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『燦6 花の刃』(あさのあつこ)を読んで

江戸から180里離れ、山に囲まれた田鶴藩。風のように走り、鷹を自在に操る、人並みならぬ力を持つ「神波の一族」の生き残り・さん、城主の二男・圭寿よしひさに仕える剣の使い手・伊月いつき。燦が刺客として城主を襲ったことから物語が動き始めます。ーーというのが『燦1 風の刃』。

このシリーズ、200ページに満たない量でありながら、ほぼ1年間隔で出てくるという読者泣かせ。ちっとも話が進みません。そして、新刊が出た頃には前作を読み返すことになります。1年も前の細かいところなんか忘れちゃっています。

でも、不満はそこだけです。というか、面白い作品だからこその不満というべきかもしれません。


時代小説ではありながら、やはりそこは、あさのあつこさん。もしかすると、時代小説好きの方には物足りないかもしれないくらいに、さらりとした口当たりのいい清水を口にするかにような読みやすさ。でも逆に、時代小説を読む際についつい構えてしまう私のような読者には向いています。

透明感のある筆致で描く情景と、生き生きとした少年たち。このシリーズが他のあさの作品と異なるのは、少年が物語の中心でありつつも、ちょっとクセのある女性が登場するところではないでしょうか。前作で意外な過去が明かされた女性もまた今作で存在感を高めています。

陰謀により死傷者が出た前作。次作では、圭寿と伊月、そして燦は、江戸藩邸から田鶴へと帰藩します。

今回はその繋ぎとなる回でした。そのためか特に大きな事件は起こりませんでした。

けれども幾つかの伏線が張られているようです。これらがどのような形で回収されていくのか楽しみです。


そして、毎回、なんとも気になるところで終わるのです。今作もしかり。

次回はぜひ私が内容を忘れないうちに出版してもらいたいものです。

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