

ベルタが一息ついて呟く。

ベルタ「ふぅ。何か暑いし臭うわね」

アルフ「言いだしっ屁はベルタだな」


確かに屁の臭いだが、そんな濡れ衣を受け入れる訳にはいかないベルタ。

ベルタ「乙女に何て事を言うのよ。そんなのアルフ以外に出す人居ないわよ」

アルフ「でもこれは俺じゃねぇな」

ガルマ「硫化水素の臭いだな。火山地帯故、硫黄が多いのだろう」


火山と聞いて嫌な予感がするベルタ。

ベルタ「まさか、アルフの進路に噴火口なんて無いでしょうね」

アルフ「あれ、噴火口なのか?」

アルフが指差すのは洞窟だった。


ベルタは洞窟の中を覗き込んでみる。真っ暗だ。

ベルタ「洞窟自体は違うけど、中が噴火口に繋がってる可能性はあるんじゃないの?」

アルフ「そっか。繋がってないといいな」


アルフの能天気には慣れたとは言え、その一言は軽過ぎるだろうと思うベルタ。

ベルタ「いいなって、そこに入るの?」

アルフ「おお」


間違いじゃないのかと確認を求めるベルタ。

ベルタ「あっちって、空じゃなかったの?」

アルフ「あっちに空があるかは知らね」


溶岩を確認してから引き返せば良いかと覚悟を決めるベルタ。

ベルタ「・・・分かったわよ、行けばいいんでしょ。でも真っ暗よここ」


アルフは躊躇なく洞窟奥へ歩いていく。

そしてすぐに見えなくなった。

遠くなっていくアルフの叫び声が聞こえる。


アルフ「うおぉぉぉぉぉ・・・・」

ベルタ「アルフ?」


ポチャン


不気味な着水音に慌てるベルタ。

ベルタ「え?ポチャンって、まさか。アルフ?アルフ返事して!」


すぐに返事を返すアルフ。温泉に落ちたようだ。

アルフ「ぶは!ちょっと熱いかも」


一安心しつつもアルフを嗜めるベルタ。

ベルタ「はぁ。心臓に悪い事やめてよね。温泉じゃなくて溶岩だったかも知れないのよ」

アルフ「マジカ!?」

ベルタ「マジヨ!!」


アルフは全く懲りてないように誘う。

アルフ「ベルタ達も来いよ~」


落ちると分かっていて、行ける訳無いだろうとベルタが答える。

ベルタ「来いと言われても。見えない所を落ちるなんて危なすぎるわよ」


それでもアルフは誘う。

アルフ「落ちるんじゃなくて滑るんだ。そこ滑り台になってるぞ」

ベルタ「へ?」


周囲を観察していたガルマがフォローする。

ガルマ「廃棄済みのアトラクションのようだ。看板や照明が撤去されてこうなったようだ」


状況を理解しつつも呆れて怒るベルタ。

ベルタ「紛らわしいわね!人騒がせ過ぎるでしょ」


ガルマはアルフを追う気のようだ。

ガルマ「見たところ安全性は確保されているようだ。滑っても問題は無かろう」


観念して滑り台に身を投じるベルタ。

ベルタ「はぁ。ガルマさんのお墨付きなら信じますけどね。あたしの思ってた旅とは何か違うのよね」


ドッボーーーーン!


