表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

7.その騎士は、ライフメナスを目指す。2

なにを言っているんだ、この騎士は。


その場にいた者の心が、一つになった瞬間だった。


騎士だけではなく、ダーチュラまで心を一つにしていた。人と魔物が、その境界を越えて思いを共にしたのである。ある意味、快挙と言えよう。


内容は、これだったが。


ペンギン騎士は、その黒いひれに包まれた手を、すっ、とダーチュラに差し伸べた。



「この場に来て、戦うあなたを見た。そして、あなたの手から生み出される数々の品物を見た。


 そしてわたしは思ったのだ……ダーチュラ。この洞窟で一人在りながら、誇り高くある蜘蛛の女王。


あなたの生み出すものは美しい。それはとりもなおさず、


あなた自身の在り方もまた、美しいということだ」



 なにを言っているんだ、この騎士は。


 一同の心は再び、一つになった。かまわずペンギン騎士は続けた。



「蜘蛛の巣にかかる朝露が、太陽の光にきらめきを見せるように、あなたの生み出す装飾品は、輝いている。その美しさよ。


 戦う騎士たちを威嚇し、戦いによって、自らに相対するにふさわしい相手か否かを見定める。その誇り高さよ。


 それでいて、あなたの心根は少女のようだ。


 繊細でいてたおやかだ。


 ダーチュラ。繊細な手の持ち主。誇り高き蜘蛛の女王。そうして傷つきやすい乙女の心を持つものと、わたしはあなたを呼びたい」



 女性騎士が、ぱかりと口を開けた。

 男性騎士らも、ぱかりと口を開けた。

 ダーチュラももちろん、ぱかりと口を開けた。


 そんな彼らに頓着せず、ペンギン騎士は、熱を帯びた声で語った。



「戦うのは、おのれの生み出したものに、相手が相応しいか否かを見定めようとしているためだ。なぜなら、あなたの生み出したものは、あなたの心を込めたもの。


 おのが心を託す相手を、見定めようとして、あなたは戦うのだ。


 雫のネックレス。この繊細な輝き。大空のネックレス。このやわらかな美しさ。


 それはあなた自身の心。ダーチュラという乙女の心の輝き。


 ダーチュラ。


 ゆえに、あなたは、美しい」




 ………なにを言っているんだ、この、騎士、は~~~!!!



「うっひえ~、ひよよよよ、ひょええええ~っ」



 そこまで来て耐えられなくなったのか、回復魔法を持っている女性騎士が奇声を上げた。真っ赤になってその場にくずおれると、「あまじょっぱ~!」と叫びつつ、ごろごろ転がり出す。



「はえ? え? ほえ?」


「まじ? え? まじ?」



 一方、盾と剣をかまえていた騎士と、大鎌を手にしていた騎士は二人とも、硬直した。言葉は耳に入っているが、内容が理解できないようだ。しかし聞いていて恥ずかしいことは恥ずかしいらしく、頬が赤くなっている。そのまま混乱した顔で、うろうろと視線をさまよわせている。


 そして、ダーチュラと言えば。



「し、しゃ、しゃしゃしゃしゃしゃ~~~~~~っ!(訳:ちょ、ま、え、ちょっと待って~~~~~っ!)」



 うろたえていた。



「き、き、ききききききき~~~~~~~~っ!!!(訳:ううううう、美しいって、美しいって、ええええ~っっっ)」



 ものすごく、うろたえていた。



「しゃ、しゃしゃしゃきききき(訳:いやあのさ、魔物連中からは、ダーチュラは可愛いねって、そりゃ言われてるよ?) 


