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ブレイキング・ローズ  作者: まるマル太
第3章 新たな敵??ブラックマイスター!?
19/42

@第16話 謎の組織ブラックマイスター

@第16話 「謎の組織ブラックマイスター」






・・・今は火曜日の朝、俺は学校へ続く国道を

専用バイクであるSHFシープ・ホーン・フィースで駆け抜けているところだ。


ここ2週間前くらいで俺の周りではとんでもない事件が続いた。

まず、2週間前の週の金曜日、

俺がアリエスの定期メンテナンスで東京に出掛けている時、

アブソリュート・アーツ社で開発中だった裏中二宮Xレア、

滅裂銃士めつれつじゅうしディコンポーズ・レオが何者かに奪われてしまった。

これはフォーサーを倒せるぐらいのヤバい力を

どこかの一般人が手に入れたという事であり、

パクられちゃったテヘペロの一言では済まされない!

その後、俺と研究室長の岡本さんは都内をバイクで走り回って犯人を捜したけど、

お互い見つけられずに終わった・・・。

それから2週間が経過しようとしているけど、

未だに発見報告も見当たらず、このままだと国から

アブソリュート・アーツ社が処分を下されちゃう事になる。


そして、アーマー盗難事件の裏では、

ほぼ同時刻にこの岩手県でフォーサーの大乱闘が起こっていたらしい。

カエルのような姿をしたフォーサーにより

30人近い大量の警官が殺害された、という事を耳にしている。

考えたくはないけど、

カエルのフォーサーというと俺には心当たりがある。

同じクラスの月光つきみつ 夏景かけい

目撃者の証言からヤツが殺人犯なのはほぼ確実だった。

でも、不可解な事に、夏景かけいはその場で死体として見つかったんだ。

大事にしてた彼女の吹雪ふぶきちゃんと共に・・・。

なぜか吹雪ちゃんの遺体は原形が残らないまでにボロボロにされていたらしく、

ますます謎が残る。

俺としては、せっかく吹雪ちゃんの相談に乗って

だんだん距離を縮められてきたと思った矢先の出来事。

ショッキングなのは隠すまでもない。




2人の死後、学校では主に吹雪ちゃんの死亡が話題をさらっていった。

俺は参加していないけど、女子の中では大人気だった彼女の葬式には

小中高から沢山の同級生が駆け付けたらしい。

一方、夏景かけいはというと、

人の怒りを買うような性格は俺もイラッとする事もあったけど、

友達の多くない彼の事はほとんど話題にもならなかった。

ヤツは確かにムカ付く事も多いヤツだったけど、

いざこの世からいなくなってしまうと

何だか否定し切れないモヤモヤした感情しか抱けなくなる。


2人の死亡は俺にとっても十分衝撃的だったけど、

残った問題は2人が一体誰に殺されたのかって事だ。

そこで気になるのは吹雪ちゃんの死体がボロボロにされていたっていう事だ。

死体を傷付けるって事は、

犯人は彼女に対して強い恨みがあったに違いない。

その恨みを持っていたヤツが偶然にもフォーサーだった。

そして夏景かけいがそれを守ろうとして戦ったけど殺された。

って感じで俺の中ではまとまってるんだけど、我ながら名推理だと思う!

そうなれば、2人を殺した超強い悪役がいるって事か・・・。

やっぱり学校の中の生徒なのかな?




約2週間前の大量殺害事件は、

半年前のブラッディ・オーバーキラーって言われてる

赤い狼型フォーサーが都心で大量虐殺事件を起こして以来、

フォーサーによる二度目の大きな事件となり、

全国的に大きなニュースとなった。

それ以降、フォーサー達がこぞって事件を起こすような事にはなってないけど、

次に俺の周りで何が起こるのか怖くて仕方がない。

まぁ、俺には中二宮Xレアのアリエスがある。

だから、いざっていう時には戦う事ができるから良いんだけど、

裏を返せばそういう力を持っているからこそ

狙われて襲われちゃうっていう話もありそうなんだよな・・・。

その襲ってくるヤツがこの間のチェーン怪人みたいな敵だったら

俺はコロッと殺されちゃいそう!

え、怖い怖い!誰か助けて!!