巨大なリュックを背負ったまま滑り降りたベルタは、温泉に巨大な水柱を作る。


ベルタ「ぶは!温泉て落ち着いて浸かる所でしょ。これはダメだわ」

ベルタはとりあえず周囲を確認しようとするが真っ暗である。


ベルタ「何よ真っ暗じゃない。こんな所へ呼んでどうする気よ。どうやって出るのよ」

アルフの返事は無い。


ベルタ「アルフ聞いてるの!?アルフ?」


ガルマが降りてきて魔法で明かりを灯す。


ベルタ「ありがとうガルマさん。アルフったら何隠れて・・・え」


アルフは湯船に浮いていた。

ベルタが飛び込んだ時の水圧で、縁まで吹き飛ばされて身体を打ち付けて気絶していたのだ。


ベルタは片手でアルフの襟口を持ち上げて話しかける。

ベルタ「何よあんた、呼んでおいて避けてなかったの?って真っ暗じゃムリか」


能天気にも程があるだろうと思いつつアルフを洗い場へ運ぶ。


周囲を確認すると、かなりの大浴場で、壊れるどころか汚れた様子も無い。

ベルタ「温泉も廃棄されてるんですかね。それともお休みなのかな」

ガルマ「備品など撤去されておるし廃棄であろうな」


ベルタはため息をついて呟く。

ベルタ「廃棄済みの温泉に呼ばれるとか、訳が分かんないですね」

ガルマ「溶岩湖では無かっただけマシではあるな」


今回はそうだったが・・・と考えるとぞっとするベルタ。

ベルタ「この先、ありえなくも無いですよね」

ガルマ「我にも予想出来ぬ。が、今の所は危険を回避しつつ進んでおるようにも見える」


そもそも何故ここへ呼ばれたと言うのか。

ベルタ「せめてここにアルフの記憶のヒントでもあればいいんだけど」


ベルタは周囲を見回すが特に何も無い。


とりあえず一服しようと思うベルタ。

ベルタ「折角だしアルフが目を覚ますまで湯浴みでもしておきますか」

ガルマ「うむ。疲れを癒しておくとよかろう」


同意しながらも、その場を去ろうとするガルマ。

ベルタ「あら?ガルマさんは温泉は嫌いなのですか?」

ガルマ「必要では無いだけだ。出口を確認しておく」

ベルタ「申し訳ありません。お願いします」

素直に納得して湯浴みを始めるベルタ。


ガルマには温泉が廃棄された理由を推測出来ていた。

アルフが呼ばれた原因が、同じ理由であろう事も。

それがどう動くのか。観察する為に場を離れたのだ。



アルフ?「お、動いたー」


妙な口調でアルフが飛び起きる。


ベルタ「アルフ、目覚めた?頭打ったみたいだけど大丈夫?」

アルフ?「お。おいらが見えてるみたいだな!おいらとあそぼー」

ベルタ「へ、あんた何言ってんのよ」

アルフ?「おいらはここに住んでるマアマさ。あそぼー」

ベルタ「アルフ?やば、あたま強く打ちすぎて、いかれちゃったの?」

アルフ?「ん~?アルフってこの身体の名前かなー?使ってなかったみたいだから借りたー」

ベルタ「へ」


状況を整理するベルタ。

要するにアルフの身体がマアマとやらに乗っ取られたと?


いきなり凄まじい剣幕で捲くし立てるベルタ。

ベルタ「何て事するのよ!アルフの身体から出て行きなさい!」


マアマは驚いたように呟く。

マアマ「ひ」

ベルタ「ひ?」


突然号泣するマアマ。

マアマ「びえぇええええええええええ!」

ベルタ「ちょ、何で泣くのよ!泣きたいのはこっちよ」

マアマ「びえぇええええええええええ!」

ベルタ「分かったわよ、話くらい聞くから泣き止みなさい」


ベルタはアルフに宿ったマアマから話を聞いた。

マアマは太古からここに住んでいた。

最近この地に人が来て開拓され、温泉が出来て大勢の人で賑わった。

マアマも仲間に入りたくて話しかけたが、人にはマアマの存在を認識出来ない。

仕方ないので物を動かしたりして存在をアピールしたが、それが気味悪がられて温泉は廃業になったらしい。


ベルタ「それでアルフの身体を使ったのね」

マアマ「あい」


事情は理解出来たが納得する訳にもいかない。

ベルタ「でもその身体はアルフのなのよ。貴方にあげる訳にはいかないのよね」

マアマ「びえ」


再び泣き出そうとするマアマを咄嗟に制止するベルタ。

ベルタ「まちなさーい」

マアマ「ひ」


別の手段は無いものかとベルタは模索を始める。

ベルタ「使ってもいい身体なんて無いけど・・・人の身体じゃないとダメなの?」

マアマ「昔の人は、身体なんか無くても、おいらとあそんでくれたんだけどなー」


案外簡単に手は見つかりそうである。

ベルタ「そうなの?」

マアマ「うん。三千万年くらい前だったかなー」


どうやら滅ぼされた人の事らしい。恐らく特殊な能力があったのだろう。

ベルタ「あはは。あたし達とは違う人みたいね」


振り出しかと思いきや、マアマが何かを見つけて反応した。

マアマ「お!」

ベルタ「ん?」

マアマ「これ!オリハルコンはおいらと相性いいー。これに宿っていいなら、こっちの身体は要らないー」


貰ったばかりの超お気に入りの武器との引き換え条件に困惑するベルタ。

ベルタ「えー。それ、あたしの宝物なのよ・・・」


少し考えて潔く諦めるベルタ。

ベルタ「でもアルフの身体には代えられないわね。いいわよ。あげるわよ、それ」


だが首を振るマアマ。

マアマ「いや貰っても困る。宿らせてくれー」


会話が通じないと思うベルタ。やっぱりこいつはアルフじゃないのかとも思う。

ベルタ「へ?だから、あげるから好きに宿れば?」

マアマ「ちがーう。貰っても、おいらあそべなーい。これはお前が使うー。おいらは宿るー」


こいつは自分で言ってる事が分かっているのかと確認するベルタ。

ベルタ「身体の代わりって事は、武器にあんたが宿るのよね。その状態であたしが殴っていいの?」

マアマ「そう!それ!いつもそうやって、あそんでたー」


ベルタには理解し難い。自分が宿った状態で殴りつけられて平気なのか?

