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女神の娯楽に巻き込まれて  作者: 下記の種
2章→無人島編
5/16

5話/無人島生活 ⒉

 説明会なので物凄く字が多いです。

 字が多いです。

「固有スキル……技能、創造?」


 リミアが手に取った週刊誌並に薄い説明書の最初のページにはリミア自身が女神アリアに授かった二つのスキルの詳細が載っていた。

 

《最適化》


 ものの全てを最適にするスキル。


技能創造(スキルクリエイト)


 本人が想像した力を技能(スキル)として作成するスキル。技能はそれぞれ普通(ノーマル)常時(パッシブ)固有(ユニーク)に別れて作られる。


「なるほど、つまり、これを治すために解毒に近いスキルを───」


 説明書に載っていた二つのスキルの詳細を隅々まで読んでいく。最適化に関しては今は使わないだろうと思い、リミアは流し読みでそれを簡単に読んでいく。

 そして、読み終わったリミアは自身の中に回った毒を解毒する為に、それに合ったスキルを想像していく。


 技能創造のスキルとは、言わば想像して創造する技能だ。リミアが欲しいスキルを想像したのなら、技能(スキル)はそれを元にこの世界にもある、そして有り得ないスキルまでを作っていく。存在するスキルは作ることが出来る、そして有りもしないスキルさえリミアの技能創造には作ることが出来てしまうのだ。


 つまりは万能、神にすら成り得る力をリミアは授かったのだ。


(スキル作成…………)


 リミアは毒の影響、痛む頭の中で今一番に欲しい技能を想像していく。リミアが一番欲しいのは解毒に近いスキル、そして技能創造はそれに近いスキルを作成していく。

 作成されたスキルはすぐにリミアに伝えられることになる。


《普通スキル、“解毒Lv.1”を作成しました》


 レベルについてはイマイチ分からなかったリミアだが、命の危機だけにそれに構ってなどいられず、新しく作り上げたスキルを発動した。


(解毒!……治って)


 痛む胸に手を当てスキルを発動した。すると当てていた手が光だし、胸に暖かいものが入ってきて痛み自身が引いていく。リミアの体から毒が消された瞬間だった。


「はぁ〜助かった。今回は本当に死ぬかと思った…………」


 今まで苦しめてきた毒が引いたことにより死の緊張が解けたリミアはそな場で腕と足を放り出し、伸びの形で砂浜に寝転がる。体には一切の毒の痛みは無く、寧ろ今まで以上に快調になった気分だった。


──もしかしたら、今までも毒を?


 なんて事を考え出すリミアだったが、不毛だろうと方をつけその場に立つ。

 そして、未だに汗が垂るるその足で放り投げた説明書が落ちた場所へと歩き出し、それを拾い上げる。


 何だかんだと言ってもあの女神アリアから貰ったこの力に助けられたことに変わりはない、だったら人として当然のことをするべきだろうと説明書を片手に頭を下げた。


「ありがとう、ね。女神様」


 頭を上げるといつの間にか夕暮れ時となっていて、空は茜色に染まっていた。小さく息を吐きながら今日の夜のご飯を探すためにアリアは森の中に入っていく。

 毒が治った後でも、まだまだ死の危険はあるのだ。


 餓死という危険が。







「なんか充実していく気が…………凄いするね」


 無人島生活も4日目に入った朝、リミアが最初に呟いたのはそんな言葉だった。リミアの目の前には先日まで無かった一階建ての木造住宅が立っていた。砂浜と海、そして夏に近い気温なだけにテーマは『夏』、そして出来上がったのは海の家に近いそれだった。

 

 無人島生活4日目にして、リミアは満足をしてしまっていた。


「ま、全部はスキルのお陰なんだけどね」


 そう、どれもこれも女神アリアから受け取った固有スキル“技能創造”の恩恵から来るものだった。


 リミアが3日目を丸一日犠牲にしてしたことは技能創造の研究だ。研究とは言っても、説明書に載っていた『オススメスキル一覧』の中のスキルの作成、そして役に立ちそうだな、と考えたスキルをつくること。最後にその性能と恩恵がどれ程のものかを確認することだった。


 そして研究の結果、分かったことはリミアの持つスキルが万能に成りうるスキルをだという事だ。


(最初から万能じゃないところがまだ救いようがあるんだけどね)


 万能になりうるとは言葉通りで、技能創造で作れるスキルに制限や限度などは存在しなかった。しかし、効果には限度があった。



 技能創造で分かったことは三つ。


 一つ目はレベル。

 覚えられる技能は無限大でも、その効果は最大ではなかった。覚えた技能はレベル一から始まり、最大は今のところ不明となっていた。

 

