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国内開催! お宝探しゲーム

 煙草の紫煙が薄暗い室内を満たし、テーブルの上には髑髏の容器にロウソクの火が灯り、互いにテーブルを間に置き二人の男が向かい合って座っていた。


 その男たちの背後には大勢の男女が控えていて、まるでこれから戦争でも始まるのではないか、といった雰囲気が空気を張り付かせていた。


「よぉよぉ、俺達って戦争しなかったらよォ、なにして生きてりゃいいんだァ?」


 悪趣味な色レンズが嵌められた小さな眼鏡の奥の気怠げな瞳を、目の前の熊のような巨体を持つ男に向けられていた。


「この戦争馬鹿がっ、平和が一番だろう。なぁ、野郎ども!」

「オー!」

「イェッ!」

「戦争馬鹿は死ねっ!」

「ウォイ! どいつだァ? 俺に死ねとか抜かしたヴォケェ野郎はよォ!」


 リーがテーブルに身を乗り出して眉間にシワを寄せ、怒鳴りつけるが、バロックの背後にいる黒死蝶の面々はシラーっと視線を逸らし黙り込む。


「んで、リー。お前等はわざわざスカルクラブ(ウチ)に世間話でもしにきたのか? だったら、酒の一つでも頼んで貰おうか」

「おっと、じゃあ一番高級な酒を貰おうかァ……っじゃねぇよ! ああ、誰がテメェ等みてぇな蛆虫野郎共と世間話しに来なきゃなんねぇんだよっ! コレだよコレェ!」


 ビシッとヨレのないスーツの懐から一枚の紙をテーブルに叩き付け、ある一文を指さした。バロックを始め、黒死蝶の面々が何事かと紙面に視線が集まる。


「……おい、リー。これ……マジなのか?」

「マジもマジの大マジよォ。冗談で熊みてぇな、むっさい男の顔拝みに来ねーわ」

「がっはっは、面白いなっ!」

「オモロくもなんともないわ! テメェ、頭沸いてんのか? ああ!?」


 紙面を読んだ上で、面白いと豪語するバロックにリーは唾が飛ぶのもお構いなく、声を荒げて、力強く再度確認しろ、というように指で重要な部分を何度も叩きみせる。


「頭沸いてるだと? んなもん、この区域に住んでるやつ全員が沸いてるだろ、なぁ、野郎共!」

「オーッ!」

「イェッ!」

「戦争馬鹿は、死ねっ!」

「だ~か~らよォ! さっきから……もうええわ。んで、面白がってるテメェは参加すんのか?」


 悪趣味な眼鏡をイラつきに震える指で押し上げる。


「俺としちゃ参加してぇわな。だがよ、ウチらのボスはあの嬢ちゃんだ。参加も不参加もあの娘が決めて、俺達はそれに従うのみだ」

「あの、自傷系クレイジー少女ね。あ~はいはい。まぁ、参加しといた方が金になると思うけどなァ」


 その一文には『誰でも参加可能! 宝さがしゲーム』というデカデカと書かれていて、見事お宝を見つけたチームには陛下より金品の贈与、という人の眼を盲目にさせる魔性の文が添えられていた。


 そう、報酬は個人ではなくチーム。それは数人一組での参加となる。もちろん、組織である黒死蝶も智天使も人数には自信があり、全員参加すれば他の参加者よりお宝を見つけ出す確率が高くなるのだ。


「王様からの金品となりゃあ、そりゃ大金だろうが……ウヒヒ」


 ヨダレを拭うリーは完全に魔性の魔法の餌食となっていた。


「おい、智天使の兵隊さんよ、あんた等も大変だな。こんな馬鹿面でヨダレ垂らすボスの下でよ」


 ハッとなったリーが何か言い返せと部下に振り返るが、智天使の面々はシラーっと視線をリーから逃れるように逸らす。


「テメェ等! どうして目ェ逸らすんだ、アァ!?」


 唾を吐き散らしながら怒鳴りつけるリーに智天使の面々はどうどう、と手で落ち着いてくださいのジェスチャー。


「言い度胸だ、コラァ!! 今一度、教育を施してやるわッ!! まずは、オメェちょっとこっちに――」

「こんにちは……って、何やってるんですか?」


 スカルクラブにやってきた夕日色の少女は、テーブル越しにバロックとリーが部下を従え、なおリーは部下に拳を振り上げている場面に何事かと怪訝な顔をする。


「おう! ヨムカ嬢。良いところに来たな、悪いけどちょいコッチ来てもらえるか?」

「あっ、はい。それで、これは何の集まりですか?」


 ヨムカはテーブルの上に置かれた一枚の紙をバロックに手渡され、斜め読みに理解する。


「バロックさん……」

「おう? なんだ」

「是非とも参加しましょう。私達は他の人たちにないアドバンテージがあります」


 目の色を変えたヨムカにバロックは豪快に笑みを浮かべる。


「人海戦術を用いてでも探し出しましょう! 報酬を貰ったらみんなで美味しいご飯を食べましょう!」

「ヨムカ嬢が参加するぞ! おい、野郎共ォ! ボスに恥欠かせんじゃねぇぞ!!」

「オーッ!」

「イェッ!」

「戦争馬鹿は、死ねっ!」

「おい、見つけたぞ! テメェだ。よくもさっきから死ね死ね言ってくれたなァ。覚悟は出来てるんだろうな、クソ眼鏡野郎ォ!」


 リーが黒死蝶の眼鏡を掛けたメンバーに手を伸ばすところでそれをバロックが遮った。

こんばんは、上月です(*'▽')


次回から国内全体の宝探しゲームが開催されます。

この宝探しはたんなるゲームではなかった……。


さて、次回の投稿は5月22日までには投稿したいと思います(;'∀')



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