ベルタ「よく分かんないけど、それでアルフの身体を返してくれるなら、いいわよ」

マアマ「おっけー」


マアマはアルフの身体からモーニングスターに移動する。

元々煌めいていたモーニングスターだが、薄紫の炎のようなオーラを纏って内側から発光しだした。

綺麗ではあるが触るのも怖い外観になった。


ベルタ「えぇ?燃えてるわよ。こんなの熱くて持てる訳無いじゃない」

マアマ「熱く無いよー」


恐る恐る手を近づけてみるベルタ。

ベルタ「そりゃあんたは熱くないだろけど・・・あれ?本当に熱くないわね」

マアマ「えへん」


モーニングスターに宿っても話せる事に気付いて感心するベルタ。

ベルタ「あんた、口が無くても話せるのね」

マアマ「空気振動できる所ならー。前に岩を使ったら、みんな大騒ぎして逃げていったー」


自分が同じ状況になったらと考える。

ベルタ「あはは。そりゃ岩が突然話し出したら、びっくりして逃げるでしょうね・・・」

マアマ「じゃぁ、あそぼー」


遊ぶのが嫌という訳では無いのだが・・・

ベルタ「遊ぶって言われてもなぁ。これで何か叩けばいいのかな?痛く無い?」

マアマ「大丈夫ー。どかーんといこー」


どかーんね。でもここ私有地よね。

ベルタ「廃棄されてるとは言え、温泉を壊すのはよくないわよね。とりあえず素振りするわね」


ベルタはモーニングスターを天井へ向けて振り抜く。

特に違和感は無い。

マアマが宿っていても使用感は変わらないようだ。


ベルタはマアマに確認する。

ベルタ「こんな感じでいいの?」

マアマ「ずばーん!あはははは」


マアマも満足したようで一安心するベルタ。

ベルタ「振り回すだけで満足してくれるなら問題無さそうね」


突然、照明がついたかのように地面に光の帯が出来た。

ベルタ「あら?ガルマさんが照明つけてくれたのかしら」


上を見上げると天井に亀裂が入り、隙間から太陽が覗いていた。

ベルタ「へ?」


その亀裂はさらに広がっていく。同じペースでベルタの不安も広がっていく。

ベルタ「・・・はい?」


裂け目から徐々に溶けて蒸発していくように天井が消えていく。


まさかと思いつつも慌てて確認するベルタ。

ベルタ「ちょっと、ちょっとマアマさん!?あれ、あんたがやったの?」

マアマ「やったぜー」


否定して欲しかった問いへの肯定につっこまざるを得ない。

ベルタ「ダメ!危険過ぎるわよ!こんなんじゃ、とても使えないわよ」

マアマ「大丈夫ー」


能天気にはアルフで慣れてるが、大丈夫の一言で納得して良いレベルではない。

ベルタ「大丈夫じゃなくて!こんなの使ったら、みんな消えちゃうわよ」

マアマ「暗いとか外に出られないとか、言ってたから消しただけだよー」


確かにそれは言った覚えがある。

ベルタ「・・・本当にちゃんと加減できる?」

マアマ「大丈夫ー」


いやどう考えても大丈夫じゃないでしょ。

ガルマに相談するしかないと思うベルタ。



丁度アルフが目を覚ました。

アルフ「あつつ。なんか全身ぶつけたみたいに痛ぇぞ」

ベルタ「アルフ、気が付いたの。よかった」

マアマ「アルフー。よかったー」


アルフは早速勘違いする。

アルフ「お?ベルタ、腹話術覚えたのか」

ベルタ「・・・はぁ。だったら良かったんだけどねぇ」


マアマとアルフは屈託無く打ち解ける。

マアマ「おいらマアマ!よろしくなー」

アルフ「お?おぉ、何か分かんねぇけどよろしくな!」


ガルマも戻ってきた。

ガルマ「アルフも正気に戻ったか」


待ってましたとばかりにガルマを頼るベルタ。