ききききききき(訳:言われてるけどさ!)、


ききききしゃしゃしゃしゃ(訳:でもだからって、心根? 乙女? えええ、う、美しいってあんた、)



しゃきゃ~~~~~~~~っ!(訳:いや~~~っ恥ずかしい~~~~~~っ!)」



 それはもう、混乱状態だった。うろうろと八本ある足を振り上げ、振り下ろし。ぱくぱくと口を開け閉めし、上体を持ち上げてみたり、おろしてみたり。じたばたと足踏みをしてみたり。


 ちなみに恥ずかしさのあまり、思い切り勢いをつけていたので、見かけの凶暴さと相まって、はためには鬼気迫る様子にしか見えなかった。



「え、ちょ、ダーチュラがなんかすごい反応してるんだけど、これ怒ってる? 怒ってるよね?」


「マジ? マジですか? マジにあんなこと言ってるんですか?」



 慌てて避けながら言う男性騎士に、女性騎士は転がるのをやめ、立ち上がると、真面目な顔で言った。



「いやあれは、恥ずかしさのあまり照れてるんです」



 なぜわかった。


 そんな眼差しを注ぐ男性騎士に、女性騎士はこぶしを握ると、断固とした調子で言った。



「確かに、雫の首飾りも、大空のネックレスも、なんとなく女の子っぽい手作り品な感じはしていました。


 でもでも、誰が作ったかとかそういうこと、今まで考えていなかった。ですが!


 ダーチュラの心が込められた、手作り品だとするならば!


 ダーチュラは、乙女。


 間違いなく、乙女。


 ここにいるのは、ピュアッピュアな心を持った、恥ずかしがりの乙女です!」



 びしいっ! と女性騎士はダーチュラをさし示した


 え、そうなの? と言う顔を、男性騎士たちはした。



「そんな乙女が面と向かって、あんな言葉を聞かされて、冷静でいられるわけがない。


 あれは、怒っているのではなく。


 照れた乙女の恥じらいの様子! そして、」



 ぐるり。と、女性騎士は、ペンギン騎士の方を向いた。



「無関係なわたしまで、恥じらいの心に耐えられず、地面を転がりまくらせた。ピュアッピュアなうずきの衝動が沸き起こる。


 そんな言葉を紡ぎ出した。それがあなた。ペンギン騎士さん。


 逆らいたい、でも逆らえない。相反する矛盾する心! そんな自分が信じられない、でもなぜか、うれしいと感じる自分もいる。だって、涙が出ちゃう、女の子だもんっ。


 そう、ダーチュラもまた、今、わたしと同じことを感じているはずっ」



 えっ、あれ、恥じらいの心からのものだったの。と、先ほどのごろごろ転がる彼女を思い出して、男性騎士たちは、思った。


 一方ダーチュラは、女性騎士の発言があまりにも的確なため、振り上げていた足をおろして、こくこくうなずいていた。



「ああ、けれど! 一人は人間、そして一人は魔物。相容れない二人のさだめ!」



 女性騎士は、絶好調だ。



「出会うはずがない二人が出会い、あるはずがない心が通う。そんな奇跡があるものかしら。いいえ。これは策略。わたしを弱らせようとした、人間の策略!このダーチュラは、そんな策略には屈しない!」



 絶好調のまま、ダーチュラの内面を代弁している。男性騎士は、ぼーっと見ている。ダーチュラもぼーっとしていたが、言われた言葉にはっ、となった。そうだ。わたしは魔物。そして騎士は人間。


 通うはずがない、心など。寄り添えるはずがない、お互いに。そう。だまされるところだった。わたしはダーチュラ。ウーアシュルト洞窟の女王。人間の言葉になど、惑わされたりはしない!


 我らにあるものはただ、戦いのみ。人間め。このダーチュラを惑わそうとした、報いを受けるが良い……!