空は朝から分厚い雲に覆われて曇っており、

俺はそのジメジメした中を専用バイクで進んでいる。

今朝のニュースを見た限りだと

確か、今日は一日中雨の予報だったような気がする。

そうなら、俺の頭上のこれは納得の空模様だな。

でも処理が面倒臭いから

俺が学校に着く前には降り出さないで欲しい。


























―――――その頃、東京のとある会議室では―――――




・・・今日から10日前、レボリューショナイズ社の社長であった

じょうがさきは何者かに殺され、この世を去った。

できればこの私、上戸鎖かみとくさりの手で潰したいところであったが、

私は私で新たな敵を迎えており、彼を追うような暇はなかった。


あれから既に10日が経過したが、

重要な役割を果たしていた秘書の羽場崎はばざきが亡くなった事で

私は計画の手詰まりを迎えていた。

羽場崎はばざきことミスターインバラスは

フォーサーを見抜く目を持っていたが故に、

他の私に服従させる対象を効果的に発見できたのだが、

その手法はもはや使えない。

それに加え、あのニードルストゥセイという者の最期を見届けると同時に、

私はこれ以上のHR細胞を取り込む事に対して

拒否感を持ち始めた。

臓器が飛び出して死ぬのならまだしも、

万が一HR細胞に身体を奪われたりしては元も子もない。

自分の支配欲のために創造した化け物を

細胞相手とは言えど他人に譲ってしまっては、

私のこれまでの行動が全て無駄になるのだ。


今後は強化の方針を変更しなくてはいけない。

その事は既に承知済みだが、何をすれば良いのだろうか・・・。

どうすればトレディシオン・ルイナーという化け物を

更に度を超えたあのフォーサーレベルX並みの形態へと

進化させる事ができるのだろうか?


私が今すべき事は、私との協力関係を勝手に解除した

テロ組織であるバーバレスの支配なのだろうが、

その手掛かりがあまりにも少なすぎる。

彼らとの連絡は全て電話回線を利用してのみ行われていたため、

彼らの本拠地は愚か、各地の活動拠点がどこにあるのかさえも不明だ。

これでは私自らヤツらに悪戯を仕掛ける事もできない。

あのブラッディ・オーバーキラーであればその場所も知っているだろうが、

彼の居場所すらも分からない。

もはや今の私にできる事など限られていた。




私が1人でデスクに座り、考え込んでいると、

入り口のドアが3回続けてノックされた。

均等な力で規則的な間隔を保ったノックだ。

その動作主に私は心当たりがある。

この時間にその人物を呼び出しておいたのだった。


「どうぞ、お入りください。」

私の呼びかけ後、3秒ほどでその扉が開き始める。


「・・・おはようございます。」

開かれたドアの向こうには、

カーキのスーツで上下を包んだ、

非常に「目付きの悪い」ロングヘアーの女性が立っていた。

見たところ20歳前後といった感じだろうか。


「今日もお待ちしておりました。

 どうぞ、こちらへ。」

私が自ら応接用のソファへと彼女を案内する。

その女性は入ってきてから始終私の顔に視線を向けているが、

その目付きが悪すぎるために、私には謎の罪悪感が湧いてくる。

何か私に不満があるのだろうか、と思ったのは

つい3日ほど前に彼女が私の元を初めて訪れた時に感じた事であるが、

それはただ彼女の目の形のせいである事は知っている。

その女はソファの横まで来て、座る前にゆっくりと一礼し、

そのまま静かに腰を掛けると同時に口を開いた。


上戸鎖かみとくさり様の監視兼補佐役として

 ブラッディ・オーバーキラーより回されてきました。

 野佐根のざね 志亜しあと申します。」

目付きが悪い割には異常に声が高く、

まるで声優のような優しい感じが伝わってきてはいるが、

やはりその目付きと声質のギャップは奇妙で違和感しかない。

何より、あの赤い狼型フォーサーであるオーバーキラーの回し者という時点で

とても和めそうにない。


「・・・それは3日前にも同じ事を聞きましたが。」

「忘れているといけないのでもう一度言いました。」

私を睨み付けるようにそう言う様は至って真面目で、

とてもおっちょこちょいを演出しているような様子ではない。

という事は本当に3日前にも行った自己紹介を

もう一度するのが妥当だと思ったのだろうか?