 二つ目は種類。

 技能には三つの種類に別けられる。一つ目は普通(ノーマル)スキル、二つ目は常時(パッシブ)スキル、三つ目は固有(ユニーク)スキルだ。

 それぞれに特徴があり、普通スキルならば、常人が努力次第で手に入れることが出来る領域の技能だ。例えば魔法、剣技、特殊なスキルもあったりする。


 常時スキルは、死なない限り効果が継続するスキルだ。状態異常の耐性や、身体強化などの、自身を補助する場合が多いスキルだ。リミアも先日の毒の一件があって以来、毒に耐性のある状態異常耐性をすぐに作成していた。


 最後に固有スキル。これには“技能創造”や“最適化”も入り、簡単に言えば簡単には手に入らない領域だろうか。このスキルに関してはリミアも分からないことが多く、ただこの世界で固有スキルを持つ人は少ない、それだけは説明書に記述されていた。



 最後に三つ目の分かったことだが、これは一つの反動だ。


 スキルを作るにはそれなりに時間と魔力を消費する。安易な技能は短い時間で、少ない魔力で作ることが出来るのだが、想像が付きにくくその技能自体が強大な技能だった場合は、多大な魔力と時間を消費してしまう。

 先日、物資が少ないと感じたリミアは、物質を生み出す固有スキルを作ろうと考えていた。そして、それを実行に移したところ三時間の時間と、持っていた魔力の約十分の一を根こそぎ持っていかれてしまった。

 十分の一となると少なく聞こえてくるかもしれないが、リミアは女神アリアから魔力を特盛にしてもらい、魔力量だけならばこの世界でも一桁の実力者に入る量を持っていた。


 そして、それらの時間と魔力を消費して作り上げたのが物質を生み出す固有スキル“物質創造”だったりする。


 研究を終えたリミアは早速、自身の持つスキルのレベル上げと、それを応用した無人島の開拓を始めた。

 なぜ開拓をするのか?と聞かれれば迷わずリミアはこう答えるだろう。


「この島を出たくはないから」


 理由は一つ、女神アリアに2度と会いたくはないからだ。アタッシュケースを開けた日、その中に入っていた手紙には“無人島から出た時に会いに来る”と書かれていた。つまり、この島から出た代償として女神に会わなければならなくなったのだ。リミアにとってその代償は大き過ぎた。


 開拓としてまず最初に始めたのは、住居の建築だ。

 幸いと建築の知識を持っていたリミアは難なく家を建てることが出来た。理由はリミアが高校生だった頃、将来の夢の一つに建築家が入っていたからだ。


 そうして、最初に作ったのが海の家。 材料は島の森に沢山あり、足りないものは物質創造で何とか切り抜けていった。

 ただ家を建てるだけというのも時間が勿体ないのでスキルを駆使して家を作ることにした。


 最初に砂浜の一部を土魔法で刳り貫いていく、深さは大体で2メートル程度だ。刳り貫いた土は使えるかも知れないので、技能創造で作った固有スキル“無限収納(ポケット)”に入れていく。

 次に刳り貫いた場所に木の杭を打ち込んでいき、その上からコンクリート代わりに木を満遍なく敷いていく。


 土台ができたら次は床を敷き詰め、その上から壁、天井を置いて海の家の出来上がりだ。

 尚使ったの技能は総勢で二十まで上っていた。レベルも勿論上がっている。


 杭を打つには女の細腕には荷が重いと考え常時スキル“筋力上昇”を作成したり(邪龍族の筋力が強過ぎた為あまり関係がなかった)、木を運んだりする時は空間魔法で転移させたり、風で運んだりしていた。

 更に、普段の生活に欠かせない電化製品に近いものを作るためにも技能を満遍なく使っていた。

 冷蔵庫を作るために“氷結魔法”と“空間魔法”を応用した魔道冷蔵庫を作ったり、夏の気温なだけに暑いので魔道冷蔵庫を作ったりしていた。


 その結果、海の家の中も外も快適かつ現代的なものまで増えていき、無人島で生活するにはありあまる場所と化していた。


「便利過ぎて、もうここで永住できるね」


 そんなことを考え、気がついたら4日目に突入していた。

 研究をしたり、家を作ったりしていたら一晩明けてしまったのだ。


 しかし、リミアにとって徹夜したことに関しては何も悔いはなかった。何故ならここで生きていける、島から出ずに済んだのだから。


「やった、もうあの女神(あれ)に会わなくて……す……む…………」


 家を作り上げたことに満足したリミアは海の家の奥に作ったベットに飛び込むとすぐに睡魔に身を委ねた。


「おやすみなさい」


 これがリミアが3日目から4日目に掛けて、やった事だ。

 ちなみに、この後は昼過ぎまで寝てしまい、見事な昼夜逆転の体質となってしまった。

誤字脱字や、訂正箇所がありましたら感想にてお願い致します。

 感想、評価、追加待ってます。


 もう、登録者数を数えるのは止めておこう。僕にとってそれは、やる気が作用されてしまうものだから(泣)

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