 そう思い、前足を振り上げた、その時。



「策略などが、ありえようか」



 ペンギン騎士が、微笑んだ。



「ダーチュラ。ウーアシュルト洞窟の女王よ。誇り高く、凛として在る女王たるあなたに対し、なんの策が仕掛けられようか。


 先ほど、わたしが口にした言葉は……


 すべてが。心の底からの、本心です」




 それ、マジにすげえ。




 青ざめれば良いのか、赤くなれば良いのかわからないまま、男性騎士たちは信じがたいものを見るような目で、ペンギン騎士を見やった。だって、蜘蛛だぞ。相手、蜘蛛だぞ。


 一方、女性騎士は、頬を赤く染め、目を輝かせた。



「すべてが本心からの発言だったなんて……、


 ペンギン騎士さん。……恐ろしい子!」



 そう言いつつ、なんで好感度上がってる感じなの。と、男性騎士たちは、仲間のはずの女性騎士に、ドン引きしつつ思った。


 そうしてダーチュラは。


 前足を振り上げたまま、ぴきり。と固まっていた。


 石化の状態異常がかけられているわけではない。しかし、ダーチュラは動けなかった。そのままの姿で、ダラダラと汗を流していた。


 ペンギン騎士の言葉が、何度も脳裏に響く。



『本心です』

『すべてが』

『心の底からの、本心です』



え。

え。

え。



「き、き、き、き、」



「き?」



 きしむような動きで口を動かし、音声を発したダーチュラは、ようやっと、動けるようになった前足をひっこめると、全身をわなわなと震わせた。


 そうして、叫んだ。



「き、……きききききしゃしゃしゃしゃあああああ~~~~~~っ!(訳:ば、ばばばばば、馬鹿ぁぁぁぁっ! )


 ききききしゃしゃしゃしゃききききききき~~~~~~~~っ(訳:本心って、本心って、何言ってんのよ、わたしたち相容れない魔物と人間でしょうが、って、あれ全部本気で言って立って、えええええ、)


 しゃしゃしゃぎゃぎゃぎゃぎゃ~~~~~っ!!(訳:いや、待って、わたしにも心の準備ってものが、いや、待って、来ないで、こっち見ないで、)


 きしゃああああああああああああ~~~~~~~~~っ!!!!! (訳:イ~~~~ヤ~~~~~~~っ!恥ずかしいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~~~~~~~~~~っ!!!!!!)」




 ばふん! と全身、真っ赤に染めると、その場にあったものをひっつかみ、ものすごい勢いで騎士たちにどんどこ投げつける。それから彼女は、洞窟の奥に向かい、ものすごい勢いで走り去った。


 そう。ダーチュラは、誰が何と言おうと、まごうことなき乙女だったのである。



「え」

「あれ」

「おや」

「あらら~」



 一方、残された騎士たちは、走り去るダーチュラを唖然として見送ったあと、互いに顔を見合わせた。



「えーと。つまり、ダーチュラを……撤退させたっ、てことで、良い、のかな……?


これって、戦闘に勝利したって言うのか……?」



 自分でも信じられないという感じで、大鎌を持つ騎士が言う。



「いや~、乙女だわあ。ダーチュラってば、もう」



 女性騎士は、晴れやかな顔でによによしている。



「いやしかし……誰が信じるんだろう。言葉一つで魔物を撤退させたって。あんたすげえな」



 剣と盾を持つ男性騎士が言うと、白黒のペンギンをまとう騎士は、穏やかな顔で微笑んだ。



「本心ですから」



「「そう言い切れるのもすげえ」」



 思わず突っ込んだ男性騎士二人。この相手をどう判断すれば良いのだろう。そんなまなざしで、二人はペンギン騎士を見やった。



「ダーチュラ、あれ絶対落ちてますよ。すごいですねー」



 にこにこしながら、女性騎士が言った。



「でも本当に、本心からの言葉だったんですか? ペンギン騎士さん。人間と魔物は、一緒に居られませんよ」



 女性騎士の言葉に、ペンギン騎士は答えた。



「もちろんです。わたしは、落としたくてあれこれ言ったわけではないのですから」



 えっ、そうなの? と三人の騎士は思った。ペンギン騎士は続けた。



「この世にあるのは、人ばかりではない。存在するものに、敬意を表する。それが大切なのです。


 生きる立場が違う。常識が違う。存在が違う。わたしたちと魔物たちは、何もかもが違っている。


 けれども、寄り添えないわけではない。


 わたしは、ここにはいられない。この洞窟は、わたしには冷たすぎ、寒すぎる。


 けれどもダーチュラには、ここは心地よい所でしょう。同じように、わたしたちの街や村には、ダーチュラの居場所はない。明るすぎ、暑すぎるのです。


 それでも、寄り添えないわけではない。


 こうして、ここで剣を交わす。その一瞬。


 その一瞬でなら、ともに在ることができるのです。


 だからこの一瞬を、わたしは尊く思う。ゆえに、戦うことで、わたしは彼女への敬意を示すのです」

 


