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対峙するバロックとヴラド

 南区もだいぶ走り回った。


 白いスーツ姿の智天使や服装に統一の無い黒死蝶を見つけ次第声を掛け、殴り倒して辿り着いたのが一軒の品性の欠片もない髑髏看板の店だ。


「スカルクラブ? また変な名前の店だな。まあ、酒場か何かだろう。情報はこういった場所で集めるのが定石、か」


 懐には札束がある。


 ある程度の要求には答えられるが、今まで見たいに喧嘩沙汰になった場合の打開策は何もない。きっと数任せで押しつぶしに来るはずだ。そうなった場合はヴラドに勝ち目はない。


「穏便に済めばいいけどな」


 扉を押し開く。


 店内には智天使と黒死蝶が仲良さげに酒を飲み交わしているものかと思ったが、そうでもない。皆これから戦争を始めようというように忙しなく拳銃や爆薬を右に左に運んでいた。


「忙しい所悪いが、人探しをしているんだ。赤い髪と瞳をした奴……なんだが」


 全員が珍客に動きが止まる。いや、ヴラドの姿に立ち留まったのではない。彼の発言に足を止めたのだ。


「へいへいへいへい! んでぇ、テメェは。ここがスカルクラブだって知ってての来店かぁ?」


 人垣を割って小太りの小人みたいな男が、めいいっぱいに怖い顔を作ってズカズカとヴラドに歩み寄る。


「お前がここの責任者か? だったら、話しは早い」


 ヴラドは懐の札束を引き抜き見せつけるように扇ぐ。


「な、何もんでぇガキ」

「人探しだ。赤い髪と瞳をした女を知らねぇか?」

「ッ! し、知らねぇな。テメェその服装からして魔術学院か? だったら、市民様のためによぉ、戦争でもして来いってんだ。なぁ、野郎共!」


「イェーイェーイェー!」

「ガキは帰れ!」

「金だけ置いてってくれぇ」

「ヨムカ様は渡さねぇ」

「「…………」」


 一斉に静まり返る店内。


「よし、知っているようだな。何処にいる?」

「ばっ、教えられる訳ねぇだろうが!」

「そうか――なら」

「オゲェッ!?」


 ヴラドがカロトワの胸ぐらを掴み足払いをかけてそのまま地面に叩き付ける。


「言わねぇなら、口を割らせるだけだな」


 静まり返った店内が沸く。


 怒声が、罵りが、銃声が、スカルクラブを嵐のように駆け回る。ヴラドに向かう人の大波。押しつぶさんという物量は上階から降り注ぐ一喝によって静寂する。


「何だァ、ガキが一人で」

「お前がボスか? 俺は人探しをしているんだ。ヨムカ・エカルラートっていう夕日色の髪と目をした女だ。此処の誰かがヨムカ様は渡さねぇって言うもんだから、これから口を割らせようとしていたんだが、どうだ? お前は知ってるのか」

「ああ、知ってるぜ――っと」


 二階から策をまたぎ飛び降りた。


 二メートルはある巨漢はヴラドと距離を詰める。


「俺は黒死蝶の元ボス、バロック・ローレライトだ」

「丁寧にどうも。俺は、あ~、魔術強襲七八部隊隊長ヴラド・カッセナール。ヨムカの先輩だ」


 カッセナールの性はこの場に居る者達にも有効なようだった。

こんばんは、上月です(*'▽')


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