ベルタ「ガルマさん。ちょっと、とんでもない事になっちゃって相談したいのですが」

マアマ「ガルマー」

ガルマ「相変わらずだなマアマよ」


予想外のやりとりに一瞬呆気に取られるベルタ。

ベルタ「え。お知り合いですか」


ガルマはベルタの欲する答えを即答する。

ガルマ「案ずるな。マアマは加減を弁えている」

ベルタ「え。説明しなくてもお見通しですか・・・」

ガルマ「まぁ、な」

見てたから、とは流石に答えられないガルマ。



加減の問題は一応解決したので話を進めるベルタ。

ベルタ「でもマアマさん、あたし達は旅の途中なのよ。ここを離れちゃってもいいの?」

マアマ「大丈夫ー」

ガルマ「マアマにとっては、この世界の上ならどこでも一緒だ」


移動については問題無さそうだ。

ベルタ「御飯とか何を用意すればいいんでしょう」

ガルマ「肉体の代わりにオリハルコンに宿っておるから何も要らぬだろう」

ベルタ「天井を消す程のエネルギーを消費しているのにですか」

ガルマ「マアマはエネルギーを消費する側では無く、供給する側の存在だ」


感心する他は無い。

ベルタ「何よそれ。便利な存在なのね、あんた・・・」

マアマ「えへん」


ガルマは使い道をアドバイスする。

ガルマ「着火魔法も照明魔法も不要になったな」

ベルタ「あ。この子がやってくれるのか。でもそんな道具みたいな使い方するのは、失礼じゃないかと・・・」

口調が幼稚なので、この子呼ばわりしてしまう事については、失礼と気付かぬベルタ。


ボン

突然モーニングスターの先に小さな炎が出る。

マアマ「あそぶー」


マアマは気にしていないようだ。

ガルマ「マアマにとっては使われる事が遊びのようなものだ。使えそうな時は何にでも使ってやるがいい」


ベルタには疑問が湧く。

ベルタ「・・・何であんたみたいな有りがたい子を、誰も相手にしないのか不思議過ぎるわね」

ガルマ「今の人には見えぬ。加えてオリハルコンを持ち歩く者などおらんからな」


そうだった。ベルタはマアマの気持ちを察する。

ベルタ「そっか。そうよね、この子も寂しいわよね」


ベルタはマアマと共に在る覚悟を決める。

ベルタ「この子がそれでいいなら、いいか。じゃぁこれからよろしくね、マアマさん」

マアマ「よろしくー」



だが覚悟も束の間、先ほどの天井消滅の一撃が脳裏をよぎり、早速不安になるベルタ。

ベルタ「つかぬ事をお聞きしますけど・・・もしあたしが全力でこの子を使ったらどうなります?」

目を逸らすガルマ。


まさかのガルマの反応に慌てるベルタ。

ベルタ「ちょ、ガルマさん!?」

マアマ「大丈夫ー」


能天気な答えを聞いていられる状況ではない。あのガルマが目を逸らす状況なんて想像もしたくない。

ベルタ「いや、あんたの大丈夫と、あたしの大丈夫は多分違うのよ」

マアマ「ベルタは昔の人と違うー。きもちいー」


想定外の答えに戸惑うベルタ。

ベルタ「へ?」

ガルマ「そうだな」

ベルタ「さっぱり分からないんですけど」


ガルマが神妙に説明する。

ガルマ「前にこやつを使った者は、大陸を消滅させた」


息を呑むベルタ。そんな力を使って良い訳が無い。

ベルタ「・・・」


そんなベルタを見ながらもガルマは容認する。

ガルマ「だがベルタが全力で使ってもそうはならぬ、という事だ」

ベルタ「全然分かりません」


ベルタの即否定に対して解説するガルマ。

ガルマ「欲望の質の違いだ。お主の性根が和を望んでおる。故に暴走しても周囲を巻き添えにする事は無い」


よく分からない解説だが、安全と思って良いのか?