「「「ほえ~……」」」



 三人の騎士たちは、ペンギン騎士の言葉に眼を丸くした。よくわからないが、なんだかカッコイイ。



「戦うことで、敬意を示す、か。まあ、俺たちは騎士だもんな」


「だな。それしかないしなあ」



 苦笑してから、男性騎士たちは、首を振った。



「でもさ。口説き文句言いながら戦えるって、すごい器用だなあ、あんた」


「感じたことを言っているだけですから」



 ペンギン騎士は答えた。



「それに、魔物のかたがた、案外と言葉に飢えておられますよ。わかってほしい、という願いがあるようで」


「え、そうなの?」



 女性騎士の言葉に、ペンギン騎士はうなずいた。



「ここに来る少し前に、いばらの塔の翠の守護龍の所にいたんです」


「ああ、……あれ強いよね。大丈夫だったの?」


「はい。時間はかかりましたが。なんとか。


 その時に、翠の龍にですね。いろいろと言ったんですよ。つぶらな瞳が愛らしいとか、孤高のまなざしが美しいとか」



 マジですか。



 全員、唖然とした顔でになった。翠の守護龍。それは、どう見ても爬虫類な顔をした、威圧しか感じないような、筋肉ががっちりむっちりの、巨大な龍である。


 そんなの相手に、「つぶらな瞳」って……。



「時間だけはありましたからね。わたしの得物は双剣ダガーで、攻撃力が小さいので。ちまちま削り続けるしかなくて。


 だからその間、ずっと言い続けたんです。龍を褒めたたえる言葉をあれこれと」



 マジですか。



 三人は、再び思った。双剣での戦闘は、せわしい。大鎌や剣は、攻撃力が大きい。溜めをする時間があるからだ。その分、息をついたり、体制を整えたりする時間がある。


 しかし、双剣は。軽くて攻撃力が小さい分、ひたすら攻撃を繰り返し続けることになる。止まっているひまなどない。そういう武器なのだ。


 そんな武器で戦いながら、ほめ言葉をひたすら言い続けるって……。



「ある意味、人間わざじゃないかも」



 ぽつりと言った女性騎士の言葉に、男性騎士たちは青ざめながらうなずいた。どうやったんだか、想像もつかない。



「感じたことをただ、口にしただけですよ。それほどでも」



 にっこりと、ペンギン騎士が微笑んで言う。



「そう、そうして二回ほど、戦闘をした後でしょうか。わたしの言葉に何か感じるものがあったのか、


 無言でスキルをくれました。パックスタブ。


 心が通じたと言う事でしょうね。うっすら、目に涙が浮かんでいましたね……」



 それ、通じたと言うより、恥ずかしいからもう何も言わないでくださいっていう懇願だったのでは?


 三人はそう思った。



「えーっと、……翠の龍も乙女だったのか……?」


「いや、恥ずかしすぎて、これで許してくださいってことだったんじゃ」


「いやーん、かわいい。目に涙。乙女な龍~~」


「ちょっと黙れ。想像しちまうじゃないか。そんなに恥ずかしいか?」


「自分が言われたと想像してみろ。俺だったら耐えられない」


「愛らしい瞳とか、存在の美しさとか、言い続けながら襲い掛かってくる相手……確かに」



 男性騎士たちはうなずきあった。怖すぎる。



「でも、すごいな、あんた。パックスタブのスキルも、なかなか手に入らないと聞いている。ここのライフメナスもそうだが、挑戦し続けるうちに、レベルばかりがどんどん上がってしまう者が大半だ」



 気を取り直して、大鎌を持つ騎士が言った。剣と盾を持つ騎士が後を続ける。



「俺もそうだしなあ。いったい、何十回挑戦したら良いんだ」


「まあ、でも、次は普通に戦ってくれよ。ダーチュラが逃げ出してしまったら、何も手に入らないだろう……」


「そうでもないですよ」



 ペンギン騎士は言うと、床に目をやった。ダーチュラが、いろいろとひっつかんで投げつけて来たものが、そこには散乱していた。


 ペンギン騎士は腰をかがめると、落ちていた巻物を拾い上げた。そして、言った。



「スキルをゲットしました。ライフメナス」



「」

「」

「」



 三人は、目をむいた。そうしてペンギン騎士の手にしているスキルの巻物を見つめた。


 そして、言った。



「「「マジですか~~~~~っ!?」」」



 その後、涙を滂沱と流しながら、俺の何十回もの挑戦はなんだったんだ! と叫ぶ騎士とか、げらげら笑いながら、そこにしびれる、あこがれる~っと叫ぶ騎士とか、がっくりとその場にくずおれて、レベルがレベルが上がるばっかりなのに、なんだようこの差はようううううっ、と吠える騎士とかの姿が、その場には見受けられた。


