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国家正規軍と無法地区組織軍

 人が探さなそうな工業区の探索。


 考え方は良かったのだろうが、全くとして成果が上がらない。そもそも工業施設への立ち入りが禁止されているので、ヨムカ達が探せる範囲は狭まっていく。


 黒死蝶からの連絡もない。というより、ヨムカの周囲には常に七八部隊のメンバーが付いているのに、どうやって情報提供をしてくれるのだろうか。せめて人混みの中であれば、どさくさに紛れてという方法もあるが。


 もしかすると、直ぐ近くでカロトワが接触できるタイミングを見計らってくれているのかもしれない。


「おいっと、すいやせんねぇ。急いでいたもんで……おっと、いけねぇ。ぶつかってもうしわけありやせんでした」


 ヨムカの背後から伝わる衝撃。


 前のめりになりつつなんとか転倒せずに済み、振り返ると見知った顔――黒死蝶とヨムカの連絡係であるカロトワだった。


「ちょっと、不味いですぜ」


 ヨムカの前を通り過ぎざまに、ボソッと呟く。


「……ん?」


 自分が何かを握っていることに気付き、少しだけ手を開くと乱雑に破かれたメモ用紙が姿を現す。


 その巧妙にして絶妙なタイミングを見極め、ヨムカにメモを握らせたのだ。まるで、マジックを体験したかのような驚きだ。低身長のふくよかな男の背を見送る七八部隊の目を盗み、メモに視線を落とす。


『リー率いる智天使と黒死蝶数名が中央区で国王直下の軍相手に暴動を起こした』『キング・オブ・ファイブ、密輸品の防衛任務』


 …………。


「先輩、きっとここにはありません。やっぱり人込みの多い場所に行きましょう」

「だよなぁ、ヨムカもやっと分かってくれたか!」


 嬉々としてヨムカの意見を推すクラッド。


「まぁ、構わないぞ。だが、本当にもういいのか?」

「はい、十分です。これだけ探して見当たらないなら、見つからないと思います」

「さっきのキング・オブ・ファイブが誰かの命令でここ等を探すよう言われていたんだろ? もしかすると――」

「いえ、もう大丈夫です。早く行きましょう」

「……わかった、わかった。ロノウェもフリシアもそれでいいか?」


 一応確認を取るヴラドに二人は快く頷いてくれた。


 イベント開始から四時間。


 日も頭上に差し掛かり昼時を告げていた。


 工業区から中央区へと移動し、怒声と人の群れで問題の場所は早期に特定できた。何事かとクラッドが好奇心に任せて、なんとか覗き込もうと飛び跳ねたりしている。


「なんかっ、さっきの、白い服着た変な奴がっ、揉めてるぜ!」


 連続的に飛び跳ねるクラッドの姿はどこぞやの民族の様。だが、そんな事はどうでもいい。今は、どうやってこの人の壁を押しのけて暴動の輪に介入するかだ。更にその時点で新たな問題が生まれる。ヨムカは表で彼等――黒死蝶や智天使とは関わりを持っていないことになっており、常識的に考えて自分が首を突っ込むのは不審である。


「クラッド、好奇心は猫を殺すぞ」

「えぇ!? 好奇心って猫を殺すんスか!?」

「いや、お前……まぁ、いいけどな。そういう事だ、ああいう輩には関わるな」


 などと自分の隊長は仰っている。


 ヨムカの独断で行動は出来ない。


 ならばどうする。考えろ、何でもいい。自分が介入できる理由さえあればそれでいいのだ。


「オラァ! なに偉そうに威張ってんやァ! ドアホがッ」


 喚き散らすリーとそれに続く部下たち。


「国民の血税で食うただ飯は美味いか!」

「そーだそーだ! 仕事しろアホ!」


 黒死蝶の面々も思い思いに怒声を浴びせていく。


 黒死蝶の罵声には周囲の国民達も一丸となり参加していた。どうやら智天使はともかく、黒死蝶の訴えは国民の総意らしい。


「黙れ、黙れぇ! 我々がいるから日々の平穏があるのだ。貴様等は税を払う義務があり、保険や保証が約束されている。これのどこが不満だと言うのだ」

「知ってるぞ! 貧民街の女を買い漁り、安酒を浴びるように飲んでは、弱者をいたぶって楽しんでいることをな。こんな奴らに俺達の税金が消費されてるってぇのが不満なんだよ、馬鹿!」

「低俗な区域の人間風情が図に乗るな!」


 国家正規軍の騎士一人が抜刀する。続いて背後に控えていた精鋭達も倣って剣を引き抜く。


 正規騎士五十名弱。智天使黒死蝶合計三十五名。


 クラッドの解説でなんとなく状況を把握している状態だが、どうやら状況は芳しくない。バロックは何をしているのだろうか。こんな時、彼がいてくれれば……。


 智天使の数が少なすぎる。これは、いくつかのグループに分かれて首都内を探して回っているのだろう。人数、連携、経験してきた修羅場の数。戦闘において圧倒的に不利だ。


「うぅ……どうしよう」


 頭を抱えたくなる状況。ヨムカは小さく溜息を吐くと、背後から肩に優しく置かれる手の感触に振り返る。

こんばんは、上月です(*'▽')


前回の投稿から一週間くらいでしょうか。

できれば、もう少し投稿頻度を上げたいのですが中々に難しいです(^^;


次回の投稿もたぶん一週間後くらいになります


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