ベルタ「あたしが護りたいものは護ってくれるという事ですか?」

ガルマ「うむ」


肝心な事を確認出来て一安心するベルタ。

ベルタ「あんた本当に凄いのね?」

マアマ「えへん」

ベルタ「どうにもその口調が不安なんだけどね」

マアマ「大丈夫ー」

ベルタ「分かったわよ。信じるわ。みんなを護るのに協力して頂戴ね」

マアマ「おっけー」



今度はガルマが問題提起する。

ガルマ「気になるのは、何故マアマが起きていたかだな」

ベルタ「眠っていたのですか?温泉騒ぎで目覚めたとか?」

ガルマ「その程度で目覚めるものではない。普通は次の世界の創造まで寝ているのだがな」


何気なくとんでも発言が出るから聞き逃せない。

ベルタ「今の世界が終わる事が決まっているみたいな言い方ですね・・・」

ガルマ「終わらずに済めば良いとは我も思うがな」


マアマが素直に答える。

マアマ「起こされたー」

ベルタ「誰に?」

マアマ「さぁ?竜神かなー」


ガルマは納得しつつも疑問を呈す。

ガルマ「起こすのは竜神の役割ではあるが、それは同時に導きを告げる時でもあるはず」

マアマ「聞いてないー」

ガルマ「どうにも分からぬな。竜神はシイタに調べてもらっておるが、未だ連絡が無い」


ベルタには初耳の名前にマアマも反応する。

マアマ「シイター。どかーん」

ベルタ「マアマさん嬉しそうね。シイタって方と仲良いのかな」


ベルタの疑問にガルマが答える。

ガルマ「シイタは先日、お主が見た透明な竜だ。あやつの肉体をマアマが破壊しておる」

マアマ「あははははは」


あたしって一言多いのかなと反省するベルタ。

ベルタ「また聞いてはいけない事を聞いてしまった気がします」

ガルマ「気にするな。マアマは人に使われる故にぶつかる事もある。そこに感情は無い」

ベルタ「そういうものですか」


でもあたしがシイタさんに会い辛くなっちゃったじゃないと思うベルタ。

ベルタ「マアマさん。ガルマさん達の肉体を破壊するなんてしちゃダメなのよ」

マアマ「あい」

物分りの良い返事にも、安心は出来ないベルタであった。



一段落したと思いきや、ガルマが何かを思い出して忠告する。

ガルマ「おっと、ベルタの場合は注意が要るな」

ベルタ「何でしょう?」


ガルマはベルタではなく、マアマに話しかける。

ガルマ「マアマよ。ベルタは罠アイテムという道具で身を護っておる」

マアマ「あい」

ガルマ「故、その道具で防げる災難には手を出すな」

マアマ「えー」


聞いていたベルタが割り込む。

ベルタ「この子が罠アイテムの代わりにもなれるって事ですか?」

マアマがやりたそうなので、代わらせても良いのではないかと思ったのだ。


だがガルマは首を振り答える。

ガルマ「それくらい優しければ注意しなくて良いのだがな」


罠アイテムが優しい?

ベルタ「は?」

ガルマ「このまま外へ出て襲われたら、その敵は何であろうと瞬時に消滅するであろう」


慌てて先程の話を確認するベルタ。

ベルタ「ちょ!?護りたいものは護ってくれるんじゃ」

ガルマ「襲われた瞬間に、襲った相手を護りたいとは思わぬであろう」


否定はできない、が。

ベルタ「そりゃ咄嗟には・・・でもあたしが手を出さなければ、この子は何も出来ないんじゃ」

ガルマ「出来ない訳ではない。遊びでなければ動こうとせぬだけだ。護りたい者が居れば護るだろう」


ベルタとガルマのやり取りを聞いていたマアマが応じる。

マアマ「んー。ベルタいやがってる。わかったー」


ベルタはマアマの怖さを再確認して念を押す。

ベルタ「お願いね。殺しちゃうのは本当に最後の最後の手段にして欲しい」

マアマ「おっけー」



話の纏まった所で旅を再開しようとする一行に、アルフが待ったをかける。


アルフ「待ったー!折角仲間が増えたんだ。歓迎会として飯にしようぜ」

ベルタ「あんたが食べたいだけでしょ。まぁいいか、出る前に色々聞いた方が良さそうだし」

ガルマに視線を送るベルタ。マアマについては少しでも聞いておいた方が良さそうだ。



ベルタは調理しながらマアマに話しかける。

ベルタ「できればアルフも一緒に護ってあげてね」

マアマ「んー。必要無いと思うけどわかったー」


そっけない。何かあったのだろうか。

ベルタ「必要無いって酷いわね。アルフ、あんたマアマさんに何かしたの?」

アルフ「え?俺?さっきまで気絶してたんじゃねぇの」


まさに何もありようが無かった。

ベルタ「それもそうね。マアマさん、アルフのどこが気に入らないの?」

マアマ「気に入らなくないー。おいらといっしょー」


また会話が怪しくなってきたなと警戒するベルタ。

ベルタ「一緒って何が?」

マアマ「見た目ー」

ベルタ「全然違うわよ!」

マアマ「あはははは」


ベルタには全く理解出来ない一方、ガルマはマアマの意見を元に考える。

やはりアルフは過去を消されたのでは無く、成長した状態で造られたのであろう。

マアマが言う見た目とは、肉体では無く意思の形だ。

アルフは人でありながら、意思の形はマアマに近い。造られた形だ。

だが人を造る事に何の意味があるというのだ?

成長した状態で造っても大願は果たせぬ。だが他に人に役割があろうか?