「・・・まぁ、良いでしょう。

 ところで、今日は何の用事なのでしょうか?」

「はい、今日は例のフォーサー臨床実験に関して

 その詳細を調査するようにオーバーキラー様から命じられてきました。」

野佐根のざねは細い目で真っ直ぐに私を見つめている。

相変わらず声は優しいが、顔は一切の笑みを浮かべていない。

そればかりか、睨み付けられているような気がする。

恐らく、彼女の心情というものは「顔」を読み取る方で正しいだろう。


「あぁ、あの事ですか。

 静岡県の岩山病院、院長である太斉だざいさんの協力のもと、

 体内に取り込んだHR細胞に遺伝子変化をもたらす薬物を投与し、

 更なるフォーサーの進化を促す、という実験だろうとは思います。

 元々、あの方が提案し、進めている実験、

 しかもまだ準備段階という事で私にはどうにも進行状況が

 把握できていない現状ではありますね。」

私は野佐根のざねが座ったソファとは

5mほど離れた窓際のデスクに座り、話を進める。


「なるほど・・・了解しました。

 いずれはあなたもその細胞進化技術を使い、

 トレディシオン・ルイナーを強化するつもりなのでしょうか?」

「・・・10日前以前の私ならばそう言うでしょうが、

 今の私にはどうも、HR細胞に直接手を加えるのには抵抗があります。

 下手に体内のHR細胞をいじるような事があっては、

 身体とHR細胞の適合率を崩す事になるでしょう。」

私は自分でそう言いながら、10日前のあの悲惨な光景を思い出していた。

全身から、寄生虫のようなものに取り付かれた臓器が次々と飛び出し、

最期を迎える・・・あのテロ組織バーバレスの刺客である青年の事だ。


「ご自分の身体にフォーサー6体分のHR細胞を取り込んだお方が

 まさか適合率なんて言葉を口にするとは、驚きです。」

野佐根のざねの声が少し高くなったが、

顔は相変わらず変わらない。


「・・・いくら支配に適した能力を持っていても、

 制御を失うような身体では元も子もありません。

 何か違う方法で強化を図らなくては、と思案していたところです。」

上戸鎖かみとくさり様、あなたは支配の以前に

 あの裏切り者の組織であるバーバレスを始末するのでしょう?

 手段に拘っているうちに目的の達成が遠のいてしまっては、

 頭の切れるあなたにとっては大きな誤算なのでは?」

「ならば、手段に拘らずにトレディシオン・ルイナーを強化しろと?」

私はそう言って野佐根のざねを見据えるが、

彼女はソファと並んだ机の上を見つめたまま硬直してしまった。


・・・この女と言い、オーバーキラーと言い、

一体彼らの目的は何なのだろう?

バーバレスを潰したいという事は既に聞いた。

そのために戦力となる私を無理やりにでも強化したいのだろう。

しかし、本当に目的はそれだけなのだろうか?

少なくとも私は違和感がある。




「・・・上戸鎖かみとくさり様、私は以前お伝えしたようにフォーサーですが、

 少なくともトレディシオン・ルイナーには及びません。

 あなたが更なる強化の末に全てを超えるような力を得ては、

 私にも、更にもしかするとオーバーキラー様にも手出しができなくなります。

 オーバーキラー様の思想は部下の私にも理解できない事があります。

 何を目的とし、何を犠牲にし、何から実行していくのか、

 そのプロセスが明確ではないのです、オーバーキラー様は。」

10秒ほどの沈黙の末、野佐根のざねは独り言のように

机を睨み付けながら言葉を発した。


「つまり、これ以上のトレディシオン・ルイナーの強化には

 野佐根のざねさんとしては疑問があると?

 しかしオーバーキラーさんはそれを望む、という事で宜しいでしょうか?」

私が確認を取ると、野佐根のざねは再びこちらを見据え、

睨み付けながら頷く。

オーバーキラー、ますます怪しい存在だ。


「・・・あの方の目的は何なのでしょうか?

 私にはいまいち理解できませんでしたが。」

野佐根のざねに向かって単刀直入に訊く。

私をいいように使おうとしているのは目に見えているが、

バーバレスの始末以外に一体何を企んでいるのかが読めない。


「申した通り、部下の私でも詳しくは分かりかねます。

 私はオーバーキラーの戦力として活動しているだけなので

 やはり本人に訊かれるのが宜しいかと思われます。」

「・・・無理でしょうね、あの方はおそらく答えをくれませんよ。

 あの方が答えをくれるのは、私が用済みになったその時でしょう。」

私はオーバーキラーの戦闘の様子を思い出していた。

移動速度などは確認できていないが、

あの腕力は相当なものであった。

それこそ、パワーだけならば

トレディシオン・ルイナーに匹敵するほどの強さを持っている。

バーバレスを支配するにあたり、

今、彼と戦うのは得策ではないという事は確かだろう。

いつまでも良いように扱われるつもりは到底ないが。


「・・・話は変わりますが、

 私は、今日からは毎日この事務所に顔を出させていただきます。

 そういう命令ですので。」

「分かりました。

 その代わりに私のお手伝いをお願いしますよ?

 優秀な方だと聞いていますので。」

私は皮肉を込めてそう言い、野佐根のざねの方に軽く視線を移すと、

彼女は私の話が耳に入っていないような様子で

持ってきた黒い高級そうなカバンから何やら書類を次々と取り出し始めていた。

・・・やはり、私の秘書としては

羽場崎はばざきが最も波長も合う上に優秀だったようだ。

そんな事を脳内で呟きながら私は

回転式の椅子で窓側の方を向き返り、静かにため息を吐いた。



























―――――その頃、岩手の山村高校では―――――




「はい、終止形接続の助動詞。

 べし、めり、らむ、らし、なり、まじ。

 なんで3年生にもなってまだ覚えてないのかなぁ?