 混沌とした状態になったのは、仕方のないことだろう。



***



 ダーチュラは、洞窟の奥で糸を紡いだ。


 あの騎士の言葉は、熱かった。まるで、日の光のように。


 紡いだ糸を、布に織る。魔力を固めて、きらきらとした石を集めて、首飾りを作る。自分なりに納得のゆくものを作ろうと、心を込めて。


 敬意を表して、戦うと。そう言った。


 一緒には暮らせない。でも、戦っている一瞬は、ともに寄り添っているのだからと。


 恥ずかしい。でも、うれしい。


 乙女心をさく裂させながら、ダーチュラはあの言葉を思い出す。


 寄り添えるのかしら。


 心を通わせることはできるのかしら。


 そしてわたしも、騎士たちに、敬意を払うことができているのかしら……?



「しゃしゃしゃ~~っ(訳:ふっ。愚問ね。わたしはダーチュラ)


 きききききっ(訳:ウーアシュルト洞窟の女王。わたしが布を織り、首飾りを作るのは、)


 きしゃしゃっ(訳:すべて、趣味っ)


 きききっ……(訳:だから、)」



 ダーチュラは、夢を織る。その手足を器用に動かして、繊細で、美しい夢を。



「きききききっ……(訳:こうして心を込めて、靴や服を作っていたら。またいつか、会えるかしら。あの騎士に)」



 そうして今日も、ダーチュラは、やってくる騎士たちに靴を渡す。精根こめた、自慢の品を。



「もう、靴はいらないよおおおお~~~」



 ウーアシュルト洞窟には、騎士たちの涙と悲鳴が、今日も響いている。



***



 後に、口先三寸で魔物を退散させた、恐るべき騎士がいる、とのうわさが流れた。


 その騎士は、ありとあらゆる魔物に口説き文句をささやき続け、相手が逃げても追いかけて、耳元で口説き続けるのだと言う。


 魔物すらをも涙目にさせ、恥ずかしさにのたうち回らせるその騎士と出会った者は、その発言を耳にして、魔物と一緒にダメージを受ける。そのうちになぜか、魔物との間に連帯意識が芽生えるようになるのだそうな。


 ある女性騎士は、このように評した。



「そのもの、白黒の衣をまといて、戦闘の場に降り立つべし。乙女心による絆を結び、ついに魔物と仲間を恥じらいのるつぼに叩き込まん」


 種族は違えど、心は一つになってるよね。だ、そうである。



翠の守護龍 …… いばらの塔1の最上階にいるボス。巨大な体で、どしん、と踏み出すだけで、何人もの騎士が死亡する。状態異常のブレスも吐くので、けっこう凶暴。


ちなみにわたしは、グループ機能が実装された時に、使い方がよくわからず、グループを解散しないまま突っ込んでしまい、一人で戦う羽目になりました……。当時のレベルは45かそこらで、持っていたのは星3の闇属性のメイス、星2の火属性の盾、ガチャで運よく手にした星4の双剣。水属性のビクトリア。


ビクトリアに相手のHPを吸い取る能力があったとは言え、木属性に不利な水属性の双剣。なんで勝利できたんだか、いまだにわからない。


パックスタブ …… 双剣のスキル。序盤では相当に強力。翠の守護龍を倒すと、まれに手に入る。



何度戦っても、スキルが出てこないこともあれば、一回であっさり手に入ることも。


そうしてレベルばかりが上がってゆく……。


なお、作中の騎士たちの言動は、モデルにした方はいますが、だいたいにおいてフィクションです。ほぼそのまんまの人も、いることはいますが。フィクションです。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