調理を終えて食事を始める一行。

ベルタ「食事の一時は本当に幸せって感じですね」

マアマ「ベルター。しあわせー」

ベルタ「マアマさんも食べられたら良かったんだけどねぇ。代わりに何か出来ればいいんだけど」

マアマ「だっこー」


ベルタは膝上にモーニングスターを置く。

ベルタ「え?抱っこって、こう?」

マアマ「きもちいー」

ベルタ「オリハルコンに宿ってても抱っこって気持ちいいもんなの」


武器に神経があるのかと不思議に思うベルタ。

ガルマ「物理的な感触では無い。抱っこしている間はお主の意思がマアマに向くであろう。

    それを心地よく感じるのだ」


素直に気持ちが伝わるマアマの存在を嬉しく思うベルタ。

ベルタ「注意を向けるだけで喜んでくれるのですか。人もそうなら素敵なんですけどね」

マアマ「べるたー」

ベルタ「はいはい。こう懐かれると、動かない武器でもかわいく思えちゃいますね」

ガルマ「我よりも遥かに年配だがな」


つい口調で錯覚するが、そう言えば太古から生きてるとか言ってたなと思い出すベルタ。

ベルタ「・・・マアマさん、どんだけ生きてんのよ」

マアマ「いっぱいー」


ガルマがマアマの生い立ちを話す。

ガルマ「こやつは世界を作り出す前。世界を物質で構築すると決めた時に創られた」

ベルタ「世界の無い世界に生まれたって事ですか?言葉にすると意味不明ですね」


思ったよりさらに長生きしてるんだなと感心するベルタ。

ガルマ「逆に言うと、こやつが消滅すれば、全ての物質が崩壊するという事だ」

ベルタ「また聞いてはいけない事を聞いてる気がしてきました」


長生き以前に存在価値がやばい事を思い出すベルタ。

ガルマ「こやつは竜の力を代行する者の一端を担う。仮に我が暴れて全ての世界が消滅してもこやつは残る」

ベルタ「・・・到底そんな凄い子には見えない口調なんですけどね。竜の力の代行ですか」


心配しなくても簡単に消える事は無いのだなと安心した所でマアマがつっこみを入れる。

マアマ「竜神がさぼったー」

ベルタ「へ?」

ガルマ「お主に代行させておるのだ。さぼった訳では無い」

マアマ「えー」

ガルマの言い訳じみた発言は初めて聞いたかも知れないと思うベルタ。


マアマについて理解を示しつつも、今まで存在すら知らなかった事に疑問を抱く。

ベルタ「そんなに凄い子なのに今まで聞いた事も無いのは不思議ね」

ガルマ「ふむ。未だ分からぬというのであれば元々知らぬのか。四大元素精霊は知っておるか?」


そんな事は幼児ですら絵本で知っている。まさに神に次ぐとも言える存在だ。

ベルタ「地水火風のそれぞれの力を統べる大精霊様達ですよね。この世界を支えておられると認識しています」

ガルマ「そやつらの親玉みたいなもんだ」


目が点になるベルタ。膝上に抱いたモーニングスターを凝視して呟く。

ベルタ「・・・これが?これが大精霊様達の・・・上?」

マアマ「これー」


膝を落として愕然とするベルタ。あたしの大精霊様のイメージ返してと。

一方、そんな存在にいきなり、アルフから出て行けと怒鳴りつけたのかと思うと、身が竦む思いもした。


呆然とするベルタに説明を続けるガルマ。

ガルマ「マアマというのはマテリアルマスターから三文字切り取って自身で付けた名だ」

ベルタ「自分で、ですか」

ガルマ「人と接するのに呼び易い名が欲しかったのであろう」

ベルタ「マテリアルって事は物質ですか」


四大元素精霊の上となれば物質を自在に操れるであろう事は想像できる。

ガルマ「こやつは物質を統括する。お主らに見える物全てと言えよう。それらの母とも言える」

ベルタ「はぁ」

ガルマ「物質操作に限定すれば、我と同等の力を持つと言えば、その立場が分かるか?」


ガルマ同等となると神の次では無く同位となる。

ベルタ「・・・はぁ!?ガルマさんの力って、竜神様、神様そのものでしたよね」

ガルマ「うむ。こやつは物理特化故、位相の破壊などは出来ぬがな」


話を聞く程にマアマの脅威度が上がる。まさか他にも似たような者が居るのか?