 はい一緒に、べしめりらむらしなりまじ~!」

俺のクラス、3年D組の古文を担当している内垣外うちがいと先生が

いかにも不機嫌そうに授業を展開している。

内垣外うちがいと先生は普段から

やる気のないような様子で授業をしにやって来る。

それに加え、自分が求める答えが返ってこないと

声が低くなって、機嫌が悪くなっているというのが簡単に分かる。

1時間目からこの人だと本当に一日が辛く感じられるのは事実。

学校来ていきなりテンションダウンだよ・・・。

ついでに降りそうだった雨もついさっき振り出して、

外は稀に見る土砂降り状態。

天気と教員が同じテンションだとミスマッチで気分最悪だよなぁ。


「古文はねぇ、全文の意味が理解できなくても問題は解けるんですよ。

 日本の古典学者だって研究に辞書を使うくらいですからねぇ。

 だから全文の意味が取れなくても諦めない事。」

内垣外うちがいと先生は今年度から新しく山村高校に来た先生だ。

なんとここで教員一年目らしいが、

既に真面目な生徒間では人気の先生らしい。

まぁ、俺は古文を読まれただけで眠気が襲ってくるから

いくら先生が良くてもどうしようもないんだけどね。


俺がそうしていつものように

深い眠りに落ちようと机に頭を垂れたその時だった。

突然、隣のクラスから

何やら穏やかではない物音が聞こえてきたのだった。

俺のクラスの黒板側は隣のクラスでいうと教室の後ろにあたるけど、

その黒板と対局側の壁に椅子や机が

連続ヒットしているような音が聞こえてくる。

怒った先生が暴れているんだろうか?

それとも授業中なのにも関わらず生徒同士の喧嘩だろうか?

俺は直感的にどっちも違うような気がする。

ただ、俺の予想はできれば当たってほしくない・・・。


「ん?うるさいねぇ?隣のクラスからか。」

内垣外うちがいと先生は板書を中断し、

両手に付いたチョークの粉を落としながら

呑気にそのまま教室の前の方のドアに向かって歩き始める。

たぶん、隣のクラスの様子を見に行くつもりなんだろう。

俺はぼーっと内垣外うちがいと先生の歩みを観察していたが、

その次の瞬間、俺に嫌な予感を的中させるような出来事が起こった。


「うわああああ!!」

突然、隣のクラスから幾多もの悲鳴が巻き起こったのだった。

こうなると、もはや悪い意味で俺の出番となる気がする。

・・・もしかすると隣のクラスで新たなフォーサーが暴れ出したのかもしれない。


隣のクラスから聞こえてくる悲鳴を俺のクラスの生徒も皆聞き付け、

俺の教室内はガヤガヤとうるさくなり始めた。

俺はとりあえず駐輪場に停めてある専用バイクのところまで行って、

アリエスに変身してこない事にはフォーサーとは戦えない。

俺は騒々しい教室の中でそのまま席を立ち、

後ろの扉へと向かって歩いていく。

先生の顔色を窺おうとふと教卓の方へと目を移すと、

いつの間にか内垣外うちがいと先生はそこからいなくなっていた。

ホッと胸を撫で下ろして教室外に出ようとしたその時だった。

俺が教室の後方のドアを開けようと取手とってに手を伸ばした瞬間、

なんとそのドアが自動で開いた。

気付かないうちに自動ドアに改造されていた、

なんて冗談を言っているほど俺は暇じゃない。


俺よりも先にその扉を開けた人物は俺と対局側に立っている。

その上半身から上へ向けて視線を伝わせ、

その人が誰なのかと顔を確認しようとしたところ、

その人は何か冷たいものを俺の額に突き付けてきた。


「席へ戻れ。」

野太い声が耳に入ると同時に、

俺は自分に押し付けられたものの正体が目に入る。

俺の視界に入ったものは・・・え、ちょ、待って、「銃」だあああ!!


「お、お前何のつもりだ!?」

俺の額に銃口を押し付けてきたのは

山村高校の制服を着たガタイの良い男。


「黙れ、撃つぞ。」

身動きを禁じられた俺はチラッと視線だけを教室内に移すけど、

みんなワイワイ盛り上がっていて

俺が教室の後ろで銃を突き付けられた事には誰も気付かない。


「お前は確か・・・3年C組の宮本か?」

俺は目の前で銃を構える男子生徒に見覚えがあった。

柔道部の最強候補で有名な宮本みやもと大和やまとだ。 

前年は2年生だというにも関わらず東北大会にまで進んだ、

という事ぐらいは知っている。


「ハッハッハッハッ!

 我ら「ブラックマイスター」には逆らわずにいる事が身の為だ!」

・・・ぶらっくまいすたー?

初めて聞くけど、何かの組織か?


