監禁された意味
薄らぼんやりと霞む視界に映る薄暗い石造りの天井。
「うぅ、ここは――って、えぇ!?」
腕の自由が利かず、手首を締め付ける痛みに自分が拘束されているのだと理解する。どうやら足首も同じように縛られていた。
どうして自分がこのような場所で監禁されているのか。記憶を失う寸前の出来事を呼び起こすと不可解な――ありえない場所で意識が途切れた事を思い出す。
「バロックさん! リーさん! カロトワさん! ステラさん!」
ヨムカの叫び声は室内に木霊するだけで誰からも返答はない。
「そうだ、今の時間……」
周囲を見渡しても時刻を知らせる時計はないが、積まれた木箱や麻袋からは微かに甘い匂いを嗅ぎ取る事が出来た。
「果物? それと、アレは……えっと、小麦粉。あっちが香辛料……ということは、ここは食糧庫? スカルクラブの?」
もしここがスカルクラブの食糧庫だとしてどうして自分は拘束されているのだろうか。何も悪いことはしていないし、閉じ込められる理由が見当たらない。
「あっ! そういえば、私の事を戦地に行かせたくないって。それが理由だとしたら、絶対に出してはもらえない、よね。はぁ――先輩達との待ち合わせが」
深い溜息を吐き出すヨムカはじっと壁の上部に設置された小窓を眺める。
「ヨムカ様、失礼します」
「――うひゃあ!?」
背後から気配泣く掛けられた声にバネのように身体を弾ませて飛び跳ねる。
「す、ステラさん!? ど、どうしてこんな事をするんですか!」
「どうして? それはヨムカ様がよく知っておられるのでは?」
「私を戦場に行かせたくない」
「はい、そうです。これはバロック様、カロトワ様、リー様の総意ですので」
バロックとカロトワは理解できるが、そこでまさかリーの名前が出るとは思わずキョトンとしてしまう。その様子をステラは頷き見せる。
「リーさんはヨムカさんを結構気に入っておられるようです。初対面の自分に臆せずに岩をぶつけたファッキンガールとか言っておりました」
ファッキンガールという意味は分からないが、きっと異国の言葉で褒めているのだろう。そうじゃなきゃ自分を拘束してでもスカルクラブに押しとどめようと賛成するはずがない。
「ステラさん、お願いします。私をここから出してください」
「申し訳出りませんそれは出来ません。私個人としてもヨムカ様の命を守ることが最優先ですので」
思った通りの回答に内心で舌打ちをする。
ならば、とヨムカは全身に魔力を即時循環させる。血管に沿って流れる魔力の流れを感知しヨムカが魔術行使の為の詠唱を早口に呟き、あと数音発するだけで完成する間近で――。
「ふぁあ? ふぁはふぃてふらはい」
「させません」
ヨムカの口内に滑り込むしなやかで白い手が詠唱を阻む。
「もうひと眠り、願います」
ヨムカの喉奥に指先から何かが落とされる。
「――んぐッ」
吐き出そうにも顔を上向きで固定され小さな何かの物体はヨムカの喉を滑り落ちる。しばし後に襲い来る眠気は再びヨムカの意識を落とす。
こんばんは、上月です(*'▽')
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