ベルタ「竜に連なる者でしたっけ。その方々以外にも大きな役割を担った方々が居られるという事ですか」

ガルマ「うむ。竜の代行者と呼ばれる者共だ。特定の力に限定した統括をそれぞれ任されている」


やはり居るのか。しかし・・・とベルタはモーニングスターを見据える。

ベルタ「・・・そのお一人が・・・これ?」

マアマ「これー」

頷くガルマ。


統括なら相応の行動をとって欲しいと思うベルタ。

ベルタ「って、ダメでしょ!そんなとんでもない力を人に使わせちゃ」

マアマ「あはははは」


だが世界を創る側と世界に創られる側ではあまりに価値観が違うのだ。

ガルマ「人と竜の代行者では感覚が違うからな。護りたい物が無ければ力を抑える理由も無い」

ベルタ「そんな」


それでは破壊を待つ他無いのか。

ガルマ「無論破壊したい訳でも無い。その証拠に世界は維持されているであろう」

ベルタ「それはそうですけど。いつ消されてもおかしくないって事ですよね」


維持を続ける方法は無いのか。

ガルマ「消されたく無ければお主が護ればよい」

ベルタ「そんな力に、あたしがどうやって対抗するんですか」


何の事は無いと言わんばかりにガルマは助言する。

ガルマ「マアマが護りたい者に、お主がなれば良いのだ」

ベルタ「そんな簡単に。あたし、気に入られる為の特別な芸とか無いですよ」


というか凡人に可能な事なのかと。

ガルマ「心配せずとも気に入られているようだがな」

マアマ「ベルター。すきー。まもるー」


ガルマの言葉を肯定するようにマアマは甘えてくる。

ベルタ「あたし何にもしてないわよ」


嬉しく有り難くはあるが、納得のいかないベルタ。

ガルマ「お主の偏った欲望・・・お主にとっての愛というものを心地よく感じておるのだろう」

ベルタ「あたし、マアマさんを愛した覚えは無いんだけどねぇ」

ガルマ「お主の愛する人、物、世界が物質で出来ておる。つまりはこやつを愛しているようなものだ」

ベルタ「それで大人しくしててくれるなら何も問題無いんですけどね」


煮えきらぬベルタにガルマが警告する。

ガルマ「こやつは人と遊びたいだけだ。もしお主が放棄して、賊の手に渡ればどうなるかは推測できよう」


その警告を台無しにするマアマ。

マアマ「ゾクゾクするー」

ベルタ「オヤジかお前は!」

マアマ「あはははは」


だがやはり危険なのでガルマに任せたいと考えるベルタ。

ベルタ「ガルマさんが使って遊んであげる訳にはいかないのですか」


これはマアマが即否定する。

マアマ「つまんないー」

ガルマ「こやつに出来る事は我にも出来るからな。違いが無ければつまらんのであろう」

ベルタ「ここにも大願の根はあるのですね・・・」



この際、小さな事も確認しておこうと思うベルタ。

ベルタ「マアマさんはどうして稚拙な口調をするのでしょう」

ガルマ「一つには威厳を保つ事に意義を見出せない事。一つには人と仲良くしたいからであろう」


圧倒的な力の差があれば威厳が無意味なのは分かる。

ベルタ「人とですか」

ガルマ「マアマは、今の人でも遊び相手に足りると認識しておるのだ」


自分達が認められていると嬉しく思うベルタ。

ベルタ「竜神様よりは要求が低いのですね」


すかさず釘を刺すガルマ。

ガルマ「だが知識量は我に匹敵する上に、経験では我を遥かに凌駕する。舐めると痛い目に遭いかねんぞ」

ベルタ「おどかさないでくださいよ。怖いのは重々理解しています。多分ですけど」

マアマ「ベルター。よしよしー」


知識と経験がありながらも稚拙な口調の理由は少し分かった気がするベルタ。

ベルタ「そっか。力の差が有り過ぎるから、安心させようとしてその口調になったのかな」

マアマ「えっへん」


自分の為すべき事をガルマに確認するベルタ。

ベルタ「あたしが自制する事と、この子を怒らせたりする事が無いよう、十分気をつけないといけませんね」


ガルマはさほど重視していないようだ。

ガルマ「人に為せる程度の事で、こやつが怒る事はほぼ無かろう」

ベルタ「そうなんですか」


だが何気なく重い一言を叩き込んでくる。

ガルマ「強いて言えば、お主を傷つけられたら怒るであろうな」

ベルタ「何かあたしの責任がどんどん重くなってませんか」

ガルマ「アルフにでも言ってくれ」


そうなのだ。全ての元凶はアルフなのだ。

ベルタ「ちょっとアルフ!あんたのせいなの?」

アルフ「えぇ~?いきなり何?なんで?」

ベルタ「あんたに付いて行ってこんな事になってるじゃないのよ」

勝手についてきたのはベルタだろと思いつつも、口にしたら拳で語る事になりそうなので言えないアルフ。


