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原因不明の大爆発

「せ、先輩……その、何も聞かないんですか?」

「あ、何がだ?」

「私が南区の人達と関わりを持っていた事、とかです」

「別に誰が誰と関わりを持っていようがソイツの勝手だろ。それより、悪かったな」


 フラフラとするヴラドの身体を支えながらヨムカは顔を見上げる。


 簡易な止血をした包帯に血を滲ませているヴラドは申し訳なさそうに、ヨムカを見下ろした。


「宝探しの時、お前の前であいつ等を悪く言っただろ」

「そう、でしたね。でも、いいです。私が彼等を最高の家族だと胸を張って言えますから。それより、ありがとうございました、迎えに来てくれて」

「それこそ気にするな。隊長として部下を迎えに来ただけだからな。あー、ロノウェに小説を没収されたから、禁断症状が――ほら、意識がぼんやりとしてきた」

「――えぇ!? そ、それは禁断症状じゃなくて絶対に頭部へのダメージが原因ですよ! 何を禁断症状のせいにしてるんですかっ!!」


 頭を揺らすヴラドの顔面は蒼白だ。


「ちょ! ちょっと待ってください。えっと――」

「ヨムカ様、コレを彼に呑ませてください」

「うん、ありがとうステラさん……え?」


 いつから居たのか、ヨムカの隣りを当然のように歩いていた東洋美人ステラがソっと小さな丸薬を手渡す。ヴラドの胸ぐらを鷲掴んで屈ませ、丸薬を口に押し込み水で一気に流し込ませた。


「――まっず!! なんだこれ」

「復活しましたか?」

「ヨムカ、口に何入れたんだ? 胃の中で一気に臭みと苦みが口内に押しあがって来たぞ」

「ステラさんから渡された、たぶん薬だと思うんですけど――て、あれ。ステラさん?」


 周囲を見渡してもステラの姿は無い。


 ヴラドの様子からしてステラの存在には気づいていなかったようだ。何はともあれステラのお陰でヴラドは正気を取り戻した。内心で彼女に礼を述べ、視界の端には智天使や黒死蝶の見慣れた人たちが市民に何かしら声を掛けまわっていた。


「他の奴等は正門前で俺達を待って――」


 聴覚が音を否定した――近場で豪快な爆発が起こった。耳がキンキンとして肌を焼く熱風が凄まじく城下街を吹き荒れる。


「――ッ――ッ!!」


 腕の隙間から覗くヴラドが何かを叫んでいるようだったが、聴覚機能を失ったヨムカには何を言っているか分からなかった。昼間であるにもかかわらず、日光より眩い光が二度、三度、四度、と正門方面から弾けるように閃光する。僅かに遅れて熱風や轟音が響く。


 ヴラドはヨムカの手をしっかりと握り、正門方面に駆けだした。


 正門にはロノウェや六八部隊の面々が待機しているという。混乱する人垣を押しのけるヴラドと視界も白け引っ張られるヨムカの胸中には焦りや不安が色濃く立ち込めていた。


「先輩、これって……」


 正門は完全に見る姿なく近場の民家を巻き込んで瓦解していた。瓦礫に押しつぶされた人間がぐったりと紅色に染まっている。ピクリとも動かない彼等はざっと見ただけでも百以上。ここいら一帯は正規軍が待機していたので一般市民の姿は無い。つまりここに埋もれる人全員が正規軍ということになる。


 この国は一気に八割以上の兵士を瞬時に失った事になる。


「先輩! 見てください!」


正門から先――はるか遠方――数十キロ以上先の平原から立ち込める黒煙。ヨムカ達と別れた元魔術学院生達を含めた帝国軍の進行速度をだいたいで計算するつ、ちょうどあの辺りだった。

こんばんは、上月です(*'▽')


な、なんと! 今回の投稿で百話目です(*´з`)ノ


何の前触れもなく首都を襲った爆発は一体何だったのか!?

気になる次回の投稿は明日の夜です!

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