俺は高まる焦りで凄まじい量の汗が溢れ出している事に気付いたが、

次の瞬間、俺は一時の安堵を覚えた。

突然、廊下を走ってきた何者かが

銃を構えていた宮本みやもとの横から勢い良く彼に突っ込んだ。

その物凄い威力のタックルにより、

宮本の巨体は廊下を20mほど滑走していった。


「・・・あ、あ、ありがとうございます!」

呆気に取られた俺は

アブソリュート・アーツ社の中田さんのようになりながら

その廊下を走ってきた人にお礼を述べたが、

その姿が目に入ると俺は驚きで言葉を失った。

そこには全身が褐色の岩で作り出されたような

明らかに怪人らしい怪人が立っていたのだった。

・・・コイツはフォーサーか?


「・・・構うな、お前はやるべき事があるのだろう?」

岩のフォーサーはそう言い、彼の足元に落ちていた銃を

極太い腕を伸ばして拾い上げ、その巨大な手の平で握り潰した。


俺はふと視線を移すと、

20mほど飛ばされた宮本みやもとはやおら起き上がり始めていた。

さすがは柔道部なだけあり、落下の衝撃にも身体が慣れているようだ。


「俺たちの作戦に支障は出ていない!

 フォーサーの相手もしてみたかったところだ!」

宮本みやもとは威嚇するように大きな声で叫び散らしながら

ゆっくりと廊下をこちらに歩いてくる。

彼は歩きながら制服の右ポケットから

怪しい試験管のようなものを取り出した。

試験管にはフタがしてあってその中では紫色の液体が揺れている。


「はあああッ!」

宮本は一度立ち止まり、試験管のフタを抜き捨て、

その紫色の液体を一気に口へと流し込んだ。


「はぁ、はぁ・・・はああああああああッ!!」

液体を飲んだ宮本みやもとは狂ったように絶叫し始め、

その声は廊下中にうるさいほどに響き渡った。

彼が叫ぶのをやめた次の瞬間、

宮本は床を蹴り放ち、廊下を全速力でコチラに向かってきた。

そのスピードは人間の一般的なそれを超越しており、ヤバいほど速い。

人間とは思えない速さのダッシュだ。


俺の前にそびえ立つ岩のフォーサーが両手の平を広げ、

拘束で接近してくる宮本みやもとを迎え撃とうとしている。

宮本みやもとは両手の爪を立てるように指を曲げ、

岩のフォーサーへとまっすぐに突っ込んだ。

彼らは手の平を互いに重ねて押し合うような姿勢に入った。

それを見ていた俺は背中に寒気が走ったのだった。

明らかに凄そうな腕力を持った岩のフォーサーと

宮本みやもとの力はあろう事かほぼ互角らしく、

かろうじて岩のフォーサーがだんだんと押してはいるけど、

俺の目の前で良い力勝負をしている。


本来、普通の人間がフォーサーに戦いを挑んだところで無駄どころか、

大ケガでも済まないと思う。

銃とかの凶器をもっていたとしても

硬質化した表皮を持つフォーサーを相手にしたところで効果は薄い。

でも、宮本は確かに「生身」にも関わらず、

面と向かって岩のフォーサーと力比べをしているんだ。




「クッ・・・何という馬鹿力だ。」

「これが人体強化液「アトラクト」の力、という訳だな!

 効き目は一本で30分程度だが、フォーサー相手でもこうやって対抗できる。」

あとらくと、だって・・・?

もしかして、ヤツがついさっき試験管から飲んでいた紫色の液体の事か?

まさか、フォーサーの他にも

そんな方法で人間の身体を強化するヤツがいたなんて・・・。


「・・・おい、そこの生徒!

 学校の外に用があるんだろ?早く行け!」

岩のフォーサーは背後にいる俺の方を振り返り、

力んだ様子で俺を急かしてくる。

・・・あ、そう言えばそうだった、スンマセン。




俺は急いで廊下を走り、その先にある階段で

下に向かって駆け下りた。

3年生の教室は5階の最上階だから、毎朝昇って来るのは面倒臭い。

緊急事態である今は特に不便!

全部エスカレーターにしろよ・・・。


3階・・・そして2階・・・。

階段を下り、踊り場に入る度に壁に示されている数字が

一つずつ小さくなっていく。

この数分の間に非日常的な色々な事が起こり、

頭の整理ができていない。

でも、今、俺はとりあえずアリエスに変身しないといけない。

それだけは必死に自分の脳内で無限再生を繰り返していた。

そしていよいよラスト!1階・・・!


1階の階段を下りるとすぐに、靴箱がある玄関が見える。

俺はそのまま急いで上履きのまま外へ出ようと玄関に向かって突っ走る。

俺が土砂降りの校庭が見える玄関に臨むと、

玄関の透明なドアの先には奇妙なものが映り込み、

思わず靴箱で立ち止まった。

すぐに玄関の扉は開き、

外から黒ずくめのスーツを着た男性が5人ほど中に入ってきた。

全員、サングラスに黒い手袋を着用している。

直感で、ソイツらが例の「ブラックマイスター」の団員だという事は分かった。


「・・・誰1人として外には出すなと言われているのでな。」

5人のうちの1人はそう言い、俺の行く手を阻んだ。

その男たちの年齢は分からないけど、

たぶん体格的に、みんな20歳前後だろう。

とてもではないが、文化部の高校生が相手にできる敵じゃない!

