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秘密の時計屋  作者: 宮田 聡仁
3/18

秘密の時計屋ー中編ー

運命とは実に簡単なことで生まれ変わる例えば今日みたいに 


        ※※※※※

「いらっしゃいませ『秘密の時計屋』へようこそ神崎美枝さん」

何を言っているのかよく分からない、秘密の時計屋というのも単なる噂話の感覚で聞いていたからだ。

つまり私はこんなことになるということさえ考えていなかった。

何かのドッキリだろうだとしたら今の私には悪趣味だ…

「噂でもドッキリでもありませんよ秘密の時計屋は本当にありますよ」

まるで私の意思を汲み取ったかのようにちょうど私の思っていたことの答えを返してくれた。

「っていうかそれよりもなんで店主よりも子供が出てきてくれたのかな?」

ちょっと少年は頬をむっとさせながら あなただって子供じゃないですかと小声で言い

「僕はこの『秘密の時計屋』店主であるクロックです子供じゃありませんよ!」

と胸を張って言い(見た目は全くもって子供なんだが…)10歳くらいの少年が自分が店主だと証明しようとした。

私はまぁいいかと勝手に決め自分の考えに没頭しようとした…すると

「?」

と少年クロックは私の態度に疑問を持ったらしい

「こんなにも簡単に話が進むのは久しぶりです」

と言っているうちに私が考えを整頓したためクロックに質問をしよう

「ええっとここが噂に聞く秘密の時計屋ですよね?」

「噂は知りませんけど、はい」

「で、あなた…クロックさんが店主さん?」

「はいそうです」

「で、ここは本当に『願いが叶う店』なんですか?」

「限定的ですがはい」 

などと少し疑問の残る肯定をした少年は今はっと気づき

「立ち話もなんですしそろそろ店内にどうぞ」

「は、はい」

店内に入ると天井や壁後は真ん中に置いてある台などに時計が規則正しく置かれている

私が辺りを見回しているとクロックが私の前にお茶を置いてくれた

そしてクロックは私が本当に聞きたいことを答えてくれた

「神崎美枝さん僕があなたの名前を知っているのはあなたのご両親と一度出会っているからです」

「なっ…⁉」

絶句した、クロックさんが私の両親にあったことがあると言ったからだ私は聞いたことがない

「いつのことですか?」

「そうですねこの店が開店して初めて来たお客様で確か8年前でした…あの時はまだ僕は今と違って精神は若かったですが…まぁそれは置いておいてあなたのご両親の願いは『もう一度、生まれた時の娘の顔が見たい』と言ってました」

8年前確か私が10歳になった時だ

「『久しぶりに昔の我が子が見れて感動した』とも言ってくれましたそして…」

「ちょ、ちょっと待って下さいお父さんとお母さんがきて生まれた時の顔を見た⁉」 

「はいそうですまぁ詳しく言えば『過去に戻って』という言葉が入りますがね」

「過去に戻った⁉どういうこと⁉」

「それがこの『秘密の時計屋』です秘密の時計屋とは主に過去に一時的に戻る手伝いをすることです。この世界には20店舗ほどこういうような店が存在します…何かを対価にして過去に戻す時計屋、無条件で過去に戻す時計屋…まぁ僕は後者ですがその2つの種類が存在します。そのためにはそれ専用の時計を使い過去にに戻しますあっもちろん未来に行くこともできますがほとんどが過去の願いですね…」

1つの希望が湧いてきたこの時計屋があれば人をお父さん、お母さんを生き返らせる…生きるルートに行かせることができるのではないか…!

「だったら人を生き返らせることができますか!?」

「無理ですね」

クロックはきっぱりと言った

「『人の死』というものは運命と同じですなのでここで過去に戻り生きるルートを選ばしたとしても必ず2日、3日で死にます例えばあなたのご両親が乗ったジャンボジェットが墜落しなかったとしも交通事故つまり車などの事件で亡くなります分かりましたか?」

「はい…」

もうこれは言いようがなかったつまり私がどうあがいてもお父さん、お母さんは死んじゃうということだろう、つまり私には希望がない…

「先程僕の話を途中で止められましたがあなたのご両親にある事を頼まれました」

「?」

「『神崎 美枝という子が立派に社会人になるまでに私達が亡くなってしまった場合あの子の手助けになる事をしてください』となかなか傲慢なことですが自分の娘のことを本当に心配しているのだと思い立派な社会人になったときまでという契約で約束しました」

「神崎 美枝さん」

自分の名前なのに何故か重みを感じた言葉で彼は言い

「あなたの中に眠る願いを教えて下さい」

答えは決まっている

「今日の午前私がお父さん、お母さんと別れたときまで戻してください…お別れの言葉を伝えたいんです…」

するとクロックはニコッと笑い

「承知いたしました」

と言った


まだ終わらない私の思いを届けるまで!

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