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恐怖と満たされる欲求

「はぁーはぁー」鼓動が激しい

どうなっている?彼女は幽霊なのか? 荒い息が落ち着いていくとともに、思考は冷静になってくる

「そんなわけない!」そうだ、そんなわけない。何かの間違いだ。そもそもどうして逃げたんだ?今日ずっと彼女を欲してたのに。そうだ戻ろう。

振り返り一歩踏み出そうとしたとき、背筋がゾッとした。恐る恐る振り返ると…そこに彼女はいた。

ああそうか、どうして逃げたか?単純だった。怖かったからだ。本能でもって逃げたのだ。常識にとらわれた理性がそれを認めなかっただけだ。だが、今、理性もそれを認めざを得なかった。彼女の姿はかろうじて人の形をしていたが、彼女から発せられる空気は白く黒くただただ冷たいものだった。

彼女は危険だ。

逃げようと走り出したが彼女が目の前に現れた。

「ック」 彼女はジリジリ差をつめる

「どうして逃げるの?」後退りして距離を保とうとするが階段をのぼりきると狭い踊り場になっていて屋上への鍵のかかったドアがあるだけだ。

「どうする?」

最後から二段目の段を左足で踏んだ。最後の段を右足で踏めなかった。どうやらさっきのが最後の段だったようだ。バランスを崩し尻餅をついた。

「クソッ」

彼女も膝を曲げ目線をあわせた。

「怖がらなくていいよ」彼女は優しく微笑んだがその微笑みは俺にとって恐怖でしかなかった。また、頬に手を添えた

「姿は見せてあげたし、声でお話もしてる。手を…あっ」そう言って左手を俺の右手に重ねてきた。ふっくらとした。でも、冷たい手だった。

「繋いだ!」分かっている。これは俺の望んだことだ。 彼女は腕を背中に回した。 やっぱりそうだ。 「ふふっ、楽し♪」

彼女は一度離れて、俺の目を見た。そして、

静かに唇を重ねた。

たぶん一分くらい、血の気を吸われるようなキスだった。離れても少しぼーっとしていた。

「もっと、もーっと良いことしましょう。さあ私に身を委ねて?」

僕に欠けて空白となった部分がまたどんどん満たされるのを俺は感じていた。

第六話読んでくださりありがとうございます!


いよいよ物語の佳境にさしかかります。少年はどうなる?

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