それに加え、たぶん今目の前にいるヤツらは

全員あの紫色の液体「アトラクト」を所持している・・・。

くそっ!

これじゃあ駐輪場の俺のバイクまで辿り着けないぞ・・・。

それにこのまま立ち尽くしていたらこの場で殺される!

絶対嫌だぞ!俺は!

学校の玄関で死ぬとか!


俺が思考を巡らす間に、

黒服の男達は俺との距離をじりじりと縮めてきていた。

5人がほぼ同じ歩調で俺を囲むように扇形の陣形で迫ってくる。

いや、マジで怖いって!!


「大人しく、教室に戻ってもらおうか。」

5人の中でも特に体格が良い、大男が野太い声でそう言い放った。

このまま戻ったら変身できず仕舞いだろ!

変身する前に殺されるキャラがいたらカッコ悪いし

俺のチューニクス精神がボロボロに傷付けられる!

せっかくここまで来たんだから呑気に引き下がる訳にはいかない!


でも、俺の目の前の男はもう3m先くらいにまで迫ってきていた。

俺は威勢の良い自分の心とは真逆に

身体の震えはさっきから止まらない。

相手はガチの犯罪組織だ・・・。

マジで教室に戻ろうか、どうしようか・・・。


完全に負けフラグが立ったと諦めた次の瞬間、

先ほどまで自分が出ようとしていた玄関ガラスの向こうから、

何やら尋常じゃない大きさの物が飛んできたのがふと視界に入った。

その光景は5人の男達にとっては背後になっているため、

何も反応する様子がない。

・・・すぐに男たちの背後の玄関ガラスが割れ、

その巨大な塊が玄関内部へと飛び込んできた。


5人の男達は驚き、彼らの背後を確認したが、

すぐに玄関の外れたドアと

倒れてきた靴箱と、その大きな塊の下敷きになった。

ちょうど、5人とも何かの下敷きになり、動けないようだ。


何も被害を受けなかった俺は、その巨大な塊の正体を確認して驚いた。

・・・それは俺が今から取りに行こうとしていた「SHF」、

つまり俺の専用バイクだったのだ!

外の雨でだいぶ濡れているし、

投げ飛ばされた衝撃でボディにかなり派手な傷が入ってるけど、

今はバイクの事情なんかはどうでも良い。


俺はすぐさま、自分のバイクが飛んできた方向を確認する。

と、そこには案の定、謎の人影があった。

全身が迷彩柄で、角ばったヘルメットを装着し、

両肩上にガトリングが備わっているメカメカしい

ロボットのようなアーマー装着者・・・。

前にも見た事がある、通称「ガトリング迷彩」。

なんでこんなところにいて、俺のバイクを投げてくれたのかは分からないけど、

今は非常にありがたい!

前にもトレディシオン・ルイナーと戦った際に助けてもらった恩がある。


俺は両手を大きく振り、ガトリング迷彩にお礼を伝えると、

そのまま制服のポケットから専用のタブレット端末を取り出した。

そして、飛んできたバイクの運転席下の小物入れから専用ベルトを取り出す。


「パワード・・・オンッ!」

俺は俊敏な動作でベルトを腰に巻き、

そのバックルへとタブレットを挿入する。

と、倒れたバイクのシート部分が開き、

その中から変身用ユニット、ゾディアックコンダクターが飛び出す。

それは俺の目の前に牡羊おひつじ座の形に並ぶと、

一時的な対物理電磁障壁を展開し、

その間に俺には次々とアリエスのアーマーが装着されていく。


ちょうど全てのパーツが装着され、

ゾディアックコンダクターがバイクのシートへと収納されると同時に、

その下敷きになっていた大男が俺のバイクを彼の後方へと放り投げた。

専用バイクは再び外へと飛ばされ、

玄関前のアスファルトをガリガリと滑った。

・・・あの重量のものを簡単に放り投げたって事は、

既にアトラクトを服用してたって事か。


靴箱やドアの下敷きになっていた男達は

同じように上のものを難なく吹っ飛ばし、

全員が何事もなかったかの如く立ち上がった。

あれ程酷い不意打ちを食らったせいで

彼らの黒いスーツは破れたり、汚れたりしているけど、

身体は何も負傷していないようだ。

やっぱり恐ろしい効用だな、アトラクトっていう液体は・・・。




「・・・お前・・・我々の邪魔をするのか!」

男5人は変身を完了したフィースネス・アリエスには目もくれず、

そのままガトリング迷彩に向かって雨の中、外へと走っていった。

ガトリング迷彩の安否は気になるけど、

今は5階で応戦しているあの岩のフォーサーが心配だ!