何とかベルタの怒りを回避しようとするアルフ。

アルフ「落ち着けって。何も悪い事にはなってねぇだろ。仲間が一人増えただけじゃん」

ベルタ「あたしの責任がありえない程に重くなってる事が問題なのよ」

アルフ「気にしなければいいんじゃねぇの?」

ベルタ「気にするわよ」

アルフ「ベルタが襲われてマアマが怒ったなら、それは襲った奴が悪い。ベルタは気にしなくていいさ」

ベルタ「相手が悪いと言えば済む程度ならいいんだけどね・・・」

マアマ「あはははは」

そう、ガルマと同等の力を持ちながら、自制しない可能性があるのだ。半端な程度では済まない。


責任をアルフに振ったガルマがフォローを入れる。

ガルマ「心配せずとも、もはやお主を傷つけられる者は、殆ど居らぬであろう」


少し安心しながらも、殆ど=全てではない事を理解するベルタ。

ベルタ「とんでもない事になっちゃいましたね」


具体的な問題を挙げるガルマ。

ガルマ「生命力を直接削ったり、精神破壊を仕掛けるような非物理攻撃には注意せねばならんだろうがな」

ベルタ「そんな攻撃をされる事もあるのですか」

ガルマ「要人でなければ狙われる事はそう無かろう。だが精神破壊については、先日の放火でも危なかったな」


自分の母親が死ぬと錯覚した時の危険性はベルタも自覚出来ていた。

ベルタ「あの時は・・・」

ガルマ「そのような心の脆さは、マアマでは護れぬ。己が強くなるしか無かろう」


あの時に、もしマアマが居たら、自制を失った自分は町を吹き飛ばしていたかもしれないのだ。

方法は分からないが、自分は強くならなければならないのだとベルタは自覚した。

ベルタ「そうですね。あたしが強くなるしか無いんですよね」



歓迎会もどきを終えて今度こそ旅の再開と思いきや、後にした温泉を振り返ってベルタが呆然とする。

ベルタ「そうだ、天井消しちゃったのよ。どうしよ」

マアマ「あい」


悪気無いマアマの返答に苦笑するベルタ。

ベルタ「いや返事されてもね。これ弁償となると一生かかりそうな気がするわ」

アルフ「ベルタがやったと言っても信じてもらえないんじゃね」

ベルタ「そういう問題じゃないでしょ。どうにか償いたい所だけど」


葛藤するベルタに話しかけるマアマ。

マアマ「あそぶー」

ベルタ「ん?まさか温泉丸ごと消しちゃう気?だめよ」

マアマ「あそぶー」


ベルタとマアマの心中を察してフォローするガルマ。

ガルマ「ベルタよ。マアマを信じてはやれぬか?」


ガルマの一言を考えるベルタ。

ベルタ「ガルマさん?・・・まさか壊すだけじゃなくて直せるの?」

マアマ「どかーんといこー」


マアマを見つめ、意を決するベルタ。

ベルタ「どうせこのままじゃ償えないのは確かだし、やるだけやってみますか」


天井のあった箇所に向けて、祈りを込めたベルタが一振りする。

呆気なく、天井は一瞬で復元された。消滅はゆっくりだったのに。


ありえないと思いつつも、捨て切れなかった期待の景色が目の前に現れて呆然とするベルタ。

ベルタ「・・・」

マアマ「どかーん」

アルフ「すっげー」


我に返り副作用を心配するベルタ。

ベルタ「何これ、おかしいでしょ、あんた一体何したのよ」

マアマ「戻したー」


言葉足らずのマアマをガルマがフォローする。

ガルマ「お主は温泉を壊したくなかったから素振りにしたのであろう。

    マアマはそれを理解して、壊す前の状態を覚えておき、復元したのだろう」

ベルタ「復元って、材料も無しにですか」

ガルマ「消えたように見えても分解された素粒子は散らばっておる。それを集めて再構築したのだろう」


散々マアマの凄さは説明されていたが、あまりの非現実的な力を目の当たりにして、眩暈がするベルタ。

ベルタ「もう魔法少女になった気分ね・・・」

ガルマ「魔法使いが束になった所で、今のお主の相手にはなり得ぬ。獣人にも無傷で勝てよう」


ガルマの高評価が全く嬉しくないベルタ。そんなの相手にしてたまりますかと。

ベルタ「マアマさん、ありがとう。本当に助かったけど・・・今後は自重してね。お願い」

マアマ「あはははは」



アルフ一行に新たな供が加わった。

モーニングスターがオーラを纏ったお陰で、ベルタは武器の見た目でも、人から避けられるようになった。

ガルマは思う。これもアルフの言葉通りの結果になったなと。


ベルタの噂は余りに酷くて当人には言えなかったが、その当人は噂よりも遥かに酷い力を得てしまった。

もしやアルフはベルタをおもちゃにする為に巻き込んだのか?そう懸念せざるを得ないガルマであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