それにガトリング迷彩なら大丈夫なはずだ!


俺は玄関から階段へと急ぎ、

さっき下りてきた階段を今度は猛ダッシュで駆け上る。

俺はまだ今回の変身で中二単語を叫んではいないけど、

身体は現状に危機感を抱いているのか、

何もしていないのに力が漲ってくる気がする。

いつもは2段が限界の段数飛ばしが、

今はアリエスの跳躍力のおかげで5段も余裕でいける。

・・・俺はなんと20秒ほどで5階に辿り着いた。


が、その光景に俺は思わず身震いした。

さっき俺を助けてくれた岩のフォーサーが

奥の廊下の角に追い詰められ、宮本みやもとを含めた3人の生徒に囲まれていた。

アトラクトっていう液体を飲んだヤツが他にもいたのか?


・・・宮本みやもとが言っていた

「ブラックマイスター」という組織がいつ立ち上がり、

そしてこれほどの力を引き出せるアトラクトを開発していたのか、

不思議でたまらない。

しかも、フォーサーすらも

苦戦させるほどの技術を備えているとはビックリだ。


とりあえず、岩のフォーサーを助けないと・・・!


ヤツらはF組の廊下部分で戦っている。

俺が立っているのは階段を昇って来たばかりのA組の廊下だ。

対局側になるF組とは40m以上の距離がある。


俺が急いで駆け付けようとA組を通り越そうとした時だった。

A組の前部分のドアが開き、

リボルバーを構えた生徒が素早く現れた。

俺がそっちを向いた時には既に銃口はこちらを向いていた。


俺はあまりの突然の出来事に反応が出来ない。

瞬間、リボルバーの乾いたハンマー音が廊下に響き渡った。

弾はどうやらフィースネス・アリエスの右肩部分に命中したようだが、

このパーフェクトメタルで構成された中二宮Xレアというアーマーは

普通の銃弾などでは破壊できない。

・・・発砲された弾はアーマーに弾かれ床に転がっていた。


「お前・・・何だそのアーマーは?」

A組から出てきたその生徒は

男子テニス部の中山なかやま とおるだった。

去年の秋大会で県2位に輝いた凄い実力の持ち主だ。

今までに特に会話した事はないけど、

その知名度は高い事に違いない。


「フッ・・・俺の名前を訊くか。

 俺は幻想覇者げんそうはしゃフィ」

「まぁ何でも良い。人質を殺されたくなければそこを動くな。」

俺のカッコ良い決め台詞を途中で遮った中山なかやま

持っていたリボルバーをA組の教室内へと向けた。


「お前が抵抗すればこのA組の誰かが死ぬぞ?」

中山は銃を片手で構えたまま動かない。

そして口元に不快な笑みを浮かべている。


「くっ、汚いぞぉ!悪役めぇ!」

俺は自分を落ち着かせるためにも

まるでアニメのヒーローにでもなったかのように

最高の滑舌で言葉を披露する。

少し棒読みになり過ぎた・・・やり直しだ!


「クッ、汚いぞ!悪役め!」

「お前・・・もしかしてフザけてるんじゃないだろうな?

 お前の行動にコイツらの命が関わってるんだぞ?」

さすがの俺でもそういう大事な事は分かってる。

でも、このままだと俺は自分の不安に押し潰される気がする。

こうやって人質を取られるなんて初めての経験だ。

俺はどうすれば良いんだろ・・・?


「・・・お前!その銃を捨てろ!」

「うるせぇ!本当にお前は状況分かってるのか!」

クソ野郎め・・・いい加減空気読めよ!

いつまで人質取ってるんだよ、お前は!

ヒーローが何か言ったら「ごちゃごちゃうるせぇ」って言って

ヒーローに戦いを挑んでくるのが常識なの!

こいつ・・・ロイヤル・ハイパワード・チューニクスは愚か、

中二病ですらないな?

テニスが上手くても中二力すら自在に扱えないのならば

ロイヤル・ハイパワード・チューニクスである俺の方が

人間の価値は上なんだよ!

俺を県大会に出しやがれ!


「馬鹿なお前は随分と余裕があるらしいから

 少し現実を見せてやろうか?」

俺はハッとなり、中山なかやまの持つリボルバーにかかる指を見ると、

明らかに力が入っている。

マズい!これはマズいですよおおお!!


「ちょっと待ってオニサン!

 今から俺がとってもためになる中二病講座を開いてあげるから!

 焦らなくても中二力を上げてあげるから、ね!」

俺は過度な緊張で謎の言葉が飛び出したが、

次の瞬間、実際に飛び出したのは銃弾だった。


「きゃあああ!!」

A組内の女子生徒の必死の嘆き声が聞こえる。

俺は思わず顔を背け、A組が視界に入らないようにする。

・・・ごめん。

全身から血の気が引いていく感覚・・・。

遊びのつもりが、俺は知らないうちに死者を出していたというのか?

有り得ない!有り得なくても目の前の現実はそうなっている。


「・・・あれ?」

顔を背けたまま5秒ほどの沈黙が続いた事に俺はふと違和感を覚える。

中山なかやまの事だから「どうだ、お前が殺したんだ!」とかって

言いながら俺に挑発をしてくると思ったんだけど、

ヤツはずっと黙っている。


ゆっくりと中山なかやまの方へと視線を移すと、

そこには信じられない光景が広がっていた。


「何・・だと・・!?」

銃を構える中山の肌の露出部分は明るい紫色に変色しており、

先ほどまでの生気を失っているのだ。

緊張だけでそんな色になる訳がない。

そして同時に視界に入った彼の腹部には、

何やら太い蛇の顔のようなものがめり込んでいた。


「がはっ・・・お前・・・よくも!!」

紫色の中山は銃を手放しており、

苦しそうにのど元を押さえながら俺を睨み付けてきた。


「違う、俺じゃないぞ!」

俺はそう言いながらその蛇の顔のようなものの元部分を見ようと

目で辿っていくと、それは俺の背後へと続いている。


「うわっ!!」

俺は驚きのあまり、思わず声を上げた。

というのも、気配を消した如く、

俺の後ろに蛇を模したかのような怪人が立っていたからだ。


「死ね。」

その蛇は自分の右腕にあたる部分を伸ばし

中山の腹部を貫いていたのだった。

そしてその右腕をゆっくりと縮めながら引き寄せ、

その動作につられて中山は蛇へと強制的に接近していく。


「や、やめてくれ・・・」

具合が悪そうな中山は苦しそうに命乞いを始めるが、

蛇には聞こえないようで、動作に何の変化もない。

右腕を縮める事で距離を詰め切った蛇怪人は

同じようなデザインの左手で中山の顔を思い切り強打した。

すると、まるで枯れ葉がパラパラと砕けるように、

中山の頭部が惨めに砕け散ったのだった。


「お前は・・・もしかしてフォーサーなのか?」

横で惨状を見ていた俺はその蛇怪人へと問い掛ける。

全身が明るい紫色、「あやめ色」をしている。

身体は鱗のような模様が入った堅そうな皮膚で包まれており、

まさに蛇の表皮を再現しているようだ。

さらに、両腕が蛇の顔のようになっている。

しかし、細い蛇のイメージとは相対的で、

非常にガタイの良いフォーサーだ。

蛇、というよりも太いコブラというべきなんだろうか?


「俺は・・・ネヴァーフーエヴァー。

 お前の言う通り、フォーサーだ。」

蛇怪人は中山の最期を見届けると、

岩の怪人が3人の生徒に囲まれている40mも離れた地点へと向かって

すぐに両腕を高速で伸ばし、

3人のうちの宮本みやもとともう一人の男を片腕ずつで突き刺した。

刺されたその2人はその場で倒れ、苦しそうにもんどりうつ。


残りの1人は慌ててすぐ横にあった窓から飛び降りようと

窓ガラスを腕で叩き割るが、

伸ばした蛇の両腕に巻き付かれて拘束され、

一気にA組の方へと引き寄せられる。

この間、俺の感覚だとたぶん5秒くらいしかかかっていない。

両腕の高速伸縮、それに確実に獲物を捕らえる正確性、

なかなかヤバそうなフォーサーだな・・・。


最後の獲物は蛇の腕によって引き寄せられ、

俺と蛇怪人のすぐ目の前まで接近してきた。

そこで俺は、また驚かされる事になる。


「お前は・・・坂本さかもと 荘乃そうの?」

その蛇に捕らわれた男は、

例の秀人ひでととゴタゴタがあったという

イケメン陸上男子、坂本さかもと 荘乃そうのだった。


「俺が悪かった・・・だから見逃してくれ!

 ブラックマイスターの作戦は全部話す!」

荘乃そうのは蛇に巻き付かれた状態で必死に命乞いを始めるが、

ネヴァーフーエヴァーはそれを見て笑い声を漏らし始める。


「ハッハッハッハッ!

 惨めだな、荘乃そうのォ!

 今のお前なら俺が殺しても何ら問題ない。」

コブラはそう言いながら拘束した右手で

荘乃そうのをジリジリと締め上げる。

俺はその時ハッとなり、

そのコブラの正体が脳裏に浮かんでしまった。

コブラから聞こえてくる声と言い、

荘乃そうのに対する口調と言い、俺には心当たりがあった。










@第16話 「謎の組織ブラックマイスター」 完結







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